見出し画像

24/07/12 (金)「指数とは違い全体的に堅調だった米国株・中小型への資金シフト」寄り前情報

要点まとめ

  • 予想外のCPI鈍化進行で9月利下げ期待が一段と加速

  • 出遅れていた中小型株、特にラッセル2000は急騰

  • 逆にこれまで大幅高が続いていた超大型株が売られる

  • 値上がり銘柄数が多かったものの、大型株の下げで指数が下落

全体的に堅調だった米国株・中小型への資金シフト

米国株主要三指数の値動き:

昨晩の米国市場では予想を下回ったCPI(消費者物価指数)をきっかけに、9月開催のFOMC(連邦公開市場委員会)において米政策金利の利下げ期待📌が一段と進み、米長期金利(10年物国債利回り)が低下。
今まで資金がなかなか向かなかった中小型株を中心に資金が移動するかのように、これまで指数を牽引してきた大型ハイテク株が売られ、小型株指数は急騰📌する形となりました。

前日の夕方noteにて注目ポイントとした点を振り返っていきましょう。

-- まさに予想外のCPI --

昨晩の米国市場では6月のCPI(消費者物価指数)の発表がありました。
前回発表された5月分での鈍化が一段と進んでいたこともあってか、今回の内容については反動を見込むような形で前年同月比では横ばい程度の市場予想となっていました。
しかし、実際の内容を見ると各項目で予想外の鈍化の進行がみられたのが今回のCPIの特徴でした。📌

特に最近の低調さを感じる住宅指標の流れと同様に、住居費の指数も鈍化。
これで総合CPI、コアCPIは前月比、前年同月比それぞれで3カ月連続の鈍化となりました。

これを受け、コロナ後の利上げ以降、初めての米政策金利の利下げが9月のFOMCにおいておこなわれるとする予想を一段と強める形に市場は反応。
FF金利先物などの動きで政策金利の動向を確率として算出するFedWatchをみると、既に70%ほど既にあった利下げ期待は90%以上に変化

米長期金利(10年物国債利回り)も、最近では4.3%で抵抗感をみせて上昇が続かないながらも、そこから下離れする動きもなかなか見られなかったのに対し、CPI発表直後は4.2%を一時割り込む動きをみせました。

米国株では全体としてはこれを好感。
これまで大型株に集中していた資金が中小型株にもまわってくるかたちとなり、小型株指数のラッセル2000は3%以上の急騰📌
数日前には昨年末の水準をわずかに下回っていたほどでしたが、昨晩の上昇で一転して年初来高値(もっといえば、2022年以来の水準)まで上昇しました。
ただしこの資金の捻出がこれまで買われてきた超大型株からなされる形になったため、それらに支えられてきた主要株価指数は昨晩は大きく下落。
特にハイテク株比率の高いNASDAQ総合は2%近い下落となりました。

ただし、全体としては堅調であり、NYダウはMicrosoftやAppleの下げを打ち消してほぼ横ばいで小幅高。
S&P500をみても、だいぶ指数自体が弱かったのに反して、VIX(ボラティリティ・インデックス)も低下するという珍しい動きがみられました。
値上がり銘柄数の方が非常に多く、全体としては堅調さのみられた相場📌となりました。


S&P500業種別指数などの動き:

S&P500業種別指数は11業種中7業種上昇となりました。

超大型株を含む3セクターはもちろん下落。
特に半導体株は全体的に弱く、情報技術セクターは8営業日ぶりの大幅反落となりました。
生活必需品セクターに関してはCostcoが大幅安。前日は会員費値上げの報道を受けて時間外で上昇する動きもみせていましたが、Costcoも前日までは年初から30%上昇していたためか、売り優勢に。

一方で金利の大幅低下を受けて不動産セクター、公益事業など金利敏感なセクターが上昇上位に。
景気敏感系が広く買われています。

その他の主な動き:

-- その他指数 --

小型株指数のラッセル2000は3.5%高で大幅高。
3月28日以来となる年初来高値を更新しました。
ただし昨年末と比較したパフォーマンスとしては4.8%高に留まっています。

-- 欧州株 --

欧州株は堅調、STOXX600は0.6%高で続伸し、週明け2日の下げ幅を前日の上昇と合わせて取り戻した形に。

-- 為替(ドル円) --

ドル円は円高方向に大きく動く形に。
161円半ばで動いていたところから一気に158円を割り込む場面📌もみられました。
一部では政府関係者の話として介入があったとする報道も。
(毎回ベラベラと喋る関係者って何者……?)

