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【ゲンロン】「2021年の夏はどうなる? コロナと五輪に翻弄される日本社会のゆくえ」


 哲学者の東浩紀氏が情報発信の場として創業した「株式会社 ゲンロン」が「ゲンロンカフェ」で配信している番組です。 基本は「シラス」や「ニコニコ生放送」で有料配信しているのですが番組の冒頭部分などをYouTubeで無料配信しています。

 東浩紀氏(以下、あずまん)を初めて知ったのは(いずれ紹介すると思いますが)「久田将義と吉田豪の噂のワイドショー」という配信のゲストにあずまんが出ていて、芸能界のコトなど全く知らないけどその場で聞いた芸能ゴシップなどのニュースの内容を素早く把握し的確なコメントをビシビシ入れていくあずまんに「この人、アタマいいなぁ~」としびれたのがキッカケです。
 その後「噂のワイドショー」のイベントが2019年にロフトプラスワンで有った時は、クラファンに応募してイベントを見に行ったのですが、その時の出演者が久田さんと豪さんに、ゲストがあずまんと津田大介氏(以下、つだっち)という「あいちトリエンナーレ」で袂を分かつ直前の二人が揃うという奇跡的なイベントでした。 歴史の目撃者です(笑)

 あずまんの思想は決してリベラルではなくつだっちとは相容れない部分が多いのですが、彼のリベラルにも保守にも振り切らない姿勢から学ぶ部分は多いです。 ただ、そのどちらにも寄らない姿勢を貫きすぎた結果 “冷笑系”“逆張り野郎” に見えてしまう部分も有り、その代表的な結果が新型コロナについて語る配信を三浦瑠璃さまや小林よしのり大先生という座組でやってしまうというのが残念なところ。 あと酒呑み過ぎで酔っぱらうと見てられなくなっちゃうのがなぁ・・・

 今回ご紹介するのはゲンロンから出た本「新プロパガンダ論」の宣伝の一環で執筆者の辻田真佐憲氏と西田亮介氏とともにYouTubeで無料配信した番組です。 番組全体も興味深い内容なので見ていただきたいのですが、その中で54分頃にあずまんが語った言葉に唸らされたので引用します。

 ・・・「時事放談」というのが良く見られるという辻田さんの話が有りましたけど、僕の言葉でいうと「時事放談」を見ながら人は考えるのですよね。 (この番組を見ている)方々も僕たちの話を鵜呑みにするのではなく喋りをキッカケとして自分で考えていらっしゃると思うのです。 それがすごい大事で、コンパクトにまとまったプレゼンの資料を見てる時って考えてないのですよ。 それを見て考えたら(プレゼンに)ついていけなくなるから。 それはインプットなんですよ。
 人はインプットとアウトプットの話ばかりするのだけれどその間に考えなければ意味が無くて、(中略)「ゲンロン」はインプットとアウトプットの間を極限まで長くしているのはその間に考えるからであり、考える時間をどう確保するかが大事なのです。 この話を聞きながらブラウザを別に開きながら調べたりするのが大事であり「時事放談」は「聞く時間」というより「考える時間」なのですよ。 テレビとかラジオとかは「情報」を与えていたというより「時間」を与えていたのです。
 人間は一人でいても考えないのですよ。 人の声が聞こえてくると考える。 考えるキッカケとして話す番組を作るのが大事だったのが今はプレゼンで結論だけ言っておわりみたいな状況になっているのです。
 (中略)ただやっぱり、情報自体はコンパクトにまとめられるけど時間はコンパクトにならないのですよね、時間を確保することが非常に大事で。でもどんどん映像も文章も何もかもどんどんコンパクトになっていくのですよ。 何でかっていうと作ってる人間も見てる人間も実は情報を公開していると思い込んじゃってるから。 人間のコミュニケーションは情報を交換していないのですよ。
 だから時間を一緒に過ごすというのが非常に大事で、このコロナ禍でオンラインとかテレワークとかが進んで失ったものって、普通の言い方をすると「雑談」とか「温もり」とかになるけど哲学的に言うと「時間の共有」が無くなってるのですよ。 情報の交換だけが強くなって。 でも情報の交換というのは「理解」を作らないのですよ。 だから正しいものと間違ったものを決めたり勝ち負けを決めたり。 でも、それじゃあ「共感」が動かないので社会が動かないのですよ。

 いろんな配信を聞いて知った気になりがちな傾向が有ったりしますが、それを聞いたうえで自らが考えるのが重要である、と。 とかく全てを無条件でインプットして、その全てを脊髄反射のようにアウトプットし、ちゃんとしたコトを言った気になったりせずに、自らで考えて自らの言葉で発信するコトが大事なのだと気づかされた言葉でした。

 さすがあずまん、酒が入ってないとちゃんとしたコト言ってくれます(笑)

 それ以外にも辻田氏と西田氏による「コロナと東京五輪」をめぐる考察があり、それも興味深い内容なので、お時間が有る時に見ていただきたい配信です。 もし宜しければ・・・




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