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23/12/06 (水)「一転して全面高」引け後情報


要点まとめ

  • SQ週らしく、節目を意識した動きが続いた日経平均株価

  • 東証プライムは昨日全体の8割値下げ、今日は一転全体の1%だけ下げ

  • プライム市場の売買代金は前日と同程度

  • 空売り比率が大きく低下、慌てた買い戻しも?

  • 今晩の注目はADP雇用統計、明日も明後日も雇用指標が注目

一転してほぼ全面高状態

株価指数等の値動き:

本日の日本株は東証プライムのうち、値下がり銘柄が全体の1%に留まるほぼ全面高状態となりました。
昨日は日経平均株価が33000円を割り込み、そのまま下げ幅を広げる弱い値動きとなりましたが、今日は33000円を回復した後、そのまま上げ幅を広げていく動きに。
メジャーSQ週らしい値の振れ方をする2日間となりました。

-- 急な反発で買い戻しも? --

今週はメジャーSQ週であるため、日経平均の先物では節目の33000円をにらんだ動きが非常に意識されそうな3日間📌となりました。
月曜日には33000円の手前で踏みとどまるも、その晩の米国株の軟調さもあって、翌日火曜日は33000円割れ。そのまま弱含む中、空売り比率も上昇していました

しかし火曜日の晩は日経平均の重しとなっていた連日の米超大型株の下落が一服し、その動きを受けたように今日は上昇
米長期金利が下落する中でもドル円は円高方向にあまり動かなかったこともあり、すぐに33000円を回復すると、そのまま上げ幅を広げました。
直近の日経平均株価が下落基調(前日までは直近10営業日で7営業日下落)となっており、低い水準を維持していたところから日々の空売り比率が大きくなり始めていただけに、慌てて買い戻す動きも巻き込んだような本日の空売り比率の低さにもなっていました。

東証業種別・市場別指数などの動き:

東証の業種別指数をみてみると、33業種すべて上昇でした。
上げ幅が最も大きかったのは精密機器。昨日の下げ率が最も大きい業種でもあります。
騰落率下位の方では相場が弱かった前日でも上昇していたような業種が並んでいるのをみると、上昇上位は直前の下げからの買い戻しの勢いも巻き込んだようにみえます。
電気・ガス業に関しては、テロ対策上の問題点がみられ運転が禁止されている柏崎刈羽原発について、改善が図られているとした報告を受けた検査報告を受け、運転禁止命令の解除が近いとの思惑から、東京電力の株価が急伸したことを受けて上昇上位になっています。

東証の発表した本日の空売り比率の合計は36.7%
11月は45%を超える空売り比率になる日が一日も無かったほどに売り圧力が小さかった中、昨日、一昨日と45%を超えていたものの、今日の株価急伸で一転して36.7%と非常に小さい水準に。

その他の主な動き:

本日の全市場の売買代金ランキング上位15位、スタンダード、グロース市場の上位5位はこのようになりました。

全市場の売買代金では上昇が目立つ形に。
その中でも際立ったのは、連日大きく上昇しているさくらインターネット(詳細は昨日のnote)、上述の思惑が材料となった東京電力など。

グロース市場では個人投資家の保有比率が増えたりと、SNS上で話題になり、仕手化が続いているような海帆の売買代金が上位に。
ただ、場中に業績の上方修正を発表したGNIが直後に乱高下する形で売買代金を途中から増やし、結局はGNIが売買代金1位。
3位は今日上場のQPS研究所が入るも、公開価格の2倍を超える初値をつけたあと、一気にストップ安へと張り付く結果となりました。

GNIの乱高下のあったタイミングで東証グロース市場250指数やグロース市場コア指数は乱高下し、マイナス圏に一時転じる場面も。
以前のnoteでも指摘した通り、偏った銘柄の動きに依存し過ぎているようにみえ、指数の歪みがやや気になります。


コラム:来週のFOMCの注目点

今回の内容は、

来週は年内最後のFOMC。
それを前に注目しておきたい点を軽く整理。

という話。

-- 捻りのない回答 --

来週のFOMCで注目したいのは捻りのない答えですが、
・パウエル議長の会見内容
・Summary of Economic Projections (SEP)の内容
に注目したいと思います。
ただ気になるのは、「パウエル議長が出すメッセージ」と、「四半期ごとに公表されるSEPの内容」の足並みがそろっているのかという点です。

-- 高官らのスタンス --

SEPは四半期ごとに公開される経済・物価などの展望を出した資料。
来年末においてメンバーらが政策金利(FF金利)がどの程度の水準となっているのかを予想した中央値が出ます。

最もハト派寄りな印象が強いのはフィラデルフィア連銀のハーカー総裁
ほかの高官らよりも早い段階で利上げ据置きを支持する発言をしており、「FF金利はピークまたはピークに"近い"」という言い方を(今でも)している高官がいる傍らで、ハーカー総裁は「十分なことをしてきた」という発言をしています。
逆にタカ派寄りな印象なのがFRBボウマン理事。利上げの必要性を繰り返し、直近でも2%の物価目標に進むペースが遅いことを危惧してか、追加利上げの必要性を主張。

直近で最も印象的だったのは、FRBウォラー理事が「物価の鈍化が数ヶ月に渡ってしっかりと続き、ディスインフレが確信できたならば、経済の状況に依らずに利下げに踏み切ることはできる」と発言したことで、債券市場などでは利下げへの期待がさらに織り込まれたことです。

-- SEPと会見発言のバランス --

そうなると気になるのは高官らが次回SEPにおいて示すそれぞれの金利展望にバラつきが出そうなこと。
中央値として見た場合、もしかするとハト派寄りの2024年末見通しとなるかもしれません。
仮に前回のSEPよりも来年末の金利予想が大きく下方修正されたとして、それに対して市場が必要以上に盛り上がる可能性があります。
(とはいえ、FedWatchでの織り込み方や、債券市場の利回り低下の動きなどをみると、先んじて織り込んでしまっているため、好感されるためのハードルはやや高い可能性も……?)

そうした場合、パウエル議長のその後の会見としては、利下げ期待で盛り上がり過ぎる市場を牽制するための発言をする可能性もあります。

そのため、どの程度のバランスのとり方までを市場が許容するのかがポイント📌に。
(このコラム欄を書き始めていた)12月1日時点でのFedWatchの2024年のFF金利の誘導目標は4.00%~4.25%の確率が30%で最も高くなっています。
4.25%~4.50%が次点で26%となっており、先のことなのでバラつきが激しいものの、9月FOMCで発表されたSEPの見通しでは5.1%(ちなみに6月SEPでは4.6%)。

かなり大きな下方修正が出されない限りは市場の織り込んでいる予想には追い付きません。
もちろん市場ではFRBが簡単に下方修正するとは思っていないはずなので、市場に理性があれば、ある程度の許容はあるとは思います。

最近の利下げ期待で市場が乱痴気状態にあるのか、理性を持っているのかが判断されることになりそうですね。


明日の注目ポイント

-- 今晩の米国市場 --

今晩の注目はADP雇用統計。
本番ともいえそうな金曜日の労働省発表の米雇用統計を前にどんな反応をするのか。
昨晩はJOLTSが市場予想を下回ったことを受けて米長期金利が低下。
ADP雇用統計や明日の晩の新規失業保険申請件数の内容が、同じような内容となるか、また異なる見解を与えるのかに注目。

-- 明日の日本市場 --

引き続き気になるのは水準を意識した動き
今日は日経平均株価が昨晩のNASDAQ反発の流れに乗って上昇。
仮に今晩米国株が下げて終えた上で、日経先物が弱含んだ場合、再び節目での値動きが気にされることになります。
一方、米国株が堅調だった場合においても、その先に待っているのは年初来高値の水準となります。
明後日のSQ算出日までは値の振れ方に注意です。


指数・今後の重要イベント

終値
日経平均株価       : 33,445.90 ( +2.04% )
TOPIX        :  2,387.20 ( +1.90% )
東証グロース市場250  :    698.49 ( +0.68% )
東証プライム市場指数   : 1,228.27 ( +1.90% )
東証スタンダード市場指数 : 1,166.52 ( +0.99% )
東証グロース市場指数   :   889.68 ( +0.56% )
スタンダード市場トップ20: 1,104.61 ( +1.57% )
グロース市場コア     :    915.56 ( +1.34% )

東証プライム 売買代金: 35298億円


イベント

2023年12月第2週(メジャーSQ週)
12/06 (水):米11月ADP雇用統計
12/08 (金):米11月雇用統計
12/08 (金):米12月ミシガン大学消費者信頼感指数 速報値

2023年12月第3週
12/12 (火):米11月消費者物価指数
12/12 (火):FOMC(~12/13 日本時間14日早朝にパウエル議長会見予定) 
12/13 (水):米11月卸売物価指数
12/14 (木):ECB理事会
12/14 (木):英国金融政策委員会
12/14 (木):米11月小売売上高
12/15 (金):米11月鉱工業生産
12/15 (金): 米12月PMI 速報値

2023年12月第4週
12/18 (月):日銀金融政策決定会合(~12/19 19日に会見予定)
12/19 (火):米11月住宅着工件数
12/20 (水): 米12月消費者信頼感指数
12/20 (水):米11月中古住宅販売件数
12/21 (木):米12月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
12/22 (金):日本11月全国消費者物価指数
12/22 (金):米11月耐久財受注 速報値
12/22 (金):米11月新築住宅販売件数
12/22 (金):米11月個人所得・個人支出・PCEデフレーター

2023年12月第5週
12/25 (月):クリスマス 米休場
12/27 (水):配当・株主優待 権利付き最終日

2024年1月第1週
01/01 (月): 元日/新年 日米休場
01/02 (火): 日本休場
01/03 (水): 日米休場
01/03 (水): 11月JOLTS雇用動態調査
01/03 (水): 米12月ISM製造業景気指数
01/03 (水): FOMC議事要旨公表
01/04 (木): 米12月ADP雇用統計
01/05 (金): 米12月ISM非製造業景気指数
01/05 (金): 米12月雇用統計

2024年1月第2週(SQ週)
01/08 (月): 成人の日 日本休場
01/11 (木): 米12月消費者物価指数
01/12 (金): 米12月卸売物価指数

2024年1月第3週
01/15 (月): 「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」開示企業一覧表公表
01/15 (月): キング牧師記念日 米休場
01/17 (水): 米12月小売売上高
01/17 (水): 米12月鉱工業生産
01/17 (水): ベージュブック公表
01/18 (木): 米12月住宅着工件数
01/19 (金): 日本12月全国消費者物価指数
01/19 (金): 米1月ミシガン大学消費者信頼感指数 速報値
01/19 (金): 米12月中古住宅販売件数

2024年1月第4週
01/22 (月): 日銀金融政策決定会合(~1/23 23日に会見予定)
01/25 (木): ECB理事会
01/25 (木): 米12月耐久財受注 速報値
01/25 (木): 米12月新築住宅販売件数
01/26 (金): 米12月個人所得・個人支出・PCEデフレーター

2024年1月第5週/2月第1週
01/29 (月): 配当・株主優待 権利付き最終日
01/30 (火): 12月JOLTS雇用動態調査
01/30 (火): FOMC(~1/31 日本時間1日早朝にパウエル議長会見予定) 
01/31 (水): 米1月ADP雇用統計
02/01 (木): 英国金融政策委員会
02/01 (木): 米1月ISM製造業景気指数
02/02 (金): 米1月雇用統計

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