見出し画像

NMNの効果⑦ 健康なデブは運動をする。 視床下部-骨格筋-脂肪細胞を主とする”THE NAD WORLD”の紹介

若返りサプリとして有名なNMNは体内でNADという物質を増やし、サーチュイン遺伝子を活性化して若返り効果の得られることが期待されています。

マウスの実験ですが、サーチュイン遺伝子を活性化するとインスリンの分泌や運動能力の増加、脂肪の代謝、心疾患の減少、寿命の延長といった素晴らしい効果の得られるということが分かってきました。

サーチュイン遺伝子について研究が進んでさらに分かったことは、サーチュイン遺伝子が活性化する時に必要な物質、”NAD”という物質の重要性です。

NNADは元々100年以上前に発見されていたもので、生物の教科書にも出てくるような一般的な物質でしたがNADについて、さらに研究を進めるとNADが老化の制御だけでなく、体中のあらゆる制御に関する重要な物質ではないかということが予測されてきました。

そのNADの重要性を論文にしたのがワシントン大学の今井眞一郎教授で、2016年に発表したThe NAD Worldという論文では老化に関するNADの重要性が紹介されています。

NADは老化の制御を司る重要な因子ということだけでなく、特に老化の制御に大きな影響を与える視床下部、骨格筋、脂肪細胞の3つの器官、細胞で情報のやり取りをするための重要な要素となっていることから”NAD WORLD”という言葉が使われています。

視床下部、骨格筋、脂肪細胞の器官は

視床下部がコントロールセンター

骨格筋はアクチュエーター

脂肪細胞はセンサー

としてそれぞれの器官、細胞で情報の伝達が行われており、いずれもNADの増減が指令の上流に必要な物質となっています。

例えば、骨格筋の動きからNADの生成が促されることや、水風呂やサウナに入るような脂肪細胞に対する温度変化がNADの生成を促して、視床下部を通して体内のサーチュイン遺伝子の活性を高めることになります。

これは、一般的に言われる運動が体を若く保つことに重要というようなことが、実はNADとサーチュイン遺伝子が関わっていたり、サウナや水風呂に入って免疫が高まるような話もNADが関与していました。

このようにNADはこれまで一般的に体に良いと言われていたことのメカニズムの解明に重要な物質であることも分かり、再び脚光を浴びている物質です。

NAD  WORLDという言葉が今後注目されるか分かりませんが、NADの研究に関して日本人の今井教授が世界の第一人者と言って過言ではありません。NADについては未だ不明点もあり研究がこれからも進んでゆくので、さらなる重要な発見を期待したいと思います。


参考文献

1.The NAD World 2.0 the importance of the inter-tissue communication mediated by NAMPTNAD SIRT1 in mammalian aging and longevity control. NPJ Syst Biol Appl. 2016

2.NAD + Intermediates The Biology and Therapeutic Potential of NMN and NR

3.Do Myokines Have Potential as Exercise Mimetics? Yakugaku Zasshi
. 2018

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?