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何者でもない私の読書日記

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何者てもない私が読んだ本たち。
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2022年4月の記事一覧

【河鍋暁斎】星落ちて、なお(澤田瞳子/文藝春秋)―読書感想【河鍋暁翠】

【河鍋暁斎】星落ちて、なお(澤田瞳子/文藝春秋)―読書感想【河鍋暁翠】

第165回直木賞受賞作。

あらすじ

河鍋暁斎の娘、とよ(暁翠)の物語。
父であり師であり、偉大な絵師だった河鍋暁斎の葬儀の夜から物語は始まる。とよには姉、兄、弟、妹がいるが、姉は河鍋の家と関わりを持とうとしない。兄は喪主は務めたものの、後始末もせずに家に帰ってしまう。
他家に養子に出された弟はへらへらとだらしがなく、妹は病弱。
河鍋の家の諸々を引き受けながら、妹と細々と暮らすとよ。しかし五歳か

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【興福寺】龍華記(澤田瞳子/KADOKAWA)―読書感想【焼き討ち】

【興福寺】龍華記(澤田瞳子/KADOKAWA)―読書感想【焼き討ち】

まずは推しの末っ子を主人公にして小説を書いて下さってありがとうございます、と澤田瞳子先生に申し上げたい。

本作の主人公となっている範長は、父親の藤原頼長が保元の乱で負けた後、兄たちと同様に流罪となり、奈良に戻ることなく亡くなったとされている。没年も不明。

そんな範長で、いや範長だからこそ、このような作品の主人公となり得たのかもしれない。

あらすじ

興福寺のトップとなるべく入ったのに、父親の

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