「趣味を仕事に」のリアル

自分の好きな趣味を仕事にしたいと考えている学生、20代の若い方に向けて書きました。
私自身、勝手に趣味を仕事にした代表だと思い、その難しさや楽しさを生々しく伝えたかったです。あくまで個人的な考えであり、ひとつの参考として捉えて欲しいと思います。

わかりみが深い話

このnoteを書いたきっかけは、先日放送されたNHKの音楽番組「SONGS」でした。自粛期間中に勉強がてら嗜み始めた韓国のヒップホップボーイズグループ「BTS」。気付いたら沼落ちしていたので、彼らが出演する「SONGS」をリアタイ視聴していました。

世界的な成功を手にしたBTSはその裏側で感じてきた恐怖、それを率直に表現した楽曲「Black Swan」についてのインタビューで、グループのリーダーであるRM(アールエム)が話した言葉がとても印象的でした。

『Black Swan』の内容は「僕が音楽をできなくなった時」や「もう音楽が嫌になった時」を仮定して書いたもので、当然「そうなることもあるかも」と思うこともあります
趣味で、好きだから始めた職業だと、ビジネスや仕事になったとき、嫌になることが多いと思うんです
でもその苦しみの分だけ、喜びや感動を与えてくれるのも音楽やステージだけなんです
苦しくても、やはり「自分はこれをやるべき人間なんだ」と
毎日そう思うことの繰り返しです
- 2020年7月18日(土)放送SONGS第543回インタビューより引用 -

おそらく彼らも純粋に歌い、踊ることでスポットライトを浴びることに楽しさや生きがいを見出しこの世界に入った。トップアーティストの中でも一握りしか得られない名声も地位も得た。それでも苦しみ続ける姿から「趣味を仕事にすること」の難易度が伺えます。

RMの言葉にあるように、彼らが突き動かされステージに立ち続ける理由は、好き、楽しいというモチベーションを超えた使命感。「自分はこれをやるべき人間なんだ」と運命的に信じ込むことなんだと感じました。

「趣味を仕事にするな」の納得感

「オタクカルチャーに風穴をあける」をビジョンとしている弊社には、オタクカルチャーが純粋に好きな人たちが集まります。「オタク的に好きなものがある」を採用基準の一つにもしています。
誰しも熱狂的に好きなことの裏方、提供する側に立ちたいと考えたことがあると思います。私自身もその一人でした。

晴れて好きな仕事に就けたとして、好きな気持ちを仕事の源、モチベーションとして駆動させることは当然可能です。最初のうちは好きなことに関われるだけで幸せな気持ちになれますし、天職だと感じます。特に前職で畑違いの仕事をされていた方や学生は、やりがいのギャップに驚き満たされます。

ただこの「好きモチベーション」には限界がきます。

理由は環境への“慣れ”からです。

慣れが残酷なまで浮き彫りにするのが、社会が抱える普遍的な真実「仕事は八割つらい」ということです。
※八割は私的統計データ

好きな気持ちがガソリンとしてやる気に給油されなくなったとき、「趣味を仕事にする」ことの難易度に向き合わざるを得なくなります。求められる役割、責任、成果からくる重圧。これまで好きモチベーションが有耶無耶にしてくれていた仕事の本質が、目の前に立ちはたがり始めます。

気付けば、自分の「好き」を否定したくもなります。私も毎クール20本以上視聴していたアニメなどのカルチャーから一時的に距離を置いたことがありました。先人が言い放った「趣味を仕事にするな」の言葉が重くのしかかり、自然と離脱していく。そういった人たちを何人も見てきました。

それでも趣味を仕事にする理由

社外の友達から「お前は仕事に対してイキイキしていて羨ましい」的なことをやんわり言われます。内心、苦労も知らないくせにと悪態つきたくなる一方で、イキイキしていることも事実です。

なぜなら叶えたい野望があるからです。私は「オタクカルチャーに金字塔を打ち立てる」ことを現時点での野望としています。「金字塔」とは不滅の実績とも訳せ、つまりオタクカルチャーに国内外問わず愛され続けるビッグなコンテンツを作ること。この野望を成すため、八割つらい仕事に折れず立ち向かえるのだと思っています。

意識高めなモチベーション、だと感じたかもしれません。モチベーションは努力を引き出すもの。引き出しはたくさん持つほうが有利なはずです。野望とは種類が違うモチベーションの一つに、「チームで成果を出し、みんなで盛大に打ち上げをする」ことがあります。大きな結果が出たときの飲み会ほど尊いものはありません。私は下戸ですが、盛大な飲み会を開くために努力できる、これも自身の大きなモチベーションの一つです。

仕事の本質と対峙しそれでも今を諦め切れないのであれば、新たなモチベーションの源泉を探しに出ましょう。それは個人の野望でも、所属する組織が見ている未来に対しあなたに望まれる役割でも大丈夫です。ポイントは現状手が届かない理想を描くことだけ。

ただ結局の話、挙げたモチベーションは趣味から始まった今の仕事が好きだ、という土台の上に成り立つものです。先程のRMの言葉にもあるように、苦しまされ続けるけれど「喜びや感動を与えてくれるのも自分の好きなことだけ」です。だからこそ自分の好きを大事にして欲しいと思います。

どんなことであっても、人は好きなものに対しては熱心に努力し、上達が早いという意味の故事「好きこそものの大事なれ」。この言葉に隠れた意味を理解した上で、茨の道に一歩踏み出す若い人が増えると嬉しいなと思います。



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