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Voices of the Detained 〜 入管廃絶ニュースレター第一号の発行!


こんにちは、入管のレイシズムに取り組む学生団体、Moving Beyond Hateです。私たちはこれまで、入管内での面会活動や仮放免者との連携や聞き取りを通じて、入管による様々な暴力や強制送還の実態について記録し、発信してきました。

私たちはこのようにこれまでは主にSNSなどを通じて日本の入管の実態とそのレイシズムについて告発してきました。

しかし、こういった発信を続ける中で、単に収容されている人たちのストーリーや入管内の事件を伝える外部に伝えるだけの役割を果たすのではなく、より積極的に入管に収容されている人たちと連帯して声を上げる必要性を感じていました。

実際、私たちが知らないところでも今この瞬間に多くの被収容者が入管のレイシズムに対して声を上げているのです。

入管の外にいる私たちだからこそ、入管に収容されている被収容者や仮放免者とより一層連携し、彼らの声をつなげ、拡大させることができるのです。

そこで、今回私たち Moving Beyond Hateは被収容者や仮放免者自分が自分たちの問題について語り、入管に関する情報を共有しあうためのニュースレター, Voices of the detained を作成しました。



なぜニュースレターなのか?

1. すでに存在している被収容者の抵抗のネットワーク

私たちはこれまでの面会活動を通じて、様々な形で入管内の被収容者が互いに情報を共有し、入管の恣意的な暴力に抵抗する非公式のネットワークを築く姿を目にしてきました。

例えば、ある被収容者は入管内で違う棟(ブロック)に収容されている名前もわからない相手に対して、運動場で手で合図を送ったり、部屋の窓が空いている時に自分の名前や出身国、連絡方法などを大声で叫んだりして通信していました。

また、入管の電話システム(ブラステルという電話会社のサービス)を利用して、入室用のパスワードさえ知っていれば誰もが参加できるチャットルームを作った人もいます。そして話す時間(e.g 午後8時)をあらかじめ決めて、他のブロックの人たちと電話して、ブロックごとの状況や事件などについて共有する。これはブロック間の交流にもなっています。

このように、入管に関する情報や抵抗のノウハウはすでに被収容者自身によって知られていて、様々な方法でブロックの間、ブロックごとに共有されています。


2. 絶えず分断される被収容者

しかし、同時に被収容者自身が連携し、声を上げるのを難しくしている様々な要因も存在しています。

収容施設自体がまず物理的に被収容者を分断しています。部屋ごと、
ブロック(棟 - A-Kまで)ごとに人々はバラバラにされて収容されています。また、同じブロックに収容されていようとも、1日に何時間かと限られているフリータイムの時間以外は部屋の外に出ることも許されません。

また、入管に収容されている人は在留資格を持っていない「外国人」という一点で共通しているだけで、生まれや育ち、文化、言語などもみなバラバラです。同じ部屋に収容されていても、共通の言語や文化がない場合は被収容者同士でコミュニケーションがそもそも成立しないことが多いです。そしてみなが早く仮放免で出たく、収容のストレスによって精神的にピリピリしている状態のもとでは被収容者同士で協力どころか喧嘩や対立が生まれることも少なくありません。

そして入管は常に恣意的に被収容者を分断してきます。恣意的な裁量によってブロックで中心的に声を上げていた人に突然仮放免を許可したり、ほとんど理由もなく隔離部屋に移送したり、一番抵抗のノウハウのある長期被収容者を牛久入管に移送することで排除したりすることなどによってです。
様々な手段によって被収容者の間のネットワークを分断し、「孤立」状態を作り出そうとしているのです。



3. 入管の「外」にいる私たちが果たせる役割


このように、入管内では自然発生的に情報共有用のネットワークが形成されながらも、入管はそれを常に分断しようとし、被収容者はこのせめぎ合いの中で生きています。

だからこそ、私たちが入管の外から、入管内にすでに生じつつある抵抗のネットワークを活かしながら、バラバラになりがちな被収容者をつなげる媒介的な役割を意識的に果たすことが必要なのです。


4. ニュースレターの作成

そこで、様々な手段がある中、これを最も効果的に行えるのはニュースレターだと思われました。ニュースレターとして情報を残せば、入管への抵抗についてのノウハウがある人が仮放免で釈放された後でも、そのノウハウは受け継がれるからです。また、ニュースレターであれば、私たちが情報を提供するのと同時に、被収容者が書いた手紙や案内などを掲載することで被収容者同士がより確固とした形で互いに情報を共有することが可能となるからです。



5. ニュースレター第一号の紹介

ニュースレター第一号 (Page 1)(英語版)

ニュースレターの第一号ではMBHで一緒に連携して活動している仮放免者、ジャン・ピエール・サンチェスさんのインタビューや被収容者による手紙、被収容者に役立つ様々な事例やノウハウも掲載しました。

また、映画コーナーやパズルコーナーなどのエンタメセクションも設けました!

完成後、面会活動の際に配布しました。すでに被収容者の何人から「とても嬉しい!」などの反応がありますが、今後はより多くの被収容者と一緒に協力しニュースレターを作成し、文字通りの被収容者による、被収容者向けのニュースレターを目指します。

ニュースレターを配布したあとの昼ごはん






最後に

Moving Beyond Hateではこの入管廃絶(アボリッシュ*)ニュースレター プロジェクトに関わる人を募集しています!

スペイン語やポルトガル語、ヒンディー語など、様々な言語にニュースレターを翻訳するのと同時に、被収容者への面会や聞き取りなど、できることはたくさんあります。

興味がある方は気軽にご連絡ください!
メール:movingbeyondhate@gmail.com





*アボリショニズム Abolitionism とは、入管や監獄を人種差別的なシステムとして捉え、その「改良」ではなく「廃止」を求める動き。近年BLMの影響もあり、アボリショニズムの思想-運動は世界中に広まっていて、Moving Beyond Hateもそこから学んでいる。

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