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僕が考えるご馳走

初めまして。
熊本県山都町にあります 本さつまや7代目料理長の岸本竜彦と申します。  

昔から文章には自信がありませんが、お話し出来ない思いをブログで伝えていました。
ここ数年はまったくでしたので、、この機会にnote.を始めてみることにしました。
僕と本さつまやとの物語や、おうちでできるレシピ等を綴っていこうと思います。
拙い文章で恐縮ですが、お読み頂ければ幸いです。

さて、今日はちょっと昔を振り返ってみようと思います。

僕が料理の道を選んだ理由


本さつまやは、僕から4代遡っても男性は公務員で、嫁いで来た女性が店を切り盛りしていました。
飲食業は時代の波に流され易くお客様の嗜好も変わるので、夫の安定収入を確保しつつ、
伝統やおふくろの味を継承して、永年店舗運営していたと想像できます。

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(幼少期のさつまやの入り口です)

僕が、公務員を選ばなかったのは、小学校2年の時に食べた薔薇亭の鉄板焼に感動したからだと思います。
料理を介してこんなにも心を揺さぶることができるのかと、そうなりたいと今でも思っています。
均質に惰性のように役場を往復する父と、ダイナミックにお店を動いている母を見比べた時、
料理の方が向いているなと無意識に選択していたような気がします。

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料理を営む場所は大都会でも田舎でもこだわりはありませんが、世界一の料理の腕だという自信もないので、
150年続いている薩摩屋を今の場所で続けていくのが今はベストだと思ってます。
修行時代に身土不二や医食同源という言葉を知り、唯一の師匠である ※松葉 の大将から、店の四里四方の食材で献立を完成させるべきと言われ、毎日それに近づく努力をしています。

ご馳走とは


僕は、料理の8割は食材だと思っています。
食材は世界中に溢れていて流通の発達でお金さえあれば何でも手に入りますが、尊敬する魯山人のような鋭敏な味覚を持ち合わせていないし、お客様の嗜好も万別なので、食材選びと優先順位は四里四方、お店から半径16キロの食材がメインにくるよう献立を書いています。
そういう八百屋があってそこで買えれば楽ですが無理です。

ご馳走とは『足で稼いで良い食材をかき集めること』だと修行時代に知りました。
毎日駆け回り献立を書いてお客様に食べて頂くことを繰り返すことで、自然とお店に良い食材が集まって来ます。

坂狩さん、田上さん、三浦さんの猪 靍田さん、宮崎さんの鮎 藤本さん、滝口さんの炙りエノハ 飯星さんのコゴミ 村山さんの里芋 矢仁田さん、伴さん、三浦さんのトマト 古閑さんの百合根 宮本さんのコシアブラ 園田さんのアスパラ 松岡さんのほうれん草とトマトジュース 津川さんのタラの芽と山独活 榊さんの花山葵 松本さんのサクラマス 中畠さんのイチゴ 鳥越さんの人参、紅芯大根、ビーツ 八田さんのカラーピーマン 田上さんのレタスとブドウ ジビエ工房やまとさんの鹿 藤原さんのマイクロハーブ 大林さんの春蘭などが、

拙い僕の献立を華やかにしてくれる大事な食材です。

※松葉・・・熊本市中央区新町2丁目の料理店。現在の料理長は、僕の同じ高校の同級生の山口競君。3年間同じ剣道部で共に精神を養った親友。そのお父さんの山口則男氏は、僕の唯一の料理人の御師匠。


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