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読書の記録(15)『巨大おけを絶やすな!日本の食文化を未来へつなぐ』竹内早希子 岩波ジュニア新書

『巨大おけを絶やすな!日本の食文化を未来へつなぐ』 竹内早希子 岩波ジュニア新書

手にしたきっかけ

学校図書館司書の研修で、YA向けにおすすめの本をリーフレットにまとめることになった。他校の司書さんが提案してくれた1冊。その方が、小豆島に行きたいとおっしゃっていて、気になった。写真も多く、イラストもわかりやすくて、読みやすそうと思った。

心に残ったところ

木桶の寿命は100年から150年らしい。ということは、一度買ったら、子どもや孫の世代までもつ。長持ちするのはいいことだけれど、その分職人さんの仕事がなくなってしまう。時代の変化とともに桶屋はどんどん廃業してしていく。

日本酒、醤油、味噌…、丁寧に手間暇をかけて作られたものは美味しい。職人さんたちの仕事ぶりを尊敬しつつ、大事に味わう生活がしたいと思う。でも、大量生産されたもので似た風味のもので、安く手に入るものがある、となれば、そちらへ流れてしまう。一升瓶を持って酒屋へ醤油を買いに行くという生活は私にも馴染みがない。ペットボトルに詰められたものをスーパーで買ってくるのがごく普通の生活をしている。日本の伝統的な作り方がなくなるなんて、そんなのもったいない、和の文化を絶やすなんて…、と思う一方で、既に享受している利便さは失いたくない。私もそうだが、消費者はわがままだ。

『タガフープ世界選手権』のくだりを読んでいて、『世界の果まで行ってQ』で見たことがある気がする…と思い出した。テレビで見たときは、大きいなあ〜、テルマエ・ロマエでルシウスが入っていた桶風呂よりも大きいなあぐらいの感想だった。あの巨大なタガを作るのにも、竹やぶの手入れをして、竹を育てて、15m以上の竹をまっすぐに割って、乾燥させて、編み上げて、と気の遠くなるような作業があるということを、初めて知った。

本筋とはズレるかもしれないけれど、自分の中に点と点としてあったおぼろげな知識がこの本でつながった気がした。吉野で育った木をどうやって和歌山から小豆島まで運ぶのか、身近にあった木桶の使い方や、トイレの話。 菱垣廻船と樽廻船の違い。そういえば聞いたことあるようなないような、どこかで習ったような習っていないような、といったフワッとした知識が本を読んでいくとつながって興味深かった。知らなかったこともたくさん知ることができた。

子どもが大きくなってきて、旅行先が変わってきた。数年前から社会見学というか、平和学習体というか、大人が行きたいところへ連れて行くことが多くなってきた。学生の時小豆島に行ったことがある。『二十四の瞳』の舞台ということで、学校を訪ねたのは覚えているが、醤油のことはあまり覚えていない。近いし、訪ねてみたい。巨大おけの実物を見てみたい。

以前に読んだ、三浦しをん『神去なあなあ日常』『神去なあなあ夜話』をもう一度読み返したくなった。

まとめ

国語の入試問題を作るために問題の本文に使えないかと岩波ジュニア新書を集中して読んでいたことがある。一つのテーマを掘り下げて書いてあるので、大人が知りたいことの入門書として読むに最適!

今回久々に岩波ジュニア新書のおもしろさを堪能した。どこかで聞いたことがある知識がつながっていくのが楽しい。

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