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チラ詩の裏

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個人で書いている詩をまとめています。目標は1日1回更新。 現在30日連続更新達成。
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2022年6月の記事一覧

チラ詩の裏16

人は皆
心の中に
怪物を飼って
生きている
人の不幸や
嘆きを餌に
育つ怪物を
飼っている
強い怪物は
不幸を蒔いて
弱い怪物は
喰われて犬に
人は皆
心の中に
怪物を飼って
生きている

人は皆
心の中に
怪物を飼って
生きている
弱い心は
抗えず
怪物は外に
顔を出す
強い心は
飼い慣らし
その姿秘して
見せることなく
人は皆
心の中に
怪物を飼って
生きている

チラ詩の裏15

青い空に白い雲
肌を撫でる風は優しく
忙しなかった時には
気づけなかった
そんな小さな幸せ

ただいまと言えば
おかえりなさい
ご馳走様といえば
お粗末さまと
追い込まれていた時には
感じることもできなかった
そんな小さな優しさ

ゆったりとした
時間の中で
先は見えなくても
なんとかなりそうな
そんな気がする
そんな小さな希望をもって
生きてていいのかなは
生きててよかったになっていた

チラ詩の裏14

道が見えずに
立ち尽くす
辺りは真っ暗
何も見えない
前か後ろか
右か左か
どこへも道は
作っていける
どこでも行ける
思うがままに
どこへも行けず
足は重くて
一歩が出せず
立ち尽くす

声が聞こえた
まずは足踏み
声に従い
僕は足踏み
一歩を踏み出す
第一歩
踏み出せなくても
第一歩

だんだん足踏み
軽くなる
だんだん一歩が
出せる気がする
も一度辺りを見渡して
なんだか道がたくさんで
声が

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チラ詩の裏13

死んだ魚と目があった
成仏しなよと目を閉じて
僕は海へと飛び込んだ

魚のように自由でありたい
願いを込めた飛び込みだった
底への着地は10点ですか?

お前は金槌だったのか
魚の嘆きが聞こえたような
気にせず僕は歩きはじめた

龍宮城はどこですか?
見かけた亀に問いかける
この世にゃ無いよってそりゃ無いよ

宿屋を見つけて一休み
キラキラ輝く海底世界
明日はどこまで行こうかな

朝目を開けると見

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チラ詩の裏12

そよ風の海に
体を預けて
見えた景色は
冠雪の山

どこへ向かうの旅人さん
どこへ向かおう相棒くん

降り出しそうな
星のカーテン
眺める僕らは
川に踏み入り

どこへ向かうの旅人さん
どこへ向かおう相棒くん

花のじゅうたん
転がり進む
いつまで転がる
止まるまで

どこへ向かうの旅人さん
どこへ向かおう相棒くん

真っ暗闇の
壁が隔てる
此方と彼方の
境界線で

どこへ向かうの旅人さん
ここで

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チラ詩の裏11

雨に打たれてゆらゆらり
草に紛れる一輪の
白は目立たずゆらゆらり
ひとりぼっちで寂しそう

雨が強くてふらふらり
まっすぐ立てない一輪の
花は目立たずふらふらり
守るものなどありはせず

雨が終わってぽたぽたり
今は項垂れ一輪も
水気払ってぽたぽたり
背筋伸ばして立ち上がる

チラ詩の裏10

行き先求めてコインを投げた
表なら右へ、裏なら死のう
そして僕は右へ向かった
街まで10キロ、裏が良かった

行き先求めてコインを投げた
表なら右へ、裏なら死のう
そして僕は右へ向かった
お空綺麗だ、表で良かった

行き先求めてコインを投げた
表なら右へ、裏なら死のう
そして僕は右へ向かった
野盗の群れだ、いま裏だった?

行き先求めてコインを投げた
表なら右へ、裏なら死のう
そして僕は右へ向かっ

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チラ詩の裏9

吸い殻入れに落としたタバコの数を数える
ひいふうみいよで数えきれずに
ごめん仕事が終わらなくてと
最後に届いてから2時間
もう少し待とうあと少し待とう
そう言い続けてもう3時間
も一度タバコに火をつけた

今日が終わるまでの時間を数える
ひいふうとあともうわずかで
せめて日付が変わる前に
君がいるだろう方角へ
ハッピーバースデーと小さくつぶやく
お店の電気はとうに消え
も一度タバコに火をつけた

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チラ詩の裏8

前に進もうお気楽に
脳みそ空っぽノープランでも
なんとかなると笑って進めば
そのうちどこかにたどり着くでしょ

前に進もうお気楽に
いろんな場所に寄り道しても
そのうち着くと笑って進めば
きっと道はできているでしょ

前に進もうお気楽に
目の前が崖で進めなくても
振り返ってから前進すれば
ほらまた前に進めてるでしょ

前に進もうお気楽に
前も後ろも高い壁なら
右か左に角度を変えて
それから前に進め

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チラ詩の裏7

紫陽花眺めて小一時間
雨に打たれても花びらは
落ちることなくしがみつく
力強いと表すか
潔くないと表すか
どちらが正しいかその前に
正しくあることに意味はあるのか

みんな出て行ったこの街で
一歩踏み出す勇気もなく
地元に1人しがみつく
いい歳した大人が
まだ若いという理由で
分不相応に可愛がられる
そんなぬるま湯から離れられずに

家から離れず言い訳ばかり
家族の面倒見なきゃとか
地域貢献しなき

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チラ詩の裏6

今日のご飯は何にしよう
さっぱりしたもの食べたいな
そうめんうどんそばにひやむぎ
決まらずスーパー見て回り
値段見比べ手に取った
もやしはやっぱり安くていいな

今日のご飯は何にしよう
がっつり肉でも食べたいな
唐揚げ角煮回鍋肉
スーパー歩いてふと気づく
値段気にして意識すら
できない牛肉食べてみたいな

今日のご飯は何にしよう
最近金欠安く上げたい
安売りされてる野菜求めて
スーパー歩いてカゴに

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チラ詩の裏5

先を行く背を追いかける
左手にタバコ
右手にお酒
タバコのにおいが嫌いな僕は
こうはならんと心に誓う

先を行く背を追いかける
左手には数珠
右手は握りしめ
笑顔で会話する姿に
こうはならんと心に誓う

先に行く背を追いかける
左手にスーツ
右手にネクタイ
嬉しそうに僕に合わせる姿に
気恥ずかしくてそっぽを向いた

先に行く背を追いかける
左手にビール
右手に焼き鳥
一緒に呑むのが夢だったと
笑う

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チラ詩の裏4

人の波をかき分けて
我先にと走った
金魚にしようか
あてものもいいな
かき氷も食べたいね
親からもらったチケットを
左にくしゃりと握りしめ
右ではビー玉がカラリ

人の波をかき分けて
並んで歩いた
どれから食べよう
フランクフルトに
焼きそばもあるね
親からもらった千円札
お兄さんの前では見栄張って
右ではビー玉がカラリ

人の波の流れに合わせ
並んで歩いた
焼きそばでいいかい
そうだねあとはいつ

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チラ詩の裏3

ああ神様、これは試練なのですか
どうして私にこのような
試練を課すと言うのですか
こんな深夜に焼肉の
香りを嗅がせるなんて
こんな試練がふゅるされへひいはふはいほへふ

ああ神様、これは試練なのですか
どうして私にこのような
試練を課すと言うのですか
こんな朝からスパイスの
香りを嗅がせるなんて
こんな試練が……いやしかし、カレーは飲み物だからセーフでは?

ああ神様、これは試練なのですか
どうし

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