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【レポート #71】長野県・飯山市長選挙レポート(2022 10.23)

 長野県最北端の市で、新幹線の停車駅があり、人口が2万人を切る。 そんな、恵まれているのか否かが良く分からない街、それが飯山市です。
 そんな市で、現職が引退し新人同士の一騎討ちで争われた市長選の模様を、レポートします。


◆概要

(飯山市役所)
  • 面積:202.43㎢(長野県 第21/77位)

  • 人口:18,970人(長野県 第22位)※2022年9月1日現在

  • 人口密度:93.71人(長野県 第37位)※2022年9月1日現在

  • 平均年齢:51.4歳(46番目に住民が若い自治体)※2018年9月1日現在

  • 衆議院は長野1区に属し、

若林健太(自民・1期)氏を選出
篠原孝(立憲・7期)氏が比例復活


◆立候補者

新家 智裕 (63) 無所属 新 元副市長
江沢 岸生 (68) 無所属 新 元市議


◆前回(2018年)の選挙結果

[当]足立 正則 (67) 無所属 新 6,720票
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[落]江沢 岸生 (64)  無所属 新 6,304票  

投票率:72.34%

 前回は現職の足立候補が今回も立候補している江沢候補に迫られながら約400票差で振り切り3選を果たしました。 そして4年後、足立市長が引退を表明したコトから、この選挙は始まります。


◆POINT

①3期18年務めた現職が引退

日経クロステック より引用)

 2010年から3期12年務めた足立正則市長(71)が「若い世代にバトンタッチしたい」と今季限りでの引退を表明。 今回はその後継を争う選挙になります。
 足立市長は1978年に市職員になり、総務部長、副市長を経て市長に当選。 在任中、2015年に北陸新幹線飯山駅の開業の実現や駅前ホテルの誘致(後述)に道筋をつけたコトなどが主な実績です。
 新家候補は足立市政を副市長として支えた人物で、江沢候補は前回に続いての立候補。 これだけ見れば、両候補の立ち位置がお分かりいただけるかと思います。 新家候補は足立市長の後継で、江沢候補はその流れに抗う人物だというワケです。

②台風災害の課題への取り組み方

(飯山市公式サイト より引用)

 2019年10月の台風19号で川が氾濫し市街地の広範囲が浸水した災害が有りました。

 飯山市内を流れる千曲川。 その上流にあたる千曲市や長野市では千曲川が氾濫して市街地が浸水したのですが、飯山市は少し状況が違っていて、千曲川の水量が増えて、川の水が支流に逆流するのを防ごうと、支流と繋がる水門を閉じたところ、その支流(皿川)が増水し行き場を失った川の水が氾濫して市街地に流れたために起きた災害でした。
 水門を閉じた対応の是非や河川事務局が水門を閉じた際、市や県に連絡をしなかったコト、市民への避難勧告が遅かったコトなどの問題点が指摘され、同じ失敗を繰り返さないためにどうすべきかも争点になっており、新家候補は、かつて県庁の建設部河川課長などを務めた実績から「河川対策のプロ」をアピールし、江沢候補は役所に特別職の「危機管理防災監」を設置するとしています。

 それでは、両候補の選挙運動を見ていきましょう。

“現職に後継指名された副市長” vs “選挙大好きオジサン” 取材に行く前はそう思っていた飯山市長選。 しかし取材をするとその印象に変化が生じ、そして最後には驚きの結果に! その勝因と敗因を分析し、そこから最近の選挙における投票行動の変化を見立てます。 是非御購読いただきたく!

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