見出し画像

読書の記録(46)『みんなの研究 ブロックでなんでもつくる!ビルダーの頭の中』 三井淳平 偕成社 

手にしたきっかけ

今年度、勤務校の図書館に毎日小学生新聞を置いている。2024年5月1日にビルダーの記事があった。どうやってあんな作品を作るんだろう?と前から思っていたので読みたいと思った。

心に残ったところ

巻頭のカラーの作品のページから引き込まれてワクワクする。大きな作品が次から次へ出てくる。あれも、これも、何かで見たことがある気がする。

この本には作品のメイキング映像のQRコードが載せられている。本を読んでから映像を見て、作品を改めてみると、さらに感動が深まる。基本的に詳しい設計図は描かないそうだ。そうと知って『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』のメイキングを見ると、本当だ!と感動する。

初めはものすごい量の青いブロックを土台の上にひたすらに積み上げていく。映像の後半の青から白い波の部分にさしかかったあたりが圧巻だ。早送りになっているから一瞬だけど、作っては壊し、壊しては作り…という試行錯誤が何度も何度も行われている。

浮世絵という平面に描かれた葛飾北斎の作品はヨーロッパの人たちの度肝を抜いた。その浮世絵をもとに、レゴで立体で表現した作品が、またまた世界の人々の度肝を抜く。こういう芸術の楽しみ方もいいなあと思った。

この本は大人が読んでも楽しいけれど、子どもも十分楽しめると思う。というか、一緒に楽しみたい。きっとあの子も、あの子も興味を示しそうというのが想像できる。

偕成社のホームページによると、小学校5年生以上で習う漢字にはふりがながつけてあるそうだ。本文のフォントもUDぽい感じで読みやすい。小学生にわかりにくそうな言葉も本文中で言い換えてあり、そのまますんなりと意味が入ってくる。子ども向けに全てを易しい言葉に置き換えてあると、少し子供じみたと印象の本になってしまう。そうならない微妙なさじ加減がいい。幅広い年代に薦めやすい本だと思う。マインクラフトが好きな子にもお薦めしたい。

一つのことを極めて仕事にするって本当にすごいなあと思う。以前読んだ吉藤オリィさんも子どもの頃折り紙が好きで最長14時間も連続でやっていたらしい。今回三井淳平さんのメイキング動画を見て、この人も同じだ!と思った。大学院を出て、エンジニアとして就職もしたけど、それでも好きなレゴを副業として続けていた。本当に好きなことってどれだけ忙しくても、他に仕事があっても、やり続けたいんだよなあと改めて思う。好きなことに集中してひたすら制作するという強みは魅力的だし、かっこいいなあと思う。

まとめ

小中学校で学ぶ基本的なことは全部やった方がいい、というのもすごく説得力があった。先生や親が言うときれいごとに聞こえて子どもらには響かないかもしれない。けれど、本で読むと子どもたちにもすーっと入る気がする。楽しくて、ためになって、自分もやってみよう、と意識を変えさせてくれる本だと思う。

三井淳平さんの作品の実物を見たくなった。成田空港のレゴストアにあるという『風神雷神図屏風』を見てみたいなあ。

この記事が参加している募集

#読書感想文

189,937件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?