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読書の記録(3) 『月の立つ林で』

読んだ本

『月の立つ林で』 青山美智子 ポプラ社

手にしたきっかけ

2023年の本屋大賞のノミネート作品で読みたいと思っていた。『木曜日にはココアを』『お探し物は図書館まで』を読んでいたので、この『月の立つ林で』も似た感じで、読めるだろうと思った。

心に残ったところ

五つの短編からなる。それぞれが独立しているようでつながっている。それぞれの主人公がそれぞれに魅力的で応援したくなる。弱いところや不器用なところなど読者が共感できるポイントがたくさんあって、普通の人の普通の暮らしに寄り添っている感じがする。大きな事件や事故が起きるわけではないので、安心してゆったりとした気分で読める。

『voicy』を家事のときなどに聞くようになって、好みのパーソナリティさんができた。好きな人の番組を毎日聞くのが習慣になっている。ポッドキャストも同じ感じかなあと想像しながら読むことができた。音声配信が出てくる小説を読んだのはこの『月の立つ林で』が初めてだ。

ポッドキャスト『ツキない話』もなんらかの伏線なんだろうなあとは思っていたけど、タケトリ・キクチが誰なのかをあまり深く考えないまま、ぼーっと読んでいた。最後の章でドキッとさせられた。年を重ねて涙もろくなったけど、本を読んで泣くことはなくなってきていた。それなのに、久々に本を読んでいて泣きそうになった。ゆったり穏やかに話が進むので「くるぞ、くるぞ!」と構えずに、油断していたからかもしれないけれど。

登場人物がつながっているところがこの本の醍醐味だと思うので、ちょっと時間をおいて、もう一度読み直してみたい。

こういう話を作るときって、作家さんの頭の中はどうなっているんだろう?初めに人物相関図的なものがあって、それぞれのお話を作っていくのだろうか。キャラクターが頭の中で動き出して、つながっていくのだろうか。全て緻密な計算のもと作られるのだろうか。不思議だ。

今のところ、私が読んだ中では、この作家さんのベスト作品だと思う。

まとめ

2023年度の本屋対象にノミネートされた本を少しずつ読んでいる。オーディブルも含めると数冊読んだ。ミステリー系をまだ読んでいないせいもあるかもしれないけれど、私の好きな作風が多い気がする。


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