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23/12/07 (木)「荒い値動きのメジャーSQ週」引け後情報


要点まとめ

  • 植田総裁の発言などで、12月会合にも修正思惑がやや再燃

  • 日本の長期金利が上昇、為替は円高方向に動き、株価は下落

  • 日経平均は節目33000円をにらんだ動きが続いていただけに大きく反応

  • 明日はメジャーSQ算出日

荒い値動きのメジャーSQ週

株価指数等の値動き:

本日の日経平均株価は大きく下落
今週はオプション・先物のSQ算出日が重なる3ヶ月に一度のメジャーSQ日をむかえるなか、日経平均株価は節目の33000円という水準としては最も意識されそうな値を挟んだ動きになっており、一日の値幅が非常に大きい日が連続する形となっています。

-- SQ、円高、てんやわんや --

日経平均株価は一昨日節目の33000円を割り込んだ後、下げを大きくする値動きに。空売り比率もやや高めに。
しかし昨日は一転して急騰し、33000円を回復したあとも上げ幅を拡大しました。この動きを受けて、売り手の動向としては買い戻しも誘ったのか、空売り比率は非常に低い一日となりました。

そして迎えた本日は米国株の主要三指数が揃って下落した流れを受ける形で、日本株も下落。朝方に一気に抜けるような最近の動きよりは粘ったものの、日中に植田総裁の発言(後述)により無風通過がやや期待されていそうだった12月会合に新たな思惑が広がる形となり、これが節目を抜ける燃料になったのかは分かりませんが、一気に弱含む動きとなりました。
空売り比率も一転して大きい一日となりました。

為替が円高方向へ動いたこともあり、TOPIXバリュー、グロースはともに下落するも、保険業、銀行業などは底堅く、バリュー優勢(というよりはグロース劣勢というべきか)によりTOPIXの方が日経平均株価よりも下げ幅が小さくなっています。

新興市場では再び全体として弱含み、東証グロース市場250指数は2.3%安と下落。25日移動平均線も下抜けてしまいました。📌

東証業種別・市場別指数などの動き:

東証の業種別指数をみてみると、33業種中5業種上昇でした。
前日同様、柏崎刈羽原発をめぐる思惑が広がっている東京電力が大幅高で牽引する形となり、上昇1位の業種に。
日本の長期金利が上昇するなか、保険業、銀行業も堅調。
WTI原油先物価格の下落があり、米国ではエネルギーセクター、日本では鉱業が下げを大きくする中、燃料高の重しが後退することを好感する形となってか、空運業が堅調でした。

下落が大きいのは海運業のほか、大型ハイテク株の下落が重しとなった電気機器など。

東証の発表した本日の空売り比率の合計は46.4%
昨日は非常に小さい水準だったのに対し、今日は高かった月曜日や火曜日を上回る空売り比率の高さになっています。

その他の主な動き:

本日の全市場の売買代金ランキング上位15位、スタンダード、グロース市場の上位5位はこのようになりました。

東京電力が前日と同様に盛り上がったほか、さくらインターネットも上げ幅を縮めたものの直近の材料で上昇していた勢いを残し、相場に逆行。
植田総裁の発言を受けて銀行株が堅調だったりしたものの、御覧の通り売買代金上位は大きく売られたものが散見されます。

グロース市場では昨日新規上場のQPS研究所が売り気配で始まり、その後は急騰。
昨日は公開価格を2倍以上上回る値段で初値をつけたあと、すぐにストップ安まで動いて張り付くという動きをしており、2日続けて非常に荒っぽい動きに。
そこに資金が向かったのか、売買代金が最近多かったGNIグループ、カバー、海帆などは売買代金が小さめになりました。


