私と母 2
私はアダルトチルドレンかもしれないが、母は毒親なのか?
ACについて勉強し始めてから最初にぶち当たった壁はそこだった。
私は健康に愛されてこなかった。
その事実を到底受け入れることができなかったのは、心の中では大人になった今でも母のことを信じていて、いつか私のことを理解してくれるはずだと願っていたからである。
愛されてない?
そんなはずない。それじゃあ私は今までなんのために頑張ってきたのか分からない。
なんのために辛い思いをして母に認められたいと思ってきたのか分からない。
そこを納得するまでにかなりの時間を要した。
でも認めない限りは本を読み進めることもできない。
私は一応納得した程にして勉強を続けることにした。
しかし1ページ、また1ページと本を読み進めるに従って、心が抉られるような感覚だった。
だんだんと母親からされたあんなこと、言われたことを思い出すうちにその理不尽さにも気がつき始めたのだ。
確かに母は可哀想だった。
確かに母は忙しかった。
それでも幼い子供にとって、無視をされたり我慢を強いられたり、物分かりの良さを求められることは親の都合以外の何ものでもない。
あの人の心の中に、私の気持ちに寄り添おうとした瞬間が1秒でもあったのだろうか。
ACについて認識をしていくと、必ずと言っていいほど親への怒りや悲しみの感情が湧いてくる。
それはごく自然な反応らしい。
そして多くのACがその感情を親にぶつけたくなる。
それも自然な反応らしい。
だけどそれを実行したところで多くの場合願ったような(全てを理解して謝罪をしてくれる等)反応を得ることは難しい。
それどころかお互いに傷つけあって終わる可能性の方が高い。
いくつもの本にそう書いてある。
そうしてはいけない。
分かってる。
本当はカウンセラーに思いの丈を受け止めてもらえば良かった。
だけれど私は今1人でこの事に向き合ってしまった。感情のやり場がない。苦しい。どうしたらいい。
母のことを好きでいたい。大事に思っていたかった。
でも湧き上がってくるこの悲しみはなに?
ACについて勉強しようと意気揚々としていた時から早数ヶ月。
完全に本を捲る手は止まっていた。
我慢しなきゃ。
母はどういうつもりで私にあんなことを?
我慢しなきゃ。
母にとって私って何?
我慢しなきゃ。
生まれてこなければ良かった。
限界だった。
気がつくと私は実家に向かい、過去に起きた出来事のひとつひとつを母に問いかけた。
どんなつもりであんなことをした?
どんなつもりでこう言った?
母にとってなにか意味があっての行動なのだったら、もしかしたら納得できるかもしれないと思っていた。
しかし母から返ってきたのは
「なにも覚えていない」
「昔のことをほじくり返してなんになる!私が謝れば気が済むのか!」
「私は忙しいんだ!」
「眠い」
視線も合わせることもなく、もう私は何も聞きませんという態度
だった。
そうだった。
昔からずっとそうだった。
母は私に対するあらゆる事から逃げる。
だからこうなったんだった。
何を期待していたんだろう。
初めて私はこの人の元を離れなきゃと思った。
そこから私は再び本を読み進めることができた。
母を毒親だと認めることができたからかもしれないが、どちらかというと母を私の手で救うことはできないのだと気が付いたからだった。
母もきっとアダルトチルドレンである。
一度も会ったことのない母方の祖母の話を母はあまりしようとしない。
母はずっと苦しみの中で生きてきた。
だから母は過去の嫌な出来事の中か、未来への不安の中ばかりにいて
今ここにいる兄妹たちのことを見ることができなかった。
母の苦しみは、母が気が付かない限り誰にも救うことはできない。
そして私の苦しみも、私自身が気が付かない限りどうすることもできない。
私は自分のために一生懸命になって良いと思うことができて、気がつくと母と連絡を取ることも会うこともなくなっていた。
私と母の話は次で最後!
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