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英語学習をもっと楽しく!洋楽で口語スキルを磨きませんか?(23)

今日は、アメリカ出身のアイドルグループで、90年代爆発的人気だったバックストリート・ボーイズさんの              

                                  I want it that way 


1993年結成ながらもその人気は未だに健在です。「アイ・ウォント・イット・ザット・ウェイ」は90年代最もヒットした曲の一つでもあり、相手女性との愛に対する考え方の違いに苦慮する男性の心境を歌った曲です。

では、歌詞の中から気になる部分をピックアップ。

「欲求」が前面に出るwant

この曲のタイトルