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雑誌ビックイシューを知っていますか。美猫がでる映画「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」紹介&感想


め~め~。

突然ですが、路上生活をしている人たちが限定で販売している雑誌「ビックイシュー」をご存じでしょうか。

赤いキャップとベストを着て、雑誌をかかげながら売るホームレスの方々を見たことのある人は気づいていても、その雑誌を直接購入しようとするのは、勇気がいることですし、特に今の時代であれば、警戒してしまうのも無理らしからぬことです。

ですが、路上生活という過酷な生活をしてしまう人々の実態を知らなければ、視野が広がらないこともまた事実です。

「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」は、ビックイシュー発祥の地であるイギリスを舞台に、茶トラの猫と一緒に路上ライブをしたり、ビックイシューを販売しながら、周りの人たちを変えていったボブと、ジェームズの物語となっています。

本記事では、内容というよりは、どんなことがわかる作品なのかを含めて、紹介しつつ、メーメーによる感想を述べていきたいと思います。

では、いってきまメ~。


薬物依存はツライよ

「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」は、実際に路上生活を行いながらボブとの生活によって更生することができたジェームズ本人の伝記をもとに作られた作品となっています。

そのため、多少の脚色はあるにしても、そのできごとは事実となっておりますので、ご注意ください。物語的な浮き沈みがそれほどありませんが、ジェームズという男の成長がしっかりと描かれています。

主人公であるジェームズは、ヘロイン中毒となり、薬物治療を行っています。

ただし、特定の職業についているわけではなく、ギター一本を持ちながら、路上ライブを行って日銭を手にいれて何とか食いつないでいるのです。

薬物依存の関係でいえば「トレインスポッティング」なんかは有名作品ですが、ヘロインでもマリファナでもなんでもいいですが、薬物依存から抜け出すというのは、並大抵の努力ではどうにもできません。

作中においても、「Dを見なかったか」と薬の売人についてきいてきたり、主人公にお金をせびってくる知り合いの男バズがいて、たびたび主人公の心を揺らがせます。

自分の意思で薬物から遠ざかっても、友人がやってきてしまったりすれば、簡単に誘惑に負けてしまうところが描かれます。


薬物への偏見

「ドラックは大嫌い。依存症患者には近寄らないわ」

「あなたはジャンキー!」

と、世間や家族からの目も大変厳しいのが薬物依存者への風当たりです。

さらに、路上生活をしているものからすれば、雨風を防ぐことができる場所を探すことも一苦労です。

ジェームズは、薬物依存からの脱却を目指すだけではなく、寝る場所の確保、食べるものの心配など、ただ生きるためにしなければならないことをかかえつつ、時々やってくる薬物の誘惑に打ち勝たねばなりません。

もともと、心が弱っているから薬物に依存してしまうのに、日々の生活で疲れ果てていては、とても更生できるはずもありません

「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」では、そんな薬物依存への周りの反応がこれでもかと見れます。

「嘘をついていたのね」


とヒロインのベディは主人公を非難しますが、「薬物依存者には近づかない」とかいう人に、自分は薬物依存で治療中です、なんて言えるはずもありません。その場で言えば、自分の頑張りとか経緯をきかずに、離れてしまうわけですから。

しかし、ソーシャルワーカーであるヴァルという女性の助けによって、彼はボロボロではあるものの家に住むことができるようになり、そこから彼の人生は好転していきます。


家にきた幸福の猫

雨風をしのげる家が手に入ったジェームズの嬉しそうなところは、ぜひご覧いただきたいところです。

我々が当たり前にしていることが、路上生活をしている人たちからすれば、一切ありません
シャワーを浴びることもできず、自分がもてる範囲の荷物しか所有することができない。

体調が悪くなれば、あしたには死ぬかもしれない身で過ごすのは厳しいことです。

そんな中、ジェームズの家に一匹の茶トラの猫が迷い込んできます。

ちなみに、この猫ボブが、実に可愛らしい猫となっておりますので、その姿をみるだけでも映画をみる価値があるといってもいいでしょう。

この手の動物をつかった撮影は同じ柄の複数の猫を使うのが常套手段となっており、この撮影では7匹ほどが使われたそうです。

ですが、実は、この大半は、実際にこの作品のモデルとなった猫、ボブが実際に出演しているところもまたポイントです。

この猫は特別

「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」の面白い点は、この物語が伝記ものであり、事実であるということがあり、その上で、実際にその猫が撮影でも活躍している、という点です。

どういうことかといいますと、普通、猫が演技をするというのは、簡単なことではありません

特に、多くの人間がまわりにいる中で、じっとしているってういうのはにとっては、大変なストレスです。
そのため、撮影の際も、猫がいい演技をしてくれなくなったため、場慣れしているボブが活躍してしまったともいえます。

