見出し画像

「グーニーズ」の意味とは。少年たちの成長を描いた傑作映画


め~め~。

「グーニーズ」といえば、スティーブン・スピルバーグによる製作総指揮による作品であり、特に、子供たちの活躍を素直にみることのできるジュブナイル的な作品の一つとしても有名です。

本作品は、ファミコンソフトにもなっており、ご家庭にある率が非常に高い作品となっていたぐらい、有名な映画となっています。

さて、基本的には、子供たちが危険なアトラクションをクリアしつつ、財宝を手に入れるという王道ど真ん中となっていますが、キャラクターたちの成長や、どうしてグーニーズなのか、ということも踏まえて作品を思い返してみると、より想い出深い作品になるのではないでしょうか。

そんなわけで、グーニーズを見た後の為の、感想&解説をしてみたいと思います。

もちろん、まだ、見ていない人もポイントを押さえておくような気分でご覧いただければと思います。


子供の夢が詰まっている


子供たちが屋根裏にある宝の地図を見つけて、それを頼りに宝物を探しに行く、というのは、ジュブナイル作品では、よくありそうなシチュエーションとなっています。

現実的な話をするのであれば、この手の宝の地図というのは、町おこしのために捏造されたり、その手のものを作って売る人がいたりして、ほぼ偽物というのが、リアルな世界での実態だったりはしますが、「グーニーズ」における地図は、本物の宝の地図となっておりますので、そのあたりに疑念を抱く必要はありません。

誰しも子供のころに夢見たであろう宝さがしを、グーニーズのメンバーが行う、というところから物語が始まります。

ちなみに、物語の冒頭で、フラッテリー一家が刑務所から脱獄して、カーチェイスが繰り広げられながら、登場人物たちが次々と紹介されていく、という、すごいオープニングを見ることができます。


ざっくりした内容は、グーニーズとその周辺メンバーがドタバタしながら、財宝を発見するというのが大筋ですが、もうちょっと、前提条件を確認してみたいと思います。

グーニーズとは

「退屈な町だ。出たら、せいせいする」

そう言いながら、マイキーは喘息の呼吸器を使います。

もちろん、このセリフはです。劇中でもすぐに否定します。

ここで、映像として覚えておきたいのは、マイキーという男の子は、嘘をついたり、自分のココロとは別のことをして、何かストレスを受けると、喘息症状がでて、呼吸器を使う癖がある、という点です。

実際に彼が喘息で咳きこんでいるシーンはありません。

本作品のポイントは、グーン(goon)という言葉を基にした町グーン・ドックスに住んでいる、悪ガキたちとかで表現されていますが、落ちこぼれだったり、どこか他人とうまくいかないような人たちが集まる、共同体めいたものをグーニーズという一団と呼んでいる、といったところでしょうか。

英語で、グーン(goon)は、スラング的に、ならず者であるとか、バカとか間抜けとかいった意味でつかわれる言葉です。

半ば、自嘲気味に、俺たちバカ軍団みたいな感じで使っているのですが、これが、後半になると、彼らは誇りをもって自分たちをグーニーズ(落ちこぼれ)といっているのがわかるあたりが、胸が熱くなるところです。


それぞれの欠落

物語の最初だけだと、マイキーが主人公という感じはしません。

彼は喘息もちであり、自信もあまりない少年でした。

おそらく、グーニーズの面々も、大小の違いはあるにしても、数々の冒険をしてきたことはセリフの端々でわかります。
そのため、聞いていると、もしかして、これそのものが続編だったりするのだろうか、と思ってしまう人もいるかもしれませんが、本作品は、2021年現在においては、単独作品となっており、続編も作られおりません。

スペイン語をしゃべり、非常に行動的に思えたマウスも、頭もいいのですが、誰かをだましてしまうような癖があったり、チャンクにいたっては、食べ物のこととなると見境がなくなってしまったりします。

中国系であるデータは、発明を得意としていますが、実生活において役に立っているようには見えません。

また、マイキーの兄であるブランドに至っても、グーニーズのお目付け役でありながら、自分自身も運転免許の試験に落ちてしまって、旅行に行くはずの計画を台無しにしてしまったりしています。

決して、恵まれているわけではないながらも、仲のいいメンバーが、グーニーズとなっています。

ただ、収集癖のある父親の借金のせいで、マイキーは引っ越ししなければならないことになっており、はぐれ者の彼らにとっての居場所であるグーニーズが無くなってしまうことを回避したいマイキーは、あることを思いつくのです。

ちなみに、この手の、落ちこぼれが集まって何か大きなことを成し遂げる、というのもまた定番のつくりとなっています。

ウッチャンナンチャンも出演している「七人のオタク」では、フィリピン人女性の子供を救い出すため、オタクたちが力を合わせていく、という内容になっています。

いずれにしても、ぱっとしないと思われている人間が、本当に大事なところでは力を発揮する、というのは、見ている我々も応援したくなるのは間違いないのところです。

ピタゴラ的装置

「グーニーズ」で面白いのは、様々な仕掛けではないでしょうか。

マイキーの家は、なぜかピタゴラ的装置によって、扉が開くようになっています。

ボーリングの玉が動いて、鶏が生んだ卵によってさらに次の装置が動く。
このあたりは、「バックトゥザフューチャー」とかでも、こんな感じの装置がありましたし、この当時の流行りだったのかもしれませんね。


