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【最新中世欧州料理試作】2024.09/いちじくの揚げ菓子

昨年から過去試作した中世ヨーロッパのアレンジ料理についてちまちまご紹介する「中世欧州料理試作」シリーズを展開していますが、あらたに最新の試作報告もこちらに記載することにします。
時間の合間にれっつらクッキング♪しているので不定期ではありますが、忘備録も兼ねております故、なまぬるーい目でご笑覧頂けますと幸いです。過去の試作シリーズも参考までにペタリしておきます。


■遅めの旬のいちじく

ここ数年の猛暑で野菜果物の影響が半端ないのですが、中世ヨーロッパ(以下「中世ヨ」)で使う食材も猛烈に影響をくらっております。オリーブオイル高くなったし、輸入系のお豆も単価あがるしうんぬんかんぬん…(ぶつぶつ)。
果物に類するいちじくは旬となる季節が夏と秋にあるんですが、今月に入って近所のスーパーにやっと入ってきました。大幅な遅れではないんですが、多少なりとも影響はあるんでしょうね。お値段高めでしたし(お財布事情)。ニュージーランド産のちっこい赤りんごも一緒にゲットしました。

今回ゲットしたいちじく(愛知県産)とちっこい赤りんご(ニュージーランド産)。国産のりんごはまだ本格的な旬前なので高く、こちらに落ち着きました。

■選定料理指南集

中世ヨ料理系で一番お世話になっており、試作数が圧倒的に多い14世紀イングランドの料理指南書「Forme of Cury(だいたい邦題:料理の書)」からいちじくの料理を選定しました。「Tourteletes in fryture」という、いちじくのスイーツ的なものです。
原文からおこした基本的な材料を列記します。分量の記載は歴史料理あるあるでほぼ書いておりませんので食材の紹介だけ(分量配分が一番難しいもんでしてぐぬぬ)。

・いちじく(こぶりなもの)
・サフラン
・はちみつ
・混合スパイス/ペッパー多めの配合で、クローブ・シナモンなどのお好みスパイスを混ぜ合わせる
・揚げ油
・ペストリー生地
※独自アレンジで小さな乱切りにしたりんごを追加しています

ここで登場する「はちみつ」ですが、調理工程では加えず、最後の添え物として出します。お好みでかける方法ですねん。

■作り方

こちらもざっくりとした感じでご紹介します。実際に試作で行った工程と同じになります。

1)いちじくは皮をむき、乳鉢またはボウルに入れて実を軽く潰します。
2)りんごは皮をむき、小さめの乱切りにします。塩水でつけておくこと。
3)ペッパー多めの混合スパイスを調合します。今回は粗びきペッパー+クローブ・シナモンを2:1:1の割合で混ぜ合わせています。
4)3.の混合スパイスにサフランを入れ、軽く混ぜ合わせます。
5)いちじくとりんごをボウルに入れ、軽く混ぜ合わせてから混合スパイスを加えてさらに混ぜ合わせます。
6)ペストリー生地をめん棒で伸ばし、10cm前後の円状にくり抜きます。2枚で1セットです。
7)円状の生地に5.のフィリング(中身)を乗せ、上からもう1枚の円状の生地を乗せてふちの部分をフォークなどを使ってとじます。
8)深めの鍋またはフライパンに揚げ油を入れ、静かにいれます。黄金色になるまで比較的低温で揚げ、油をよくきります。
9)はちみつを小鍋に入れ、人肌程度まであたためたら火を止めて小皿に入れます。おこのみでかけて召し上がって下さい。

…アレ、意外と長かった(汗)。
作り方としては、現代のフィリング入り揚げ菓子と大差ないです。ここでいう「ペストリー生地」は、自作で作ってもいいんですが気軽に作られたい場合は冷凍パイシートを使ってもいいかなと思います。ガッチガチの中世寄りにされたい場合は頑張ってペストリー生地をこねこねして下さい(雑)。

初回試作の時は、味を確かめたかったので生地はどうしようかと考えていたんですが、たまたま残っていたドーナツ生地(市販のホットケーキミックスを使ったもの)があったので、それにつめることにしました。

初回試作の完成形。ホットケーキミックスを使ったので生地がもっさりどーんな感じですがちゃんと火は通ってるのでよしとします。ハチミツは現代の偉大なる産物(電子レンジでチン)であたためて添えました。

■試食と味の感想

今回は砂糖などの甘味系調味料が入っていないので、そのままで頂いた時は甘味が少し足りない感じでした。いちじくは基本的に甘いのでよく使うんですが、よくよく考えたら「セミドライタイプのいちじく」を使うことが圧倒的に多かったので、今回のようなフレッシュタイプのいちじくはそう使ってなかったような。
生食で頂くとまぁまぁ甘いんですが、火を入れると甘味が薄くなるように感じられました。アレンジで一緒に入れたりんごも、甘味抑えめの品種だったのでそれもあるんでしょうね。

混合スパイスの味自体はそこまで感じ取れるものではなかったので、あまり気にならなかったです。スプーン1杯程度の少ない量だったということもあるんでしょうが、さすがシナモンの香りは引き立っていました。シナモン強し。コショウに関しては現在でもいちじくとコショウを組み合わせたアペタイザー(前菜)料理はけっこうありますので、そもそもの相性がいいんだと思います。

ペッパー(胡椒)は中世ヨの宮廷料理においてなくてはならない高価な食材のひとつです。昔からさまざまな種類のペッパーがアラブ方面から入ってきたとされます。

人の好みもあると思うんですが、個人的にはあたためたはちみつかけた方が段違いで美味しかったです。いちじくのプチプチ感もいいですし、イートインのカフェで出すのも全然アリなんじゃないかと思います。
フィリング自体も今回の揚げ菓子以外にも使えるので、タルトの中身として入れるのもいいかなと思います(しれっと中世タルト生地を作ったのでこの後焼いて美味しくいただきました)。

暑い日がもう少しだけ続きますが、これから秋の味覚がたくさん入ってきますので、未開拓の試作検証もどんどんやっていければいいなと思います。

最後までご一読頂き、有難うございました(^-^)。


■中世ヨーロッパなお料理や民俗文化ネタつぶやきについて

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