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服装規定

今は古着屋でアルバイトをしている私だが、掛け持ちしてもっと稼ぎたいと思い、別のアルバイトに応募した。応募先は某大手ドラッグストアだ。

正直、業務内容には魅力は感じないが、求人サイトの「短時間勤務可」の文字に惹かれて応募した。

そして、面接当日。24歳ともなれば、バイトの面接など屁の河童だと意気込んでいたが、店につくと緊張し始める。

面接前に店長と軽く談笑。こいつ、目が全然笑ってねえ…!そして店長からの質問が始まる。

「どうしてウチのアルバイトに募集したのか」志望理由を聞かれる。

よく、バイのト面接で「家が近い」とか「条件がいい」とか答えちゃいけないと言われているが、ドラッグストアに対してそれ以外になんて答えればいいのだろう。「御店の薬で命を救われました。私も他の人の命を救いたいです!」なんて答えればいいのだろうか。予めよく考えていなかったので、正直に「短時間で働けるそうだったので」と答えてしまう。

それからは聞かれたことを順調に答えていく。面接も後半に差し掛かった頃、店長から服装規定について聞かされる。

上半身は、襟付きのシャツかポロシャツ。色は白かパステルカラー。下は黒かベージュのチノパン。それにエプロン着用。

!?

えっと…厳しすぎやしませんか?

もちろん、そんなこと口には出さず、黙って相槌を打つ。けれど、おそらく顔は「意味分からん」みたいな顔してただろうな。笑

すると、面接をしていた事務所の電話が鳴り、店長が出る。私に、「ごめんけど、ちょっと待っててくれる?」と行って部屋を出る。

一人部屋に残された私は、周りを見渡す。私の頭の上にはクエスチョンマークが浮かんだままだ。

私の左手側の事務所の掲示物に目を移すと、そこにはイラストと共に服装規定が記してあった。店長の言っていた通りだ。それにチノパンを明確に「綿の黒かベージュのズボン」と定義している。ポリエステル、レーヨン、ウールはダメなのだろうか。

もちろん、服装規定は必要だと思う。接客業において、見た目でお客様に不快感を与える訳にはいかない。しかし、「柄物は控えるように」ぐらいにしてくれないだろうか。

エプロンをするのに襟付きのものを着る必要があるだろうか。無地のTシャツでもよくないか。

100歩譲って、襟付きの上はわかる。しかし、パンツの規定はなぜだ。白パンは?労働者の正装のネイビーデニムは?謎は深まるばかり。

この現代において、これは厳しすぎる。いったい今の時代において、バイトの店員がパーカーを着ているからといって「カジュアルすぎる!」と怒ってくる客がどこにいるというのだろう。

私は、夏場はよくポリエステル100%のゆるっとしたパンツを好んで履く。学生時代バイトしていたアパレル店で色違いで2本買いしたお気に入りのパンツだ。汗っかきだし、敏感肌なので、肌離れがよい生地を気に入っている。絶対にこういったパンツや、自分の体それぞれに合ったパンツを履いたほうが、動きやすくて労働しやすいのに!と不満たらたらだった。

その後、無難に面接は終わったのだが。


私は、学生時代のバイトをほとんどアパレルでしてきた。だから厳しく感じてしまうのだろうか。それもあるかもしれない。しかし、この現代においてこれは厳しすぎるのでは。それとも、このぐらいの制限は当たり前なのだろうか。私がやはり、社会不適合者だということなのだろうか。

鬱憤をここに吐き出しながらアパレルのバイトに応募した私であった。


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