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数学者ダージリン博士による幸福論

21.4点

ーーさすがはうちの子だ。

ーーねえねえ、点数以外に何か書いてあるわよ?

ーー本当だ、なになに

・高校の進学は学校を選ばなければ入学可能です。
・中学校卒業時に就ける仕事の種類は14,5程です。
・大学進学された場合、就ける職種が16、7に増加します。

ーー大学はお金が勿体ないってことね。
それだけでなく、大学出ても就ける仕事の数が1、2個しか増えないなら、高校の学費だって無駄かしら?

ーーそうだな、この子は中卒で働いた方が人生効率が良いかもしれないな、よし、それなら溜めていた学費でカジノでも行くかい、母さん

ーー今から荷造りしなくっちゃ

2×××年、数学者ダージリンによって証明された『人間価値の最終定理』は、その数式によって人間の価値や可能性は生まれながらに数値化することができる。

直ぐに社会実験が行われ、およそ609802人を180年追跡調査した結果、『被験者と人間価値の最終定理によって導かれた個人の点数には大きな相関関係が認められる』という結果になった。

『人間価値の最終定理』はすぐに各国に適応され、生まれてきた子供は遺伝や脳の偏りなどを調べられた後にAIが点数をつけて、その点数により、その子供の人生のレールがすべて定められたものになった。

数十年後、数学者ダージリン博士の子孫である、社会学者アップルティ博士が幸福に関する社会調査を行った。

結果、『人間価値の最終定理』が導入される以前よりも150%幸福度が上がり、200%治安が良くなり、600%貧富の差が無くなったというデータが取れた。

「数学者ダージリン自伝~人生の一服~」によると
博士は人間の価値についてこう記していた。

「人は定まらないがために、耐えず連続的な不安に怯え、慢性的なストレスを抱え心身に異常をきたす。それはとんでもないことだ。元来人の営みは3つ程度だったが、発展した社会は人間に無数の選択を与えすぎた、その結果『選択の誤りによる後悔と未練』が永遠に脳に残り、そのために脳は幸福なことにリソースを避けなくなる。そして自己を過大にも過小にも評価し、それが一生涯続くがゆえに、人は苦しみ続け、また争い続けるのだ」


「社会学者アップルティ自伝~ダージリンとは違う甘さ~」によると
博士は人間の幸福についてこう記していた。

「私たちが過去に自由と呼んでいた概念は、実は絶望と同じものだった。それはすべて農耕社会が生んだ安定性の副産物であり、我々が狩猟採集民族のままであったら、時間という概念に『未来』というものは生まれなかっただろう。つまり、ダージリン博士が繰り返し記していたように、定めてしまえば、不安は減少し、未来はなくなる、その結果人々は幸福に生きることができる」

そのあと、カジノに行った夫婦は散々に負けて破産した。
それも二人の『人間価値の最終定理』に書いてあったことで、
二人は一つも不幸を感じることなく生活していった。


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参加させて頂きます。
ちょっと長くなってしまった。
ちょぉぉぉっとね。

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