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24/09/19 (木)「0.50%利下げを決断したFOMC」寄り前情報

要点まとめ

  • FOMCでは0.50%利下げが実施

  • パウエル議長会見では雇用の堅調さとその維持を主張

  • ドットプロットでは中央値として年内0.25%×2回分の利下げを示唆

  • 市場ではそれよりさらに1回分の利下げを予想している状態


0.50%利下げを決断したFOMC

米国株主要三指数の値動き:

昨晩の米国市場では非常に注目されていた米金融政策を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)の結果が出ました。
先週末から期待を再度膨らませたものの確信までには至らなかった0.50%という通常(0.25%)より大幅な利下げを実際に実施し、株価は一時しっかり上昇。
しかし、このFOMCを睨んだ短期トレードの売り・買いポジション手仕舞いもありそうな中で株価は上昇と上げ幅縮小を繰り返し、終値としては主要三指数(NYダウ・S&P500・NASDAQ総合)は揃って小幅安となりました。

前日の夕方noteにて注目ポイントとした点を振り返っていきましょう。

-- 大幅利下げ実施 --

(前日挙げた注目点:FOMCの結果)

昨晩の市場で注目されたのは当然FOMCの結果でした。

既にFRB高官らから利下げの開始を示唆されていたこともあり、利下げ実施自体は完全に織り込まれていたものの、利下げ幅に関しては揺れている状態にありました。
ISM製造業景気指数や雇用関連指標の(予想に比べた)弱さを受けて通常の倍となる0.50%(0.25%×2)を実施する可能性をこの2ヶ月では織り込み始めたものの、一方で他の経済指標では米経済底堅さもみえていた中では確信には至らずにいました。

特に、先週発表されたCPI(消費者物価指数)などの物価指数を受け、一度は0.25%利下げが優勢になったものの、欧米のメディアによって"FRBは未だ利下げ幅を決めかねている"という報道があったことを受けて大幅利下げ期待を再燃させ、今日に至ります。

結果として、今会合では0.50%の大幅利下げを実施。📌
最もタカ派で知られるボウマン理事が0.25%利下げを支持する形でこの決断に反対票を投じたようですが、他の11票はすべて0.50%利下げを支持する形となっていました。

この結果に株価は上昇、為替ではドル安円高方向で反応。
しかし織り込んでいた面もあり、なおかつ"FOMCトレード"ともいうべき短期トレードの売り・買いポジション解消もあってか株価は上昇と上げ幅縮小を繰り返し、方向感の乏しい展開となりました。

また、今会合では四半期の会合ごとに更新されるFOMC参加者らによる経済・物価見通しの Summary of Economic Projections (SEP) の公表があり、そこでの各年末毎の政策金利を予想するドットプロットも公表。📌

中央値としては今後複数回の利下げをおこなうことが予想されており、少なくとも"残る2会合で連続の0.25%利下げ"または"2会合のうちの1会合で0.50%1回"ということが示唆される内容となっています。

ただ、CMEのFedWatchツールを見る限り、市場では年末時点でさらにもう一段階の利下げを織り込んでいる面もあり、そこまでの内容に至らなかったことが株価のはっきりとした堅調さに繋がらなかった面があるのかもしれません。📌📌

また、パウエル議長は会見で雇用は以前の(過剰な過熱感からは)明らかに冷え込んでいるものの、堅調さは継続しており、金融政策の再調整(recalibration)をすればその堅調さを維持できると主張。
あくまで"弱い経済状態に対処する"のではなく、"後手にまわらない"ための政策調整であることを主張しました。

今回のFOMCの詳細は深掘り記事としてまとめます。


S&P500業種別指数などの動き:

S&P500業種別指数は11業種中2業種上昇となりました。

やや下げ銘柄が多いという形でのまちまち感のなか、上昇セクターは2つだけ。
エネルギセクターはやや上昇多め。
コミュニケーション・サービスでは時価総額の大きいAlphabetやMetaが小幅上昇だったこともありセクター指数は小幅上昇、ただT-MobileやNetflixの下げなどが目立ち、全体として堅調なわけではありませんでした。

下げ業種が多めで、米長期金利がやや上昇する中で公益事業セクターが軟調。
Appleは上昇したものの、ほかのハイテク株が軟調だった情報技術セクターも下げが相対的に大きめ。

その他の主な動き:

-- その他指数 --

米長期金利(10年物国債利回り)は大幅利下げ決定が分かった直後は下落するも、利下げをかなり織り込んでいる状態だっただけに、その後はむしろ上昇に転じました。
主要株価三指数が揃って小幅安で終えた中、小型株指数のラッセル2000はわずかに上昇。📌

-- 欧州株 --

FOMCの結果が出る前に終了した欧州株は慎重さを見せ、やや下げが広がって終了。STOXX600は0.5%安

-- 為替(ドル円) --

ドル円はFOMC終了直後に142円から一気に140円半ばまで円高方向に動きましたが、株価や長期金利などが方向感をはっきりしないなかでこちらも反転。
むしろ円安方向に動き、142円台前半に。


