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難民を差別するな! 〜 Cさん面会報告

こんにちは。MBHでは普段から入管面会活動を通して、入管の問題について知り、問題化するために取り組んでいます。

今回はこれまで面会してきたカメルーン出身の難民、Cさんが置かれている状況について紹介します。MBHメンバーは6月からCさんと面会を重ねてきました。


来日の経緯 ー なぜ日本に逃げざるを得なかったのか

Cさんはカメルーンの英語圏出身で、英語圏の独立や平等の権利を求めるための政治運動に関わっていたことを理由に警察から監視、弾圧を受けてきました。そこでCさんは弾圧から逃れるために、2013年にカメルーンから来日しました。Cさんがカメルーンに送還された場合、確実に迫害にあい、生命が危険に晒されます。

ここでカメルーンの英語派の独立運動について詳しく論じることはできませんが、英語圏とフランス語圏への分裂は20世紀におけるカメルーンの英国領とフランス領への分割という植民地支配の結果もたらされました。それが今日の「紛争」の元凶となっているのです。

Aさんによるとカメルーンでは英語派とフランス語派に対しては異なる法律が適用され、同等の権利がないのです。


入管収容までの経緯

Cさんは来日してから約4年後の2017年から東京入管、その後は牛久入管に収容され、2019年に牛久で大規模なハンストが起きた際に一時的に仮放免許可が出されました。

しかし、仮放免許可が出て、入管の外に出られてものの、それはたった2週間で、その期間が終わると入管に出頭しなければなりません。そしてその際には入管の決定次第で再度収容することもできるのです。また、それ以前に、仮放免の状態では県をまたぐ移動が禁止されており、就労することもできません。

働きことができない以上、仮放免の状態で一人で生きていくことはほぼ不可能に等しいです。これに加え、Cさんはすでに2年以上の入管収容によって自身の体調や病状の悪化を感じていました。入管に収容された場合、まともな治療を受けられる保証はありません。それゆえ、Cさんは入管に出頭することを拒否し、自分の命をまず守ることを優先しました。


しかしながらも、Cさんは就労も許可されておらず、住民票もない中でさまざまなサービスすら受けることができない状態で暮らします。そんなある日、Cさんは警察の職質にあい、無免許運転が発覚し、一年以上刑務所に収監されることになります。

Cさんはそもそも在留資格がないために、住民票もなく、免許をとることができません。また、就労が許可されていないため、Cさんには他に生きていく道がありませんでした。Cさんの「犯罪」はまさに、日本の入管の制度的な差別が生み出したものだと言えるでしょう。

そして、無免許運転の実刑を終えた後、Cさんは刑務所から品川入管に移送されて、現在に至ります。刑務所、入管を含めて、Cさんは4年近く収容されていることになるのです。


入管収容による体調悪化

入管に収容後のCさんと面会を重ねていく中で、入管内のさまざまな問題が明らかになっていきました。

Cさんはヘルニアを患っており、牛久入管に収容されていた時は手術が必要だと言われていましたが、品川入管ではCさんのヘルニアの問題は無視されました。実際、以前、入管の外の病院に連れて行かれた際、医師に「何も問題ない」と言われたと言います。

また、入管に収容されることのストレスで、Cさんの血圧が急上昇しました。高い時の血圧は180もあり、入管は血圧を下げるための薬を処方しているものの、血圧上昇が収容のストレスによるものである以上効果は極めて限定的です。また、普段から緊張と不安、めまいに苛まれ、まともに寝れる日はほとんどないといいます。

では、入管はCさんの病気や体調悪化に対して、どのように対応してきたのでしょうか。Cさんは高血圧や胸の痛みについて毎日行われる入管での被収容者の健康チェックの際に外部での病院で検査してほしいと訴えてきたが、ずっと無視されてきました。しかし、やっと外部の病院で受診できるようになった時も、医師は不十分な検査しか行わず、Cさんが同時に訴えてた胸の痛みや眩暈については検査を行いませんでした。


権限のない視察委員会

Cさんと何度か面会している中、7月には入管を視察する政府の視察委員会が入管を訪れました。視察委員会は、入管に定期的に訪れ、内部の状態を視察し、その後入管庁にさまざまな提言を行います。*注1

しかし、委員会は入管政策を変更させる権限を持っておらず、あくまで入管をアドバイスする立場です。しかも、その名前にもかかわらず、視察委員会は入管の中を視察することが許されていません。他のボランティアや面会と同じように、被収容者にアクリル版越しに面会し、被収容者の意見を聞くだけです。これではそもそも「視察」にすらなっていません。この理由から長く収容されている人の多くは視察委員会に期待していません。


入管の都合で立ち会い人さえ認めない難民申請

Cさんは現在、難民申請を行っています。そんな中、入管はCさんに対して難民の証拠を現物で提示しろと言っています。しかし、果たしてどうやってカメルーンの英語圏から現地の警察の監視や警備網を掻い潜って日本まで送るのでしょうか。そもそも入管に収容されている状態で証拠をだせと行っても、そもそも自由を奪われている状態で証拠を集めることなどできるわけがありません。

しかも、前の難民申請の面接では弁護士の同席さえ許されず、入管職員に問い詰められ、威圧されました。そうすることで当人を怒らせたり、油断させたり、自分に不利な証言をさせるために入管はそうしていると言います。今回の難民申請の面接においても同様でした。難民申請するプロセスにおいてさえも、入管の恣意性が現れています。



最後に

MBHは今後も入管面会活動やアウトリーチ活動を行い、入管の問題を社会発信していきます。

また、Moving Beyond Hateでは一緒に活動するメンバーを募集しています!今回の記事のように入管に面会に行ったり、学習会をしたり、ミーティングをしたりといった活動があります(参加頻度は自由で、学習会等はオンライン参加も可能です)。

ご興味のある方はお気軽にメールなどでお問合せください!


お問合せはこちら:movingbeyondhate@gmail.com
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最後まで読んでいただきありがとうございました!



(追記)
Cさんは先日仮放免許可が出ましたが、仮放免になったからと言って、入管による管理・監視は終わりません。


(注1)
https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/30_00059.html




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