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13.そして一人旅が始まる ートルコ編2~失意の果てに

東ヨーロッパの旅を終えて彼女に会う為に
トルコへ戻ろうと約束の3日前に最終確認の
国際電話をかけると、彼女の声が暗い。

嫌な予感がしたら、案の定
父親に、彼女が僕に会いにトルコに行く事がバレて怒られ
旅行が中止になった、との報告。

かなり楽しみにしていたので、落胆が大きく失意のまま
イスタンブールに戻る。

トルコは世界三大料理の一つとも言われていて
僕が旅してきた中近東の中では、料理のバラエティーが
一番多かった。ガラタ橋で食べたサバサンドやアップルティーが
とても美味しかった!

また、夕日がモスク越しに沈んでいく風景は
息をのむほど美しかった。

モスク越しの夕日

イスラム教神秘主義スーフィーの踊りを観たのもイスタンブールで
ス―フィーの踊りは、くるくる回り続ける旋回舞踊で
(よくバットを中心にして10回くるくる回って
それから前に走ると平行感覚崩れてて真っ直ぐに走れない、のイメージ)
ひたすら回り続け、そのうちにトランス状態になり
顔が恍惚とし始めて、何十分か回り続けた後
ピタリと止まる。そして平然と真っ直ぐの歩いて帰っていく姿を見て
感動した。

スーフィーダンス

イスタンブールを満喫した後、スターウォーズのロケ地でも有名な世界遺産「カッパドキア」を目指していくのだが、
イスタンブールを出てからイランを越えてパキスタンに行くまで
日本人の旅人とは全く合わず、異国の地で話す人もおらず
本当に一人ぼっちで辛い時期だった。

カッパドキアはこの世の物とは思えない
不思議な世界が広がっていて
とてもユニークだった。

カッパドキア

カッパドキアを出てイランの国境を目指すのだが1日では行けず、
途中のカイセリで一旦バスの乗りかえで
次のバスまで10時間くらい時間が空いてしまったので
街をぶらぶらする事にした。

前の記事でも書いた様に、中近東で僕は男性にとてもモテたのだが
この街では、過去最大の恐怖を味わう。

暇でぶらぶらしていると、男の人が話しかけてきて
「面白い所に連れて行ってくれる、」というので日中で時間も有ったし
付いていく事に。
車に乗ったので、嫌な予感もしたが黙って付いていくと
連れていかれたのは、魚の養殖場。
「うーん、これの何が凄いんだろう??」と思っていると
今度は近くの家族の家に連れて行ってくれると言う。

家族と一緒に団らんして夕ご飯を食べ
楽しい時間を過ごし
日も暮れてきてバスの時間もあるし
帰りたいなあ、と思っていると
気配を察したのか、家を出る事に。

これで無事に長距離バスの停留所に連れて帰ってくれるのか、
と思っていたら
見覚えのない街で車が停まる。

「バスの時刻があるからバス停に帰りたい。」と言うが
「夜も遅いしバス停は遠いので、明日の朝連れていく。
今日はここで泊まる。」と言う。
現在地も分からないし、車で来てしまっているので
どうする事も出来ず、しぶしぶ従ったが
まさか同じ部屋に泊まるとは思ってなかった。

同じ部屋に泊まる事になっても
心の中では何処かでまだ信じていて
「ただ1つの部屋で別々のベットで寝るだけ」
と言い聞かせていたが
やはり怖くて眠れない。

しばらくすると、「胸が痛いから、そっちのベットに行って良いか?」
と言ってベットから出てこっちに向かってきた。
さすがに、「これは危ない!」と感じ
思いっきり男を突き飛ばし
無我夢中で暗闇の中を、あてもなく走りだした。
男が追ってくるかも?と思うと恐怖で
ひたすら走っていくと
大きな道路に出た。

取り敢えず手を挙げてデカい長距離バスを止めて
乗せてもらって街から離れた。

その間中も全く落ち着かず、「男が追いかけて来るのでは?」という
妄想が頭から離れない。

幸運にも乗せて貰った長距離バスは、
僕が行きたかったバスの停留所に着いて
最初の目的のバスにギリギリ間に合って
街を離れる事が出来た!

街を離れ男がもう追って来ない事が分かって
やっと安心してバスで眠りについたのだった。

旅の最初の頃こそ、警戒して頑張って旅していたのだが
3ヵ月を越えて旅が非日常から日常に変わり
だいぶ気が緩んできてしまっていたし
まさか男の僕がこんな風に襲われる事になるとは
夢にも思っていなかった。。




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