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読書の記録(4) 『わたしの空と五・七・五』

読んだ本

『わたしの空と五・七・五』 森埜こみち 講談社


手にしたきっかけ

司書の研修会で市内の中学校の司書さんにすすめてもらった。以前、中学校の読書会で、こまつあやこ『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』

を使いたいという依頼があり、わたしの勤務校の本を使ってもらったことがあった。

そのときに、森谷明子『春や春』

(この本も高校の入試問題に使われていいたのがきっかけで読んだ)の話をして、「俳句や短歌が出てくる小説が好きだ」といったのを覚えていてくださって、すすめてくださった。ありがとう!

この『わたしの空と五・七・五』に『第19回ちゅうでん児童文学賞対象受賞作品』選者のことばというリーフレットが挟まれていた。選者に斉藤洋さん、富安陽子さん、鷲田清一さん、のお名前があり、この3人による『選者のことば』にも惹かれてすぐに読みたくなった。

心に残ったところ

俳句が好きでも好きでなくても、俳句に詳しくても詳しくなくても、俳句に興味があってもなくても、すーっと読めて、俳句の楽しさや良さがじわじわと伝わってくる。プレバトが好きな人なら、きっと楽しく読めるはず。

小学校から中学校に上がり、どうやって友だちを作ろうかとドキドキしたり、ちょっと苦手だと感じるクラスメイトがいたり、先輩との距離感がつかめなかったり…。みんなが体験したことのあるような心の揺れがいくつも書かれていて、「そうそう学校ってそういうところ」って思う。

人は表現したいという思いを本能的に持っているのだと思う。前職で一番楽しかったのは生徒らと表現活動をしているときだった。学年の取り組みとして、行事の振り返りに、作文をよく書いていた。初めは、「え〜」「また〜?」「書くことない〜」「む〜り〜」などと言っているが、そのうち1人、2人、と書き始めると、シーンとなる。原稿用紙の18行目までは作文を、ラストの2行に短歌を一首書かせることが多かった。恥ずかしそうに、うれしそうに、ドヤ顔で、「これ、どう?」と聞いてくる生徒らの顔を思い出した。テストの点や成績はあんなに気にして隠そうとするのに、自分が作ったものはすすんで評価してほしいと差し出してくる。

句会のシーンを読んでいて、こうやって人に聞いてもらうことや認められることが嬉しいんだなあと改めて思った。大人も句会や読書会やビブリオバトルが楽しいのだから、その楽しさを10代のうちに体験してほしいと思う。

まとめ

句会とビブリオバトルはどこか似ている気
がする。自分の『推し』について語るとき、みんな生き生きしていた。普段は見られないそんな姿を見るのも楽しかったし、職員室でその話をするのも楽しかった。幸せな時間だったなあと思う。


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