また、ジェームズが演奏の邪魔になるからと家においていこうとしていたにもかかわらず、ボブが、バスにまで勝手にのってきてしまうシーンがあります。

フィクションであれば、そういう賢い猫がいるという設定でいいのですが、これが実際のできごとだというのだから驚きです。

その結果、ジェームズは猫を肩にのせながら演奏するミュージシャンとして活躍することができます。

のちに、トラブルで路上ライブができなくなって、冒頭の「ビックイシュー」を売ることになるのですが、そのときもボブが一緒であることから、売れ行きがよく、彼の活動を支えることになってくれます。

さて、せっかくですので、ビックイシューについて簡単に説明していきたいと思います。


路上生活者の為のビックイシュー

「ビックイシュー」というのは、冒頭でも説明した通り、路上生活者のみが販売する雑誌となっています。

イギリスが発祥となっており、世界各地で売られています。

2021年現在では、一冊450円となっており、この価格帯については全国同じような値段になっているそうです。

そして、この本の販売の約半分(230円)が販売者、すなわち、ホームレスの方の収入となります。

普通に働けばいいだろう、と思う方も中にはいるかもしれませんが、「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」でも語られるように、路上生活者に一度なってしまうと、なかなか元の生活に戻ることはできません

ジェームズは薬物依存でしたが、それ以外にもさまざまな理由で路上生活を余儀なくされる人たちがおり、その事情もまた様々です。

ジェームズはたまたま部屋を手に入れましたが、清潔な身なりをすることも困難であり、まわりの偏見も大きい。福祉によって助けられる人たちもいますが、その福祉を受けることを良しとしない人たちもまた多くいます。

「ビックイシュー」は、そんな人たちに10冊は無料で渡し、あとは自分たちで仕入れて販売させることで、自立を促すことを目的としています。直接手渡しが原則となっており、その中で人との交流が生まれることで、社会生活に戻るきっかけにもなる為です。

もちろん、その中で生まれる軋轢も映画では描かれていますが、ボブという猫の支えを頼りに、ジェームズは、薬物依存と向き合う決心をします。

一匹の猫が変えたこととは

ある日、猫のボブは犬に追いかけられて失踪してしまいます。

主人公は悲しみとともに、つい、路上で薬を販売している男たちに声をかけてしまいます。

天国を探しているのかい。なんでもそろってるぜ」

一見立ち直ったかにみえても、目の前に誘惑があれば、人は簡単にゆらいでしまうものです。ですが、ジェームズは、寸前のところでこらえます。

「猫を探している」

もちろん、ボブは彼のもとに戻ってきてくれるのですが、彼は薬物を完全に絶つことを決めます。

補足ですが、作中においては、ヘロインをやめた際の離脱症状がでないように、メタドンという薬を飲んで主人公は日常生活を送っています。

ちなみに、このメタドン、ないしはメサドンという治療薬は、一説にはヘロイン以上に抜け出すのは大変な薬剤となっています。

ですが、薬物を一度完全に抜き去らなければ、薬を飲む生活をやめることができません。

過去最悪の風邪を100倍ひどくしたと思って。一週間は、一時間ごとに、外にでたいっていう欲求に苦しむ」

とヴァルがいうのですが、想像を絶するつらさを経験することになります。

周りの助けがなければ、一人でとうてい成功させることができるものではありません。

ここから、作品においてのクライマックスではありますが、この時点では、すでに、ジェームズはボブとの関係で立ちなっており、それほど重要な部分ではありません。

「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」は、ジェームズの物語ですが、彼らの物語は決してここで終わってはいません。


猫が変えた世界

作品だけをみると、ジェームズやベティ、その結果、ジェームズの父親の息子への想いなど、波及した形でよくなっているのがわかります。

ですが、本作品はあくまで、現実で起こった出来事を本にしたものであり、映画にされたものでもあります。

そのため、ボブはさらに、映画内のできごとにとどまらず、多くの人たちに影響を与えています

特に、主人公のジェームズは、その後も「ビックイシュー」を含めて、路上生活者の人たちなどの支援を行っており、一人の男の人生からさらに多くの人たちの運命を、ボブは変えたといっても過言ではありません。

事実、「ビックイシュー」において、ボブが表紙になったときは売れ行きもあがったという話もあります。

そんな、路上生活者の人たちの状況を少しでも世の中に伝えるきっかけとなっている作品が「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」となっていますので、気になった方はぜひご覧いただきたいと思います。


また、猫が重要な作品で有名なものといえば、ムツゴロウさんこと、畑正憲監督により「子猫物語」もまた、茶トラの猫が大活躍する物語となっています。

以上、雑誌ビックイシューを知っていますか。美猫がでる映画「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」紹介&感想でした!

次回も、メ~メ~。



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