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24/04/15 (月)「中東情勢の悪化をどう受け止めるかが注目点」寄り前情報

要点まとめ

  • 金曜日の米国株主要三指数は大きめの下げ

  • イランによる報復攻撃を金曜日時点で示唆、リスク回避の動き

  • 実際に攻撃が昨日あったことで、動いている金融市場では売りの動きも

  • 米企業決算ラリーにも注目

中東情勢の悪化をどう受け止めるかが注目点

米国株主要三指数の値動き:

金曜日の米国市場では週末に中東情勢が悪化する可能性が出たことを受け、リスク回避の動きが強まる形で、主要三指数が大きく下落しました。

昨日の夕方noteにて注目ポイントとした点を振り返っていきましょう。
(①、②などの番号は前回のnoteで注目ポイントとした内容の番号に連動して割り振っています)

-- ①注目の決算ラリーの出だしはいまいち --

これから大手企業決算が日々相次ぐ時期になります。
先週の金曜日の金融機関決算を皮切りに、この決算ラリーは始まったものの、その出だしは芳しくありませんでした。

金曜日に決算を発表した大手金融機関としては
JPMorgan Chase
Wells Fargo
Citigroup
BlackRock
などがありましたが、いずれもコンセンサスEPS(1株当たり純利益)を超えたようですが、株価は下落。
特にJPMorganに関してはダイモンCEOによる先行きに対する警戒感を示すようなガイダンスも嫌気されたようで、下げを大きくしました。


-- ②リスク回避で不安定な長期金利 --

これらの企業決算では、全体の数字として悪くなくとも、特定の部門やガイダンスの悪いところなどが目について下落している面もありそうですが、それ以上にこの日気になったのは、相場全体がやや不安定📌だったこと。

先週は火曜日CPI(消費者物価指数)の発表を受け、物価高止まりとそれに伴う米国の政策金利引き下げ時期の後退が嫌気されていたため、相場はそもそもいまいちだったものの、木曜日には大型ハイテク株が堅調となる形で指数を牽引していました。

しかし金曜日には一転してハイテク株・半導体関連なども軒並み弱くなり、主要指数が大きく下落しました。

金曜日のVIX(ボラティリティ・インデックス)は大きく上昇
ミシガン大学の統計では期待インフレ率が高く、それだけをみれば米長期金利にとっては上昇要因に捉えられてもおかしくないところでしたが、この日の米長期金利はやや下落

これらの背景となっていそうなのは、週末に中東情勢が悪化することを示唆するような報道が出たことでした。

今月1日にシリアにあるイラン大使館が攻撃されたことを受け、これをイスラエルによる攻撃だとしてイラン側が報復を示唆していましたが、この緊張が週末を前に一気に高まったことによりリスク回避の動きが強まったものと思われます。

S&P500業種別指数などの動き:

S&P500業種別指数は11業種すべて下落となりました。
幅広く売られており、ディフェンシブ関連がやや底堅いようにもみえます。
商品市況は引き続き水準としては高いものの、やや売りに押される動きをみせた中、素材セクターも他の業種よりやや下げが大きくなっています。
情報技術セクターでは半導体関連の下げが大きめ。
AMDやIntelの下げがキツく、Financial Timesによる報道で、「中国が米国製の半導体を政府の調達方針としては段階的に排除していく方針を立てている」と報じたことが嫌気されたようです。

(以前の深掘りnoteの中でも指摘した話ですが、AppleやTeslaの中国需要減なども含め、中国の自国シフトが勢い付いている気がしますね……)

その他の主な動き:

-- その他指数 --
米長期金利はやや下落したものの、中小型株指数のラッセル2000はSuper Micro Computerの下げも大きかったほか、相場全体の売りの流れには逆らえず、昨年末の水準を割り込む下げに。

-- 欧州株 --
STOXX600は小幅反発。
ただ欧州株全体としてはまちまち。

-- 為替(ドル円) --
ドル円は金曜日の晩に一旦153円を割り込む場面がありましたが、その後再び153円台に復帰。


今日の注目ポイント

-- 本日の日本市場 --

本日の日本市場のポイントとして、
緊迫の中東情勢への備え
を挙げます。

先週金曜日の相場では主要三指数が揃って大きめに下げました。
インフレ懸念の相場が継続していることで下げたという見方も強いようですが、やはり米長期金利が下落していた(米国債が買われていた)ことをみると、リスク回避としての動きが強かったというふうに見たくなってしまいます。

中東情勢の悪化を週末の前に警戒して売られる際、何も起こらずに月曜日に買い戻されるということが昨年の中東情勢悪化時には何度かみられましたが、今回に関しては実際に攻撃がおこなわれた上、イスラエル側がイランに対して行動を起こす懸念も残っている📌ことから、月曜日の相場に関しても注意しておきたいところ。
ただ、イランは今回限りとし、米国は今回の攻撃に対するイスラエル側からの報復という堂々巡りが起きることを抑止しようという姿勢もみられており、これで事態は一区切りをつけることを期待する形で、朝の先物市場などでは週末のリスク回避の巻き戻しをする動きも📌若干みえています。