そこからゆっくりと戻す形で、朝から159円台に復帰する場面も。


今日の注目ポイント

-- 本日の日本市場 --

本日の日本市場のポイントとして、
①需給の乱れ
②中小型株シフトの流れはあるのか

の2つを挙げます。

超大型株が売られる形となった米国株
そうなると心配なのは日本の動き。直近でやり過ぎなほどに需給面で大型株に資金が集中していただけに冷や水を浴びせられる形となりそうです。
また、急に円高方向に進んだということも重しとなるかもしれません。

ただ、急な上昇で参加できずに上昇していくのを見ているだけとなった層にとって、これを押し目買いのチャンスとみるのかどうか
こればかりは引き続き需給との兼ね合いになるため、予想が難しそう📌です。
SQ算出日、つまり新たな限月の開始直後から先物が大きく下落しているという点も、需給にどう影響するか……

日本でも中小型株へのシフトが期待されそうですが、日本では"TOPIXの"中型・小型はそれなりに年初から上昇しています。
とはいえ、大型との差はありますので、この差を縮めるのかどうか。
気になるのは、日本では為替の影響も気にする必要があるところ。

それからすると、米小型の流れを素直に汲み取り、円高方向への動きも関係なさそうなのはより小型な新興株。
ただ、こちらも投資家層は個人投資家であり最近は売買代金が少なくなっていたことから、「新興株をこれまで動かしていた投資家層が今年は大型に夢中になっていた」と思うと、信用売買で痛みを受けていないかが気になる点📌
どんな動きをするかは、"出遅れたマーケット"としての注目のされ方次第かもしれません。

ちなみに明日からは3連休📌であることも忘れずに!

-- 今晩の米国市場 --

今晩はPPI(卸売物価指数)の発表と大手金融機関決算に注目。
また、昨晩は大きく売られた大型株がどのような動きをするのか。
急騰した小型株指数の動きが続くのか。
動きが色々とあっただけに、注目点はたくさんあります。


指数・今後の重要イベント

終値
Dow 30 : 39,753.75 ( +0.08% )
S&P 500 : 5,584.54 ( -0.87% )
NASDAQ: 18,283.40 ( -1.95% ) 


イベント
(誤字、表記ミスがたまにあるため、必ず自身でもご確認を)

2024年7月第2週(SQ週)
07/12 (金): 米7月ミシガン大学消費者信頼感指数 速報値
07/12 (金): 米6月卸売物価指数

2024年7月第3週
07/15 (月): 海の日 日本休場
07/16 (火): 米6月小売売上高
07/17 (水): 米6月鉱工業生産
07/17 (水): 米6月住宅着工件数
07/17 (水): ベージュブック公表
07/18 (木): 米7月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
07/18 (木): ECB理事会
07/19 (金): 日本6月全国消費者物価指数

2024年7月第4週
07/23 (火): 米6月中古住宅販売件数
07/24 (水): 米6月新築住宅販売件数
07/25 (木): 米6月耐久財受注 速報値
07/25 (木): 米実質GDP(速報値) Q2
07/26 (金): 米6月個人所得・個人支出・PCEデフレーター
07/26 (金): 日本7月東京都区部消費者物価指数 速報値

2024年7月第5週/8月第1週
07/29 (月): 配当・株主優待 権利付き最終日
07/30 (火): 6月JOLTS雇用動態調査
07/30 (火): 米7月消費者信頼感指数
07/30 (火): FOMC(~07/31 日本時間1日早朝にパウエル議長会見予定) 
07/30 (火): 日銀金融政策決定会合(~07/31 31日に会見予定)
07/30 (火): TOPIX浮動株比率の定期見直し実施前日(リバランス発生見込み)
07/31 (水): 米7月ADP雇用統計
07/31 (水): 米財務省 国債の四半期の定例入札予定発表
07/31 (水): 米雇用コスト指数 2Q
08/01 (木): 米7月ISM製造業景気指数
08/01 (木): 英国金融政策委員会
08/02 (金): 米7月雇用統計

2024年8月第2週(SQ週)
08/05 (月): 米7月ISM非製造業景気指数
08/06 (火): 日本6月分毎月勤労統計調査 速報
08/06 (火): 日本6月分家計調査
08/07 (水): MSCI定期見直し公表
08/08 (木): 景気ウォッチャー調査 7月調査

2024年8月第3週
08/12 (月): 山の日 振替 日本休場
08/13 (火): 米7月卸売物価指数
08/14 (水): 米7月消費者物価指数
08/15 (木): 米7月小売売上高
08/15 (木): 米7月鉱工業生産
08/15 (木): 米8月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
08/16 (金): 米8月ミシガン大学消費者信頼感指数 速報値
08/16 (金): 米7月住宅着工件数

2024年8月第4週
08/21 (水): FOMC議事要旨公表
08/22 (木): ジャクソンホール会議(~08/24)
08/22 (木): 米7月中古住宅販売件数
08/23 (金): 日本7月全国消費者物価指数
08/23 (金): 米7月新築住宅販売件数

2024年8月第5週
08/26 (月): 米7月耐久財受注 速報値
08/27 (火): 米8月消費者信頼感指数
08/28 (水): 配当・株主優待 権利付き最終日
08/29 (木): 米実質GDP(改定値) Q2
08/30 (金): 米7月個人所得・個人支出・PCEデフレーター
08/30 (金): MSCI定期見直し実施前日(リバランス発生見込み) 
08/30 (金): 日本8月東京都区部消費者物価指数 速報値

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?