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Z世代はどんな道を進むのか?|MBH座談会 #003

 あらゆる差別の根絶を目指す学生団体Moving Beyond Hateのメンバーが、差別をなくすために何ができるのか、具体的な夢を語ってくれた前回。#003は、より赤裸々(!)なメンバーの本音が語られていきます。(編集:ピエール🦄)

・今回登場する人
トミー長谷川🦒 Moving Beyond Hate代表
ハル🐟 広報担当メンバー
あかとんぼ🦊 リサーチ担当メンバー
Y・K🦉 メンバー
(司会:Han🐭)

Han🐭:授業で行なった海外での反差別状況の報告について詳しく教えてもらえますか?

あかとんぼ🦊
 その授業は、教員の指示でみんなディスカッションできるような内容を発表することになってました。直近の話題なら話し合いやすいかなと思い、BLMを取り上げたんです。でも先程言った通り、自分たちが当事者じゃないから(それについて話すことを)はっきりと拒否してる人がいたこと、差別問題のマイナスの側面が目立っているせいで、身近に存在していると感じることに、恐れを抱いている人が多いことがわかりました。だから周知させるというか、私を含めてみんながより前向きに考えられる伝え方が大切じゃないかなと思いました。

編集🦄によるピックアップ情報👉
幼少期からの実体験で、宗教、人種、文化など、公的にタブー視されているトピックについてオープンに話し合う姿勢こそが、理解に繋がるということを熟知している。

あかとんぼ🦊
 その差別問題について自分が当事者じゃないから、歴史の知識に自信がないから、社会で実際どういう差別が起きてるのかどうかよくわからないから、あまり話したくないという人も多くいます。私自身も、不安や恐れをすごく感じています。でも、そこから一歩踏み出す勇気が必要です。

Han🐭:確かにそれは重要な論点ですよね。差別問題について知識がないなら安易に発言してはいけない、みたいな。

あかとんぼ🦊
 実際にこれは、私達よりも上の世代の方に多い傾向だと思います。どうしたら若者の意見を受け入れてくれるのか、どのように伝えたら年齢や人生経験の壁を超えて、新しい価値観を取り入れてくれるのか…。そこを吟味した方が良さそうですね。

長谷川🦒
 でも上の世代にわざわざ合わせていく必要はないんじゃないのかな。今の世代って世界的にそうだと思うけど、上の世代と比べてもはるかに多様になってるし、危機感の中に暮らしてる。日本でもそれは例外じゃなくて、たとえば外国などにルーツを持っている人もすごく増えてる。

ハーフの人々は現在、確実に増加し続けています。厚生省の人口動態調査でも、新生児の50人に一人は、親が日本国籍×外国籍という組み合わせで、毎年約2万人ずつ増加しています。

長谷川🦒
 差別への違和感みたいなものも、40、50代なんかの人たちと比べてもますます広がっている。そういうことを考えると、今の若い人の状況って上の世代と全然違いますよね。

Han🐭:確かに。わざわざ上の世代になにか合わせたりする必要ないですよね。ぜひそれは[日本社会の若者、読者に]共有していきたいなと思いますね。

あかとんぼ🦊
 なるほど…。そうですよね。まずは世代の違いを受け入れることから始めるのが重要ですね。今の話を踏まえて、代表🦒に質問。これからは今よりもっと、積極的に活動したいと考えてますか?

長谷川🦒
 やりたいことはいろいろあるんですけど笑。でも、僕個人としてはやっぱり根本的に変えたいっていうか。あくまでも僕のイメージなんですけど、もちろん日本の運動ってすごく時代状況に制約されるところもあると思うんですけれども、1つずつやっていくみたいな運動スタイルはありますよね地道に1つずつ取り組んでいく、みたいな。例えばその日大の面談に行ったときもみんな思ったかもしれないけど、なんとなくモグラ叩きのようなところがあるなぁ、と。一つ一つ署名集めて一つ一つ要請書提出していくみたいな。

長谷川🦒
 でも、それだと結局社会的に差別が「NO」と言える状況に直接的にはつながらない。それで再発防止ルールとかつくらせることができたら話は別ですけど。公民権運動とかとはやっぱ全然何か違うじゃないですか。そういう爆発的な変化がまだ日本にはないですよね。[そうした変化を作り出すためにも]若い人をもっと巻き込む感じでいったらいいと思う

