ファイトクラブの感想と流行の破滅ノリ

ファイトクラブを最近見た。

結構古いはずの映画なのに人の抱える悩みはおんなじなんですね。

二重人格とかのミステリー要素もめちゃくちゃ面白かったです。ところどころで違和感は感じてたし、2回見て楽しめるやつ。
劇中のサブリミナルの下りとかも洒落が効いてる。

その中でも強く心を動かされた理由は、破滅願望のようなものをつつかれたから。
すべてを投げ出した刹那的な生き方って変な魅力がありますよね。

厨二病っぽいけどこういう刹那的、最近流行ってますよね。メンヘラ文化とか。


needy girl overdoseっていうゲームがめちゃくちゃ流行りました。ヒロインはヤク中でリスカして承認欲求で生きてて頭の悪い破滅的女の子。
ヨルシカっていうバンドが出した「盗作」という歌詞の一節。
『何一つもなくなって、地位も愛も失って。何もかも失ったあとに見える夜は本当に綺麗だろうから。』

今インターネットで気軽にアクセスできるようになったのも流行りの一端なんだろうなと思う。tiktokとかで刹那的に、楽しそうに生きてる人見たらそりゃ憧れますよね。

今の生き方は面白くない。なら全部投げ出したらどうなんの。その景色を見てみたい。ってなるのも普通。そこに美しさがあるんじゃないかと期待してしまう。
ってなってる大学生、多いんじゃないですかね。

なんでこうなるかっていうと、結局今が楽しくないからだと思うんですよね。歌詞でいうと『何ひとつも満たされない』って。

しかも、将来楽しくなる展望もない。今って、現時点で10年後最高に上手くいっててもこの辺だろうなあみたいな想像が割とできる。
これも現代で破滅文化流行ってる一端な気がする。

今楽しくない、しかも将来もたぶんこのくらいしか楽しくないであろう。じゃあもうどうでもよくないか的な。

ただ、大多数は本当に破滅しようとするのではなく破滅ごっこして雰囲気を味わうくらいにとどまっている。
本当に自殺目的でリストカット、オーバードーズをする人って何%なんだよという。


ファイトクラブの主人公も楽しくなかったんですよね。アウトローに生きているのを理想として夢に見るんです。

突然殴り合いにハマっていくって傍から見ると異常なシチュエーションなのに、序盤かなり感情移入できた。
当時もそういう人たくさんいたんだろうな。

本当の魅力は殴り合いでもビルが崩壊するシーンでも二重人格トリックでも勿論サブリミナルでもなく、ここだと思っています。
破滅には憧れがあるけど実際にやる勇気はない、そこで実際に破滅にしてみてくれる主人公を軸として引き込んで、最後に気持ちいい伏線回収と美しいエンドのカタルシスで名作!的な。

古い映画だからとか言わず、拗らせ大学生はめちゃくちゃ楽しめるやつでした。

毎日楽しく暮らしてる人には刺さらないのかなと思ったけど、楽しさしか感じていない人なんていないしみんな思うところあるから名作扱いなんだろうな。

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