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これは事実。宗教施設の拷問。エマ・ワトソン主演「コロニア」


め~め~。

歴史的事実に基づいた作品いうのは数多くありますが、人間というのは、とことん恐ろしいことができるのだ、ということを教えてくれるのもまた映画を含めた創作物は教えてくれます。

さて、「ハリーポッター」シリーズのハーマイオニー役で有名なエマ・ワトソンが主演となって活躍する映画「コロニア」ついて、感想を書いていきたいと思います。

実話

場所は1973年のチリが舞台となっています。

本作品は、コロニア・ディグニダという農業コミュニティにおいて、行われた事実をもとに映画化されたものとなっています。

主人公たちのキャラクターは事実と異なるものの、エマ・ワトソン演じる主人公のレナが、施設にとらわれた恋人を救うために、自ら飛び込んでいく姿が描かれます。

その特殊性や宗教的雰囲気だけでいえば、「ミッド・サマー」を思い出す人もいるのではないでしょうか。

チリ・クーデターの影で

エマ・ワトソン演じるレナは、キャビンアテンダントをやっており、仕事のついでにチリで革命運動にいそしむ恋人に会いに行きます。

映画において、恋人であるダニエルとの仲睦まじい様子が強調されており、これからおこる悲劇をより一層強める効果をもたらせています。

本作は、それほど複雑な内容が展開されるものではありません。

あっと驚くような事柄や、グロテスクなことはほとんどありませんが、これが実際に行われた事実に基づいているという点と、コロニア・ディグニダというコミュニティが、時のチリ政府と結びつくことによって、悪魔的な場所になっていた、という事実がわかるところにこそ、本作品の恐ろしさがみてとれます。

チリ・クーデターと呼ばれるの軍部による支配下の中、弾圧される人々が描かれていくところは、現代人である我々がみると不可解であると同時に、圧倒的な理不尽さとなって襲いかかってきます。

コロニア・ディグニダという場所を描くことによって、当時の情勢を伝えるという意味でも、意義深い映画でもあります。

脱出までが映画

ネタバレになりますが、本作品は、宗教施設に潜入して、恋人と脱出する、というだけの話ではありません。

軍部と癒着しているという事実から、国外に脱出しなければ命がない、という状況も含めて、国そのものから脱出しなければならなかった、ということも恐ろしい点です。

映画「アルゴ」なんかもまた、無事国外に脱出できるのか、というところがポイントの映画となっていますが、「コロニア」は、そのあたりの要素も取り入れられているところです。

物語の序盤は、「戦場のピアニスト」のような戦いに巻き込まれた理不尽さ、「ミッド・サマー」のような宗教団体による恐怖、「アルゴ」のような脱出劇といった点を、歴史的事実でコーティングしたような映画が「コロニア」となっております。

教皇と呼ばれている、元ナチス党でもあったシェーファーという男は、実にとんでもない男であり、少年と音楽を愛する巨悪でもあり、実在の人物というところにおいても恐怖を覚えるところです。

事実に基づいていることもあり、ひねりのある脚本ではありませんが、事実であるからこそひねる必要がないところもまた事実となっておりますので、見る場合は、ある程度の覚悟が必要になるかもしれません。


以上、これは事実。宗教施設の拷問。エマ・ワトソン主演「コロニア」でした!


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