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読書の記録(14)『「ここ塗ってね」と画用紙を指差したわたしの指を丁寧に塗りたくってくれる特別支援学校って最高じゃない?』平熱 飛鳥新社

『「ここ塗ってね」と画用紙を指差したわたしの指を丁寧に塗りたくってくれる特別支援学校って最高じゃない?』 平熱 飛鳥新社

手にしたきっかけ

長いタイトルと、「任せとけ!」とういう表情で青い絵の具を塗る表紙のイラストにひかれた。字も大きく読みやすく、メイ ボランチさんのイラストもかわいい。

心に残ったところ

初めは支援学校での「あるある」とか、子どものかわいいつぶやきとか、ほっこりする感じかなと思って読み始めた。軽い気持ちで手に取って読み始めたけと、なかなか奥が深い。自分の仕事観を見つめ直すとか、自分がやりたいことを手帳に書き出してみるとか、そんなところにまで連れて行ってくれた本だ。

はじめにのところに

この本は、今までのツイートの中から101本を集め、そのすべてに新しく解説とイラストをつけたものです。

p.3

とある。私はこの本で著者の平熱さんを知った。たぶんツイートで見ていても、流れていって、ここまで心に残らなかった気がする。初めはざーっと読んで、次は行ったり来たりしながら読んで、イラストのいきいきとした表情に心をつかまれて、この本をが好きになった。言葉の持つパワーとイラストの持つ情報量のバランスが私にはとても心地よかった。

このツイートを目にしたあなたにだけ、とんでもない秘密を教えるね。
「特別支援教育は全人類に有効です」

p.6

初めは「全人類」ってちょっと大げさちゃうん?、「全米が泣いた…、的な?」って思っていた。けれど、まずはストレートに自分に有効だった。自分を自分をまるっと受け止めるって大事、と改めて思わせてくれる。そして、大人に有効ってことは子どもにも有効、職場でも、家庭でも、どこででも有効、とじわじわとわかってくる。

差別の根っこって何だろう、「普通」「できる」ってなんだろう、と考えさせられる。個に応じた支援?合理的配慮?学校でどこまでできるの?どこまでやるの?と考え出すと難しくてこんがらがりそうになる。けれど、まずは目の前の子どもをよく見ることから始めようよ、できることから少しずつでいいんじゃない?まずは大人の気持ちに余裕がないと!と原点に立ち返らせてくれる。

うまくいかなかったことは、どこでつまづいたのかを分析する。こうやったらうまくいくかもと、違うやり方を試してみる。1回ではうまくかないので、手を変え品を変えやってみる。大人ではなく、クラスの子が関わると上手くいくこともあるかも?こうやって試行錯誤しながら子どもと関わっていくうちに、大人も子どもも成長していくんだろうなあと思う。

まとめ

タイトルに『特別支援学校』って入っているけど、全ての大人に読んでほしい。自分の家庭を後回しにして、目の前の子どもたちのために一生懸命働いている先生はもちろんだけど、子どもと関わるすべての大人に読んでほしい。子どもと関わる仕事に就きたいと思っている人にも。

先生だって人間だから、ちょっぴりお疲れの日もあるし、うまく行かない日もある。準備万端で授業に臨んでも、想定外のことが毎日のように起きる。それでも、子どもたちがにこにこして帰るのを見ると、学校っていいなあと思う。子どもたちが帰った後、「そうそう!今日こんなことがあって…」と先生たちが談笑できる学校は最高だ。

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