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uso deathnote

そんなに遠くない昔、名前を書いたら人を死なせることができる「デスノート」というものが存在したらしい。
ノートを落とした死神と取引すれば死神の目を手に入れることもできたそうだ。歩いている人の本名が分かる。ということは相手の顔を見るだけで、その人を思い通りに操れる…そんなノートが実在すれば本当におそろしい話だ。

ある日私は地下鉄の車内で一冊のノートを見つけた。落とし物として届けようとそのノートを触った次の瞬間、目の前にピンクのパジャマを着たボブヘアーのおっちゃん(推定62歳)が現れた。
「このノートの持ち主は今日からあんたや。これからこの世はお前の思い通りやで。ついでにボブの目もサービスしとくわ。あんじょうやりや〜(*)」*うまくやりなさい、という意味です
ボブヘアーのおっちゃんは消えるようにその場からいなくなった。
また居眠りしてしまったか、変な夢を見たような気がする。私は降りる駅を乗り過ごしそうになり慌てて席を立とうとした。手には一冊のノートを握りしめていた。
ピンクの表紙には「uso deathnote」と書かれている。

駅のホームに出た私はその景色に目を疑った。
歩いている人の頭の上に、名前と何かメッセージ?のような言葉がピンクの文字でポヨポヨと波打ちながら浮かび上がっている。

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山田芳雄
経歴偽称

吉村美智子
旦那の歯ブラシでスニーカーを洗った(故意)

小桃多朗
梅干しが嫌い

山本耕史
殺人5人以上10人未満

人によって名前ではない言葉の振り幅が大きい。
状況が理解できないので、話しかけやすそうな人に話しかけてみることにした。

「すいません」と声をかけた男性は電話中だ。露骨に嫌な顔をされてムカついたので電話に聞き耳をたててやった。
「…ごめんごめん。今から部長との飲みで今日はかなり遅なる思うから先寝といて〜」

丁田新一 
キャバクラにのめり込み借金だらけ。今からアリサと同伴寿司。

なるほどな。
ピンクの文字はその人がついている「嘘」が書かれていたのだった。

これから私は全ての人の嘘を知ることになるのだ!みんなの嘘を知った時、私は嘘をつけるだろうか。
ややこしい事件に巻き込まれないことを祈ります。

(めんどくさいノートを拾ってしまった妄想)

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