-- 今晩の米国市場 --

今晩の米国市場では同じように中東情勢をどうみるかという点がまず気になる点となります。

ほかの注目点としては小売売上高の発表と企業決算。📌
小売売上高は強い内容が出れば米長期金利にとっての上昇要因になるかもしれませんが、「直近の物価指標が悪いのに、景気指標は低調」という噛み合いの悪さよりは良いかもしれません。
逆に弱い内容が出た際には金利がどう動くのかに注目。

企業決算に関しては先週金曜日にはあまり反応が良くありませんでしたが、それが市場全体の軟調さを受けた動きである可能性もあるため、引き続き注目していきたいところ。


今朝の注目ニュース

関連銘柄:日本製鉄
昨年末に発表されて以降、長く続いている日本製鉄によるU.S. Steel買収にむけた動き。とりあえずU.S. Steelの株主からは賛成を得た形に。
一方で反トラスト法(日本でいうところの独禁法)調査が開始されたとも数日前に報じられたため、未だ買収は決着には至っていない。
全米鉄鋼労働組合やバイデン大統領が買収反対の姿勢をみせていたりするため、日本製鉄側が見通した時期までに買収が完了するのかはまだ不透明。


先週の金曜日の大引け後の企業決算関連などでは、アステラス製薬やQPS研究所が話題に。
アステラス製薬は4月25日の本決算を前に、減損損失計上などを理由に24年3月期の連結最終利益を約95%下方修正。悪材料である一方、この期の決算は既に何度も下方修正を繰り返しているなか、今回はどの程度反応するのか。
QPS研究所は3Q決算を発表し、通期の最終損益を黒字転換。PTSでは上昇していますが、直近では黒字化期待で上昇してきた面があるため、材料出尽くし感にも負けずに需給が安定するかが注目。


指数・今後の重要イベント

終値
Dow 30 : 37,983.24 ( -1.24% )
S&P 500 : 5,123.41 ( -1.45% )
NASDAQ: 16,175.09 ( -1.62% )


イベント
(誤字、表記ミスがたまにあるため、必ず自身でもご確認を)

2024年4月第3週
04/15 (月): 米3月小売売上高
04/16 (火): 米3月鉱工業生産
04/16 (火): 米3月住宅着工件数
04/17 (水): ベージュブック公表
04/18 (木): 米4月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
04/18 (木): 米3月中古住宅販売件数
04/19 (金): 日本3月全国消費者物価指数

2024年4月第4週
04/23 (火): 米3月新築住宅販売件数
04/23 (火): 欧米4月PMI 速報値
04/24 (水): 米3月耐久財受注 速報値
04/25 (木): 配当・株主優待 権利付き最終日
04/25 (木): 日銀金融政策決定会合(~04/26 26日に会見予定)
04/25 (木): 米実質GDP(速報値) Q1
04/26 (金): 米3月個人所得・個人支出・PCEデフレーター
04/26 (金): TOPIX浮動株比率の定期見直し実施前日(リバランス発生見込み)

2024年4月第5週/5月第1週
04/29 (月): 昭和の日 日本休場
04/30 (火): 米4月消費者信頼感指数
04/30 (火): FOMC(~05/01 日本時間02日早朝にパウエル議長会見予定) 
05/01 (水): 米4月ADP雇用統計
05/01 (水): 米4月ISM製造業景気指数
05/01 (水): 3月JOLTS雇用動態調査
05/03 (金): 米4月ISM非製造業景気指数
05/03 (金): 米4月雇用統計
05/03 (金): 憲法記念の日 日本休場

2024年5月第2週(SQ週)
05/06 (月): こどもの日 振替 日本休場
05/09 (木): 日本3月分毎月勤労統計調査 速報
05/09 (木): 英国金融政策委員会
05/10 (金): 米5月ミシガン大学消費者信頼感指数 速報値

2024年5月第3週
05/14 (火): 米4月卸売物価指数
05/14 (火): MSCI定期見直し公表(実施日確認を手帳に)
05/15 (水): 米4月消費者物価指数
05/15 (水): 米4月小売売上高
05/15 (水): FOMC議事要旨公表
05/16 (木): 米4月鉱工業生産
05/16 (木): 米4月住宅着工件数
05/16 (木): 米5月フィラデルフィア連銀製造業景気指数

2024年5月第4週
05/22 (水): 米4月中古住宅販売件数
05/23 (木): 米4月新築住宅販売件数
05/24 (金): 日本4月全国消費者物価指数
05/24 (金): 米4月耐久財受注 速報値

2024年5月第5週
05/27 (月): メモリアルデー 米休場
05/28 (火): 米5月消費者信頼感指数
05/29 (水): 配当・株主優待 権利付き最終日
05/29 (水): ベージュブック公表
05/30 (木): 米実質GDP(改定値) Q1
05/31 (金): 米4月個人所得・個人支出・PCEデフレーター
05/31 (金): MSCI定期見直し実施前日(リバランス発生見込み) 

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