コラム:植田総裁の気になる発言

今回の内容は、

1週間前にも触れた通り、日銀会合について思惑が交錯しやすい時期。
今日も植田総裁の動向を受け、日本の長期金利が上昇。

という話。

-- 先週のnoteを振り返ると --

まず、先週の火曜日にあげた夕方noteのリンクを再掲。
内容としては"日銀会合の3週前から、思惑的な動きが出やすい"といった話です。

-- 先週は無風ムード --

先週時点では日銀の植田総裁が2%の安定的・持続的な物価目標の達成について「十分な確度を持って見通せる状況にはなお至っていない」と述べていました。
日銀の中村審議委員も政策修正に関し、「今は慎重な対応が必要であり、もう少し時間がかかる」と発言をするなど、先週時点では無風ムード。

-- 突然のほのめかし --

しかし、今週は一転し思惑が広がりやすい発言が続く形に。
まず、昨日の日銀の氷見野副総裁が講演で「将来(緩和政策の)出口を迎えた場合に何が起こるのか」について説明。
出口のタイミングや進め方を間違えなければ良い結果に繋げることは十分に可能だと説明しています。
ただし、出口戦略に向かう時期については「特段の予想を持っていない」とし、具体的な言及は避けました

また、本日は参議院財政金融委員会にて、今後の抱負を聞かれた際、「年末から来年にかけ、一段とチャレンジングになる」と発言。
これについて、まだ年内最後の日銀会合を終える前に、まるで終わったかのように「来年は」と言ってしまうことを避けた表現なのか、それとも年末に何か変化をもたらす気があるということなのか📌……

これにより12月会合への思惑が広がる形となり、今日は日本の長期金利(10年債利回り)が大きく反応し、朝は0.65%程度の水準であったのに対し、夕方頃には0.75%へと上昇しました。

さらに同日、岸田首相と植田総裁が会談。

会談といえば、8月にも同様におこなっており、7月におこなったYCC修正についての説明をしたと語っていました。
岸田首相はその後、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を掲げています。「デフレ」という当然のように前からあったはずの問題について、わざわざ物価高騰の消費に影響がより問題となっている時期に触れ始めたとあって、(完全な想像の範疇でしかありませんが)総裁に講じられたことでようやく気付くことがあったのではないかと感じるような不思議なタイミング。

話題になっていることに飛びつきやすいという意味で、よく言えば"臨機応変"、悪く言えば"精査したとは思えない内容で先走ってしまう"傾向のある岸田首相にとって、今回の会談の中でも何か言われたのであれば、岸田首相の発言・政策運営に表れるかもしれませんので、注意深く政策の方もみていきたいところです。


明日の注目ポイント

-- 今晩の米国市場 --

今晩の注目は新規失業保険申請件数の発表など。
内容としては先週分のため、先月の半ばを調査対象とする雇用統計の内容を探る材料にはあまりなりませんが、雇用関連指標への注目が高い1週間であるだけに、要注目。
特に日本としては、夕方以降も進んでいるドル円の円高方向への動きがどうなるのかが気になる📌ところ。

-- 明日の日本市場 --

日本としての注目はやはりSQ算出後の動き。📌
節目でメジャーSQ日を迎え、さらに先物主導が非常に目立つ数ヶ月だっただけに、凄まじい振り回され方をして、海外市場のおもちゃにされてしまっている印象のある日経平均株価。

一旦整理されるチャンスとなりますが、そんな中で植田総裁の発言でマーケットが荒っぽくなりやすいという展望しづらい雰囲気。
十分今年は上昇したうえ、先月の上げ幅も非常に大きかっただけに、年末にむけてもう一花咲かせたいという層が多いかというと疑問符

ここ数週間は日銀会合への思惑を感じないで過ごしていただけに、物色先もまた変わる可能性に注意しながら、どんな流れになるのかを見守りたいと思います。


JPXの投資部門別売買状況
・原則毎週第4営業日に更新されています(大型連休時に例外あり)
・発表の前週分の売買動向が発表されます
・ここでは個人・海外投資家の現物先物の動向をピックアップ
・先物に関して、ここでは以下の数値を合計して計算
日経225先物、日経225mini、日経225マイクロ、
TOPIX先物、ミニTOPIX先物、JPX日経400先物、マザーズ先物