今日の注目ポイント

-- 本日の日本市場 --

本日の日本市場のポイントとして、
①為替の不安定さ
②強いセクター探り

の2つを挙げます。

まずは大荒れとならなかったFOMC。
ただはっきりとした方向感をみせなかっただけに、今週がSQ週となる米国市場が今晩からどういった方向感をみせていくかを見極めたいところ📌でもあります。

一方で日本株市場では為替に依存して最近はよく動くだけに、そうした動きを待たずに今日から動き出すかもしれません。
気になるのは、ドル円は円安方向に進んだこと。
明日には今日から開催される日銀会合の結果が出るため、為替の動きを見るうえでもしばらく待ちたいところだとは思いますが、一先ず今日の反応がどう影響するか。
米国株が必ずしも堅調でない上、半導体株はやや軟調だっただけに、バリュー株優勢などのセクターの強弱がでてくるかもしれません。
来週の中間配当取りを意識した動きにも注目。

-- 今晩の米国市場 --

方向感がはっきりしなかっただけに、一晩明けた反応に注目。
また先に述べたように、今週は米国にとってのメジャーSQ週。
VIX(ボラティリティ・インデックス)がやや上昇している中、週末にかけての短期ポジションの調整でも上下しやすい中ですので、来週にかけての方向感を探っていきたいところ。


今日の小言

(相場に関係ある話・ない話をテキトーにつぶやく場)

パウエル議長の会見では"recalibration"や"recalibrate"という言葉が多用されていました。
ちなみに記者会見ではみんなたくさん質問したかったのか、一人当たりの質問の多さに戸惑うパウエル議長に会場が笑いに包まれる場面が何回かみられたのが印象的でした。


指数・今後の重要イベント

終値
Dow 30 : 41,503.10 ( -0.25% )
S&P 500 : 5,618.26 ( -0.28% )
NASDAQ: 17,573.30 ( -0.31% )


イベント
(誤字、表記ミスがたまにあるため、必ず自身でもご確認を)

2024年9月第3週
09/19 (木): 米9月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
09/19 (木): 米8月中古住宅販売件数
09/19 (木): 英国金融政策委員会
09/19 (木): 日銀金融政策決定会合(~09/20 20日に会見予定)
09/20 (金): 日本8月全国消費者物価指数

2024年9月第4週
09/23 (月): 秋分の日 振替 日本休場
09/23 (月): 欧米9月PMI 速報値
09/24 (火): 米9月消費者信頼感指数
09/25 (水): 米8月新築住宅販売件数
09/26 (木): 米8月耐久財受注 速報値
09/26 (木): 配当・株主優待 権利付き最終日
09/26 (木): 米実質GDP(確報値) Q2
09/27 (金): 米8月個人所得・個人支出・PCEデフレーター
09/27 (金): 日本9月東京都区部消費者物価指数 速報値
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2024年9月第5週/10月第1週
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10/02 (水): 米9月ADP雇用統計
10/03 (木): 米9月ISM非製造業景気指数
10/04 (金): 米9月雇用統計

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10/07 (月): 日銀公表 8月消費活動指数
10/08 (火): 景気ウォッチャー調査 9月調査
10/08 (火): 日本8月分毎月勤労統計調査 速報
10/08 (火): 日本8月分家計調査
10/09 (水): FOMC議事要旨公表
10/10 (木): 米9月消費者物価指数
10/11 (金): 米10月ミシガン大学消費者信頼感指数 速報値
10/11 (金): 米9月卸売物価指数

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10/17 (木): 米10月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
10/17 (木): ECB理事会
10/18 (金): 日本9月全国消費者物価指数
10/18 (金): 米9月住宅着工件数

2024年10月第4週
10/23 (水): 米9月中古住宅販売件数
10/23 (水): ベージュブック公表
10/24 (木): 米9月新築住宅販売件数
10/25 (金): 米9月耐久財受注 速報値
10/25 (金): 日本10月東京都区部消費者物価指数 速報値

2024年10月第5週/11月第1週
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10/29 (火): 配当・株主優待 権利付き最終日
10/29 (火): 米10月消費者信頼感指数
10/30 (水): 米10月ADP雇用統計
10/30 (水): 日銀金融政策決定会合(~10/31 31日に会見予定)
10/30 (水): TOPIX浮動株比率の定期見直し実施前日(リバランス発生見込み)
10/30 (水): 米実質GDP(速報値) Q3
10/30 (水): 米財務省 国債の四半期の定例入札予定発表
10/31 (木): 米9月個人所得・個人支出・PCEデフレーター
10/31 (木): 米雇用コスト指数 3Q
11/01 (金): 米10月ISM製造業景気指数
11/01 (金): 米10月雇用統計

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