見出し画像

読書の記録(54)『青ノ果テ 花巻農芸高校地学部の夏』伊与原新

手にしたきっかけ

今年の青少年読書感想文全国コンクールの課題図書でもある『宙わたる教室』を先に読んで伊与原新さんを知った。理系に疎い私も置いてけぼりにされない感じ。お話の展開に引き込まれてぐんぐん読んだ。

他校の司書さんが以前に「『宙わたる教室』いいですよ」と薦めてくれていて、「夏休み中に読みました!面白かったです!」と報告したら、「『青ノ果テ』もいいですよ」とさらに伊与原新さんの本を薦めてくれた。

ちょうど6年生の先生から宮沢賢治の作品について紹介してほしいと言われていたこともあり、最近『銀河鉄道の夜』や『よだかの星』を読み直したところだったので、ちょうどいいなあと思って読んだ。

心に残ったところ

夏休みに三世代で青森へ行った。そのときに泊まった『青森屋』で『みちのく祭りや』というショーを観た。これが予想以上によくて、若いスタッフさんの姿を見ていて、なんだか泣きそうになった。若い人たちが溌剌と踊っている姿を見るだけで感動した。私は『鹿踊り』をこの本で初めて知った。きっと壮多の踊る『鹿踊り』も、若さ故のエネルギーや溌剌さがあるんじゃないかと観てみたくなった。

物語は、宮沢賢治の世界を踏襲しながら進んでいく。転入生がやってくる場面は『風の又三郎』を想像させる。『雪渡り』や『どんぐりと山猫』のエピソードも出てくるので、知ってる、読んだことある!と嬉しくなりながら読んだ。宮沢賢治を知らなくても楽しめるとは思うけれど、宮沢賢治の作品やその世界感(雰囲気)を知っていると、より楽しめると思った。

お話はミステリーを読むように、どんどん引き込まれていく。姿を消した七夏の言う「カムパネルラが死なない世界」って何? なぜ、いなくなってしまったの? という謎がだんだん明らかになってくる。

『銀河鉄道の夜』に第三次原稿と、第四次原稿とがあり、結末が違うことも初めて知った。そういった新たなことを知りながら、宮沢賢治の世界を一緒にたどって旅をしている気分になれた。

青春小説としても読めるし、ミステリーとしても読めるし、いろいろな要素があるので、読む人それぞれにささる部分があるお話だと思う。

まとめ

『青ノ果テ』を読んでから、宮沢賢治の作品を読むのもいいなあと思った。小学生にはまだ難しいかもしれないけれど、紹介だけはしてみようかなあ。今は読めなくても、中学生、高校生になったときに、読んでくれたらいいなあ。



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?