優柔不断な飼育員ってだけ。【なるべく動物園】
ナルキッソスという花が好きだけど、なぜか動物関係の専門学校を卒業して、なるべく動物を扱う仕事から離れたいと考えながら、動物園に就職をしていた。
私の人生って、そう、なんていうのか。
動物とばっかり話していると言葉が出てこなくなる。
あ、そうそう、優柔不断だ。
その連続で出来ていると思う。まじめに。
優柔不断ポイントを集めて、換金できるなら、私ってとっくに大金持ちなのに。
考え事をしていたら、リンゴが手から転がっていった。
ウォンバットのリーちゃんがのしのし歩いてくる。
リーちゃんの担当になってから、何年だっけ。
いつから動物が苦手になったのかわからない。
リス猿も可愛くないし、ハリネズミだってイマイチ。
餌をあげておしまい。
我ながら冷たい人間なんだなって思う。まじめに。
恋人にも優しくできなかったし、家族とも数年連絡を取ってない。
なんでだろう?色んなものが煩わしくて、色んなものがお節介だからかな?
私ってやりたくもない仕事して何してんだろう。
人生ってそんなものか。
リーちゃんはリンゴを食べると思いきや、
素通りして、私の足元に来た。
床掃除のために、屈む。
りーちゃんは私の膝に乗って、脇に顔を埋める。
温かい。獣臭い。
お前も大変だな。
別に人と過ごすから寿命が延びるわけじゃなくて、
天敵もいないし、餌にも困らないから長生きできてるだけなのにね。
人間の勝手なイメージ。
うさぎとおんなじ。
人間の方が、人間がいないと寂しくて死んでしまう動物がいないと死んでしまう生き物なのでは、なんてうまい事言ってみたりして。
リーちゃんはいつも私の膝の上で足踏みをする。
私も人からのイメージに疲れた。家族も友達も元恋人も。
リーちゃんと一緒だな。気持ちわかってくれる?
リーちゃんも一緒に転職する?
一人と一匹でどこか行こうか?
温泉でもいいかもね、
リーちゃんカピバラさんじゃなくてウォンバットさんか、でもいいよね、温泉気持ちいいよ。
ほらリンゴ食べな。
なんかお前のことは好きなんだよなぁ。
もっと、おいで、昇ってきなよ。
お客さんのことなんて考えなくていいよ、
ここは私たちの世界ってことでいいじゃん。
あーあどうしようかな、仕事辞めたいな、でもリーちゃんと離れるのは、なんか違うかも。
あーあ、参ったなぁ。
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400文字程度を考えていたのに、書いているうちに増えてしまった。
410文字くらいってことは、ちょっとオーバーしても平気よね?
500文字くらいオーバーしても問題ないね?(すっとぼけ)
怒られませんように。
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