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バック・トゥ・ザ・フューチャーにおける「ドクとマーティの友情」はなぜ成立したのか

金曜ロードショーで、バック・トゥ・ザ・フューチャー(BTTF)が放送されて、ツイッターランドを盛り上げた。ぼくがベイビーだった頃の名作であるBTTFは、いつの間にか観た映画のひとつであり、大好きな映画のひとつでもある。

ゆえに初見ではないが、語らせてもらおう。

BTTFといえば時代ギャップネタ

放送当時の1985年を現代として、過去の1955年、未来の2015年、そして西部劇時代の1885年をタイムトラベルする。

当然描かれる時代ごとの感性の違いや言葉や文化の意味合いの変化は、時に小ネタとして、そして、時には物語のキーファクターとして使われる。

だが、そんなものは語り尽くされている。その上で、僕があえて今語りたいのは(これも語り尽くされてはいるだろうけど)、ドクとマーティの友情だ。

ドクとマーティの年齢差

マーティは17歳の高校生、ドクは65歳の偏屈博士。実に48歳差の二人は、実に仲良しで、お互いをお互いに認め合う関係性だ。

過去世界である1955年のドクは35歳。まさに、僕自身もその年齢であり、そう考えると17歳のよくわからない謎の少年が訪ねてきたら、絶対に無視をする。それが当たり前だ。

しかし、未来から来た少年が、知るはずのない自分内ニュースを知っていて、それが今の自分が目指すべき夢の達成を知らせるものだったら…。

気分は最高にハイになり、その福音をもたらす彼自身も天使にだって見えるかもしれない。

ドクはマーティを一個人として扱う

ドクは周囲からも鼻つまみ者の変態理系老人。では、マーティはといえば、悪とまではいかないが、ちょっぴりヤンチャな少年。

二人の出会いは、マーティが中学生の頃にドクの発明に惹かれたところから始まったという。初期のマーティパパは、うだつの上がらないダメオヤジ。尊敬できない父に嫌気がさしていたに違いないマーティ少年にとって、ドクは初めて身近な尊敬できる存在だったのかも。

ドクにとっては、愛犬アインシュタイン以外にできた心を許せる友人だ。ドクは、科学者であり、そして究極的な個人主義者に見える。

いわゆる、年齢差別はないのだろう。もっといえば、性差別も、人種差別もない。マーティの肌の色が、白でなく黄でも黒でも赤でも緑でも、そして女性でも雌雄同体であっても、今のマーティと同じ存在であれば変わらぬ友情を育んだように思う。

ドクは社会からの爪弾から者であり、人格者では決してない。科学の成功のためなら、テロリストからプルトニウムを騙しとるほどのマッドサイエンティストでもある。

だからこそ、社会人なら染みついてしまいがちな差別感情からも解放された存在だったのか。

そうして、ドクのそういう態度は、父とビフの関係性を見て社会の階層にうんざりしていたマーティにとって、とても心地よい友となったのではないか。

二人は惹かれ合うべくして、惹かれあったのだ。

ドクのマーティへの友情はBTTF1の終わりの世界線では段違いに拡大してる可能性

BTTF1の終わりでは、マーティのタイムトラベルを通して、まさにマーティにとって最高の世界線に辿り着けている。

父はビフを従え、そして、成功者となっているのは分かりやすい。だが、僕はドクのマーティへの友情は世界線を超えて、特大に変化しているはずだ。

最初の世界線でも、ドクとマーティの友情は確かなものだった。だが、後の世界線では、ドクはマーティとの二度目の出会いまで30年近く(中学生の時なのでもうちょっと短いか)を待ち続けたことになる。

想像してみれば、その期間は、前の世界線と違い、孤独感が段違いだったろう。中学生マーティが現れた時の心の躍りっぷりは言うまでもない。

過去世界のドクは「未来を変えてはならない」と仕切りに口にする。だが、友情を知ったドクは、マーティの手紙を読んでテロリストの銃撃を防弾チョッキで防ぐ。未来を変えることに躊躇しなくなっているのだ。

もちろん、タイムマシンを使って、科学者として未知との遭遇がしたかったのもあるだろう。しかし、マーティとの友情を通じて「生きることへの希望」を強く持つような変化もあったのでは、と思ってしまう。

そして、BTTF1の最後には「未来の君の子供が危ない」という。未来を改変することに躊躇が完全になくなっているようにすら思える。すべては、マーティとの友情が、ドクを変えた結果なのでは。

ドクとマーティのこれから

BTTF3では、ドクはタ汽車型タイムマシンでマーティの前に現れる。そして、他の誰にも見せられない西部劇時代の大時計の前で撮った写真を託して、ドクは家族と共に宇宙の旅に出て行く(たぶん宇宙に行ったよね、あれ)。

ドクとマーティの今生の最後の別れなのである。マーティにはもうタイムマシンはない。ドクのいる時間帯には決していけない。だからこそ、あの別れはとても大事な別れなのだ。

ここからお互いはお互いの家族と共に人生を過ごしていく。たまに、伴侶も知る友人であるお互いの話をしながら。

エモい。とてもエモいぞ、BTTF。最高にエモいぞ、ドクとマーティ。いやあ、映画って、本当にいいものですよね。





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