ハル🐟
 SEALDsとかで若者が声をあげてあれだけ注目されましたよね。Moving Beyond Hateの場合、海外にルーツがある人とか、海外滞在したことがある人が多いから、それとはまた違う、より広い視野をもった新しい運動を作り出していける気がします。この団体にしかできないことはあると思う。可能性はある。良い方法やきっかけがあれば。

長谷川🦒
 若者の話でいうと、例えば海外の場合現在は、労働運動、環境運動、BLMとか、何か全部繋がってるって感じはありますよね。多分若者も結構直感的にそれは感じてると思う。

世界の「ミレニアル世代」「Z世代」と呼ばれる若者たちが気候変動や社会課題に一段と大きな関心を寄せている。世界経済フォーラムの調査によると、「ミレニアル世代」の約50%が世界規模の問題の中で「気候変動」が最も深刻だと考えていることがわかった。また米国では、ミレニアル世代より若い「Z世代」の87%が、社会や環境問題に関心があることが明らかになっている。

長谷川🦒
 日本だと、もちろんさっきのその差別を身近に感じないっていうのもあるけど、差別問題が差別問題だけで独立して存在しているみたいに思われている。もっと広い問題とのつながりっていうのが全く見えてない状況があるかなぁとか思います。そのつながりが一番わかりやすいのは技能実習生の問題とかですよね。全部繋げれたらもうちょっと、やっぱ若い世代がいろんな物事に関心持つのかなと思うところありますね。

Han🐭:学費の問題とかもそうですよね。反差別と学費の問題とかつなげたいですよね。

Han🐭:Moving Beyond Hateに入って何が変わったか、今後なにをやっていきたいか、教えてください。

あかとんぼ🦊
 私の場合、以前は別の学生団体のイベントに参加し、就活や将来のことをディスカッションする機会を大事にしていました。とても楽しく刺激を受けられる場でしたが、教育格差や差別問題に関してはスルーされているように感じていました。例えばコロナ禍で外国語学校の支援が不十分で運営が厳しいことを話すと、そういう民族の問題は難しいから何とも言えないと、意見を受け入れつつ流されたときもありました。その他にも朝鮮学校無償化に関するヘイトスピーチ等を見ると、外国にルーツを持つ方々が非常に生き辛い状況にいるのに、一般の日本人がそれに無関心で過ごせていることが、問題だと感じました
 そういう問題を考える団体について、またどのような学生運動があったかに関して、今まではあまり知りませんでした。しかしキャンパスヘイトの問題を通して、自分の目を背けていたものへの向き合い方を変えることができました。やっぱり差別はいけないってことを子供達に教えるために、もっと勉強していきたいです。また、差別問題に関わっている人とのインタビュー企画はやってみたいですね。

Han🐭:長谷川🦒くん(代表)と他の反差別団体のインタビュー企画とかいいかもしれませんね笑

ハル🐟
 Moving Beyond Hateで差別についての意見を言えることには、解放感のようなものがある。しかし、考え・行動を成果に繋げていかないととも思う。今後は、まずは自分のように差別に違和感を持っている若者にアプローチしていきたい

Y・K🦉
 自分は差別問題に対して、声を上げる大学生がこんなにいるんだなっていうのが最初の印象でした。正直、日本の大学生の中で差別に声を上げる人はあまりいないと思っていましたが、Moving Beyond Hateに参加してからその認識が変わりました。
 Moving Beyond Hateには、差別にちゃんとダメと言う大学生が多くいて、安心感がある。また、自分が触れてこなかった様々な差別問題に関しても、この団体は興味を持っているということを知って、今後それらにも関心を持って行けたらなと思ってます。

 →「その差別問題について自分が当事者じゃない、歴史の知識に自信がない、社会で実際どういう差別が起きてるのかどうかよくわからないから、あまり話したくないという人も多く」いる。この事実にどう向き合っていけばいいのか、そのヒントになるかもしれないヤラ・シャヒディの言葉を最後に引用したいと思います!

🦄👉
この世界は混沌としています。話し合いを通して一気に解決したい! という衝動に駆られることもあります。ですが、刑務所廃止問題やトランスジェンダーの権利、そして環境問題といった社会問題を解決するためには、一人ひとりの具体的な行動こそが重要なのであり、自分ひとりの力を決して過小評価してはいけないということを、私は偉大なる先人たちから学びました。なので、私が自分の声を使う時は、オーディエンスが何かひとつでも具体的な行動に結びつけられるよう言葉を選び、同時に、私自身が有言実行できる『次の一歩』も示すようにしています」

(画像:pixabay

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