洞窟の中にあっても、そんな装置は同様に存在しています。

正直、何のためにつくっているのかよくわからない装置が動き出して、行く手を遮っていきます。

この手の作品をみていて思うのは、 侵入者を試しているようにしか思えないつくりだったりするところです。
泥棒を撃退するのはわかりますが、考えると開く防犯装置というのは意味がないですからね。

しかしながら、「インディ・ジョーンズ」などに代表されるように、遺跡に行って、罠をかいくぐって財宝を手に入れる、というのは、ある種のロマンであり、少年たちが、欲望の為ではなく、グーニーズというみんなでいられる場所を守るために、財宝を手に入れようとするのは、非常に健全に思えるところです。

それぞれの成長


さて、「グーニーズ」は、たんなる冒険物語ではありません。

トラップがあったり、財宝があったりして、子供たちが冒険する話に思われがちですが、いわゆるジュブナイル作品として、優れた内容となっています。


はぐれ者たち(グーニーズ)が、冒険を経て成長していく物語になっているのがすばらしいところです。

マイキーは、グーニーズを守るため、あるかどうかもわからない財宝を探すため、一番消極的だったはずなのにもかかわらず、みんなを勇気づけながら進みます。

特に、コインをいれると願いが叶うという井戸の中で、

「もう一度空を見れたとしても、別の町の空だ。次のテストは、別の学校のテストだ。パパやママは僕らの幸せを願う。でも、今は自分たちのことで精いっぱいだ。僕らもここで頑張るんだ。バケツに乗ったら、それきりだ」

みんなが顔を見合わせます。

この言葉によって、途中退場しようとしていたみんなの心が一つとなります。

ちなみに、ここでマイキーは喘息の呼吸器を吸います。

彼の本心でもあったのでしょうが、彼自身、それを成し遂げることができるか自信も勇気もまだ、なかったのです。虚勢ではあったものの、弱気だったマイキーが変わっていくのがわかります。

物語のラストでは、その呼吸器を投げ捨てることで、彼の成長がハッキリわかるところも、見どころです。


敵との友情

もう一人大きく成長したキャラクターがいます。

それは、チャンクと呼ばれる太っちょの少年です。

彼は、グーニーズのメンバーの中にあっても、さらに下に見られています。
友達ではあるんでしょうが、扱いが下なのです。

彼が、フラッテリー一家に脅されて今までの悪事を告白するのですが、その内容は、かわいいものから、かなりえぐいものまで盛りだくさんです。

「見どころのある子だ」

彼がさげすまれている理由が、たんに食欲にどん欲だから、という理由だけではないことがわかります。

そんな彼が、同じように家族からひどい扱いを受けているスロースと心を通わせることによって、仲間を助けにいったりできる人間に成長し、最後には、スロースに対して「うちにおいでよ」といえるような、人間になっているのです。

登場人物たちは、大なり小なりさげすまれていたり、人より劣っていると感じている人たちですが、今回のできごとを通じて、それぞれが成長しているところが、見どころです。

マウスにしても、データにしても、それぞれの良さが認められていきます。


片目のウィリーもグーニーズ?


「わかったよ。片目のウィリーと呼ばれる理由が。僕らは似ている。あんたもグーニーズの一人だ」

財宝を見つけたマイキーは、骸骨となっているウィリーに向かって言います。

眼帯の裏側にはくぼみがなく、彼もまた、先天的な欠陥をもっていた人間であることがわかります。

決して、グーニーズのメンバーは、恵まれてはいません。

ですが、マイキーにとって、父親に話してもらっていた海賊の話、その中の人物もまた、完全ではない中で頑張っていたことがわかるのです。

関連映画

グーニーズを見て、面白いと感じた人には、同じ脚本家の作品をおススメしたいと思います。

「グーニーズ」の脚本を書いているのは、クリス・コロンバスです。

クリス・コロンバスは、「グレムリン」で一気に有名になった人物です。

「グーニーズ」の中で、チャンクが警察に電話した際に、水で増える動物の話云々という会話がでてきますが、脚本家つながりで書かれたお遊びのセリフとなっています。

なんとなく雰囲気が似ていると思った方もいるかもしれませんが、名作である「ホームアローン」も、クリス・コロンバスがつくっており、仕掛けを使って子供が悪者(大人)を撃退する、というところは、「グーニーズ」をさらに発展させた内容としてみることもできるかと思います。

ハリーポッター」の監督をやっている、というほうがしっくりくる人もいるかと思いますが、いずれにしても、様々な作品を生み出している人物であるのは間違いありません。

「グーニーズ」は、子供の時であれば勇気をもらえる作品となっていますし、何らかの差別的な扱いを受けている人にとっても、わずかな希望を与えてくれる作品となっています。

以上、「グーニーズ」の意味とは。少年たちの成長を描いた傑作映画でした!

次回も、め~め~。

この記事が参加している募集

#映画感想文

67,494件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?