・この前週以前のデータはX(旧Twitter)にて。


指数・今後の重要イベント

終値
日経平均株価       : 32,858.31 ( -1.76% )
TOPIX        :  2,359.91 ( -1.14% )
東証グロース市場250  :     682.28 ( -2.32% )
東証プライム市場指数   : 1,214.20 ( -1.15% )
東証スタンダード市場指数 : 1,156.69 ( -0.84% )
東証グロース市場指数   :    870.58 ( -2.15% )
スタンダード市場トップ20: 1,094.77 ( -0.89% )
グロース市場コア     :   889.01 ( -2.90% )

東証プライム 売買代金: 37010億円


イベント

2023年12月第2週(メジャーSQ週)
12/08 (金):米11月雇用統計
12/08 (金):米12月ミシガン大学消費者信頼感指数 速報値

2023年12月第3週
12/12 (火):米11月消費者物価指数
12/12 (火):FOMC(~12/13 日本時間14日早朝にパウエル議長会見予定) 
12/13 (水):米11月卸売物価指数
12/14 (木):ECB理事会
12/14 (木):英国金融政策委員会
12/14 (木):米11月小売売上高
12/15 (金):米11月鉱工業生産
12/15 (金): 米12月PMI 速報値

2023年12月第4週
12/18 (月):日銀金融政策決定会合(~12/19 19日に会見予定)
12/19 (火):米11月住宅着工件数
12/20 (水): 米12月消費者信頼感指数
12/20 (水):米11月中古住宅販売件数
12/21 (木):米12月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
12/22 (金):日本11月全国消費者物価指数
12/22 (金):米11月耐久財受注 速報値
12/22 (金):米11月新築住宅販売件数
12/22 (金):米11月個人所得・個人支出・PCEデフレーター

2023年12月第5週
12/25 (月):クリスマス 米休場
12/27 (水):配当・株主優待 権利付き最終日

2024年1月第1週
01/01 (月): 元日/新年 日米休場
01/02 (火): 日本休場
01/03 (水): 日米休場
01/03 (水): 11月JOLTS雇用動態調査
01/03 (水): 米12月ISM製造業景気指数
01/03 (水): FOMC議事要旨公表
01/04 (木): 米12月ADP雇用統計
01/05 (金): 米12月ISM非製造業景気指数
01/05 (金): 米12月雇用統計

2024年1月第2週(SQ週)
01/08 (月): 成人の日 日本休場
01/11 (木): 米12月消費者物価指数
01/12 (金): 米12月卸売物価指数

2024年1月第3週
01/15 (月): 「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」開示企業一覧表公表
01/15 (月): キング牧師記念日 米休場
01/17 (水): 米12月小売売上高
01/17 (水): 米12月鉱工業生産
01/17 (水): ベージュブック公表
01/18 (木): 米12月住宅着工件数
01/19 (金): 日本12月全国消費者物価指数
01/19 (金): 米1月ミシガン大学消費者信頼感指数 速報値
01/19 (金): 米12月中古住宅販売件数

2024年1月第4週
01/22 (月): 日銀金融政策決定会合(~1/23 23日に会見予定)
01/25 (木): ECB理事会
01/25 (木): 米12月耐久財受注 速報値
01/25 (木): 米12月新築住宅販売件数
01/26 (金): 米12月個人所得・個人支出・PCEデフレーター

2024年1月第5週/2月第1週
01/29 (月): 配当・株主優待 権利付き最終日
01/30 (火): 12月JOLTS雇用動態調査
01/30 (火): FOMC(~1/31 日本時間1日早朝にパウエル議長会見予定) 
01/31 (水): 米1月ADP雇用統計
02/01 (木): 英国金融政策委員会
02/01 (木): 米1月ISM製造業景気指数
02/02 (金): 米1月雇用統計

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