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"REDCAP"代表者の大森新二さんへのインタビュー:8ミリフィルムで撮る映画制作

こんにちは。(かず)です。
今回は”REDCAP”の代表者で、学習院大学2年生の”大森新二(おおもり しんじ)”さんに取材して来ました!

REDCAPとは、日本でA24×Netflixのようなプラットフォームを作ることを目指している団体です。A24(配給会社・映画制作)のような芸術性と商業性のバランスの取れた作品を作り、Netflixのような配信サービスを目指しています。その活動の代表者が大森さんと、青山学院大学3年生の原周輝(はら しゅうき)さんになります。

そして今回、REDCAPは8ミリフィルムを用いた映画を制作する予定です。

https://twitter.com/8mmfilm_movie



今回制作する映画『A都市の彼女』(仮)は、「記憶と記録」と「生と死の境目」をモチーフにストーリーが考えられており、どちらのモチーフも大森さんの経験が反映されたものになっています(4月以降、自主上映会、Amazon Prime VideoとDOKUSO映画館での配信予定)。

https://redcapofficial.wixsite.com/redcap


今の時代はデジタルが主流の撮影方法に対し、なぜ8ミリフィルムの映画撮影を行うのか、気になることを聞いて来ました。

今回の制作費はクラウドファンディングにて募る予定だそうです!!

クラウドファンディングの詳細はこちら(↓)からご覧になれます!




ーRECCAPについて教えてください

REDCAPっていうのは、昨年の7月に、早稲田大学公認映画サークルっていうのがあるんですけど、そこの有志で結成した任意団体みたいなものです。サークルではできないような活動や映像制作をするべく、今動いています。

ーということは、映像制作の他にも色々活動されているんですね。

他にもMVを撮影したりもしています。

ー他にもメンバーが携わっているようですが、そのメンバーはどのように集まったのでしょうか。

たまたまなんですが、原さんは同じサークルの先輩だったのですが、彼は日本版A24をやりたいと言っていて、学生映画から逸脱した活動がやりたという点で利害が一致したんです。それで、作ってなんかやりましょうってことになって、彼が監督をして、僕がプロデュース面でサポートしたいなってことで2人体制でスタートしました。

ーそこから、メンバーが増えたという感じなんですか。

いや、そんなこともなくて、基本的に2人でやるつもりでした。たくさんメンバーがいますけど、他はサポートだけなので。

ー大森さんのプロフィールを見て、ご自身も映画がお好きなように思ったのですが、結構映画はご覧になられるのですか?

そんなにいうほど見てませんよ。好きですけど、人並みに見てるかなって程度です。

ーなるほど。大森さんのプロフィールを見て知ったのですが、黒澤清監督がお好きなんですね?

ああ!黒沢清監督が日本の映画監督で1番尊敬してますね。

ー他にも監督の名前が上がっていますが、好きな映画のジャンルはありますか?

僕は日本映画が特に好きで、大手じゃない、昔で言うところのATGとか日活ロマンポルノが好きです。日活ロマンポルノの作家性が強い作品が好きだったので、そこを結構観ています。

ー人並みじゃないような気がしてきました(笑)

いやいや、そんなに観てないですよ。去年は270本くらい(の鑑賞)でしたね。

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ー映画を好きになったきっかけはなんですか?

僕の進学した高校の近くに名画座の御成座(オナリ座)という、うさぎがいた映画館があったんですけど、そこに通うようになってからどんどん映画が好きになっていきました。名画座なので、いろんな監督の映画を上映するんですよね。ベルトルッチとか、スコリモフスキもやってたし、藤井道人もやってたので結構幅広かったんですよ。高校時代の出会いが、今の映画制作に繋がってると思ってます。

ー高校時代にそんな監督たちの作品観れるなんて羨ましいですね。

そうですか(笑)ありがとうございます。

ー8ミリフィルムの企画書を拝見させていただきました。映像を撮る上で、
観てる側は8ミリフィルムとして受け取ることができるのか、デジタルとの差別化は撮影側の意識だけではないのかと思ったのですが、8mmフィルムの長所を改めて教えていただけますか。

8ミリフィルムの長所は、デジタルでは表現できない質感があることだと思います。8ミリフィルムの作家で世界的に有名な池添俊さんっていう方がおられるのですが、彼の作品を全部観ても、8ミリの良さっていうのは全て引き出されています。例えば、色の表現が明らかにデジタルの編集やカラーリングなどでできないような色の出し方が8ミリフィルムではできます。あと、黒の色の出し方の多彩さが8ミリフィルムの方が優っています。8ミリフィルムが勝っているのは色の表現ですね。仮に、この作品ができて、みなさんがご覧になる機会があったとするならば、色の多彩さに目を向けていただければと思います。

ーありがとうございます。では次に、REDCAPの活動を学生がする意味はどのようにお考えですか?

フィルムで映画を作ることってほとんどないと思うんですよね。おそらく、商業映画でもほとんどデジタルになっていたり、仮にフィルムを使うとしても、みんな使うのは16ミリか35ミリだと思うんですよね。映画を作るという時に8ミリという選択肢を取れるのはアマチュアならではの強みだと思っています。だから、学生は大体の場合アマチュアなので、アマチュアにしかできないことがあるんじゃないでしょうか。

ータイトルの『A都市の彼女』(仮題)はどのような経緯でつけられたのでしょうか。

LampというバンドはMVを8ミリ、あるいはフィルムで撮っているんですよ。フィルムを使うことでLampの世界観が明確に映し出されているんですよね。8ミリによって音楽性も際立たせている。あと、今Lampってspotifyでめちゃくちゃ再生されてるんですよ。多分日本よりも海外での人気が高いかもしれないくらいのレベルでたくさん聞かれてて、そのLampの2枚目のアルバムに『A都市の秋』というタイトルがあったんですけど、そこから拝借しました。リスペクトを込めて。ただ、まだ仮なので変わる可能性はあります。

ーそれほどLampというバンドから影響を受けてるんですね。

そうかもしれませんね。あとジャケットデザインが、林誠一っていって、小梅ちゃんっていう飴のイラストレーターなんですよ。

ー作品のモチーフとなっている「記憶と記録」についてお伺いしたいです。

私事なんですが、昨年の10月に父親が亡くなってしまって、それがあらゆる面で元になっています。見方を変えると、私も父親によって残されたものなんですよ。なので、そうした残されたものも、生きていた人の記憶の一部とも捉えることができるので、それに迫った話にしてみたいと思っています。

ーお父様も映画が好きだったんですか?

全然そんなこともなく、僕と映画の趣味が被ることもなく、父は韓国のドラマとか映画が好きでしたね(笑)韓国映画って暴力シーンが多いじゃないですか。なんでそういうの好きなんだろうとか思いながら、父のことを見ていました。僕も父親の見る映画に興味なかったし、父親も僕の見る映画に興味なかったので、そういう類の話が全然噛み合わないんですよね。

ー真逆の趣味なんですね。

父親がロマンポルノとか観てるところを見たことないです(笑)本当に合わないですね。母親も韓国ドラマが好きだったので、その繋がりだったと思うんですけど。

ープロットを見て、社会性が話題になってるような気がしたんですけど、メッセージ的なことを考えているんですか?

作品で一度ディストピアSFを撮ってみたいという気持ちがあって、例えば、黒沢清監督の『大いなる幻影』みたいな世界観にしたかったんですよ。世界の終わりというか、今のコロナ禍も世界の終わりみたいな状況だと思うんですけど、そういう状況で残された私たちがどう生きればいいのかっていうのは追求していきたいと思っています。おそらくそれがメッセージなんじゃないですかね。

ーシナリオ作るときに意識されたりすることはありますか?

例えば、1つのシーンでどれだけ変化を起こせるかとか、登場人物に喜怒哀楽の4点が必ず入っているかとか、あとは、僕はどちらかと言えば構図を詰めたい人なので、どれだけその構図に意味を持たせられるかとか、印象に残すことができるかとか、そういうことをよく考えます。なので、絵ありきでシナリオを考えてるってとこはあります。

ー先に絵を作るのですか?

確かに撮りたい絵っていうのは、はっきりしている方だと思います。企画書の方にもエドモンド・ヨウ監督の『ムーンライト・シャドウ』と矢崎仁司監督の『3月のライオン』を挙げたんですけど、2つの作品とも構図が進行してるんですよね。観た感想ですけど。だから、僕とやりたいことが近かったので。

ーこの2作品のような音や映像を撮りたいとおっしゃっていたので、監督にとって大きな存在なんだと感じました。

今回キャスティングで被写体に"朝日奈まお"さんにオファーさせていただきました。彼女はモデルさんで、"古塔つみ"さんのイラストのモデルになったり、表参道の広告のモデルで出てるんですよ。なので、本当にオファーしたのがブレイクするギリギリのタイミングだったんですよね。奇跡でした。彼女を作品に出したいと思ったのも、『ムーンライトシャドウ』で主演だった小松菜奈みたいな細かい表情、繊細な表情を出すことができることが決め手でオファーしたんですよね。あどけなさを表現できるし、アダルトな表現もできる、すごく稀有な方だと思ったんです。今回映画は初めての出演になるそうです。

ーこれから撮影予定だと思いますが、これまで企画を立ち上げてからクラウドファンディングを始めるまで、苦労や楽しかったことはありますか。

割と今までの準備は楽しかったです。朝日奈さんのオファーだったり、スタッフのオファーだったり。今回、撮影監督の方も若くして活躍されている方をお呼びしたので、半分楽しみながら準備ができたと思います。なので、苦労した部分はあまりない気がするんですけど、撮影に入ると多分ものすごく大変になってくると思うので、ただ、その大変さも楽しめるような余裕を持ちながら、作品に向き合っていきたいと思っています。

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ー実績のある方達が集まっているんですね。

主演の向井花さんはプロの女優さんで、事務所に所属していまして、はっきりものが言える人なんですよ。忖度しないというか、そういう一緒に真面目にいる人がいるのはすごく心強いです。やりたいことを理解しながら、作品をよりよくしていってくださる方の存在は大きいので、そういう人たちに支えられて作れているので、幸運なことだと感じています。

ーでは最後の質問なのですが、学生である大森さんから学生にメッセージをお願いします。

「置かれた場所で咲きなさい」という言葉があるんですけど、今の時代、置かれた場所では咲けない上に、置かれた場所から出て行かないと何も出てこない気がするんですよね。今の時代にこの言葉が通用するのかなということを最近すごく考えているんです。まだ大学に行けていない人もいるし、サークル活動も十分にできていない人もたくさんいると思うんですけど、そういう人たちを見ていると、「置かれた場所では咲けないよな」と思ってしまうんです。なので、全国の大学生に何か伝えることがあるならば、「「置かれた場所に咲きなさい」という言葉について時間があれば考え直してみてもいいんではないでしょうか」と言いたいです。

僕は秋田県出身なんですけど、秋田にいるうちにSNSに手を染めてしまうんですよ。それでSNSで情報を手に入れていく中で、東京や大阪や名古屋のミニシアター文化っていうものにものすごく憧れていたんですよね。自分の全然見れていない作品がそこにあるっていうね。秋田はミニシアターが存在しないので、いわゆるインディーズ映画は地方だと上映する機会が少ないんですよね。そこでどうするかというと、自分から東京に出て行くしかないということはずっと考えてました。
最近の話で言うと、私は学習院大学という普通の総合大学に通っているんですけど、学習院大学は早稲田大学のようにサークル活動があんまり活発ではないんですよね。仮に、自分が映画撮りたい時にどうするかというと、学習院のサークルでは厳しいってことを考えたんですよ。その後どうするかっていうと、大学を出て行くというところに行きついて、早稲田大学の映画サークルに籍を置いてるんですけど、そういう色々なことを振り返ってみると、やっぱり置かれた場所では咲けないんだなと思うんです。東京に憧れを抱いていたということもありますけど、劣等感も感じてしまいますよね。自分が見れていない世界がまだあるということに後ろめたさを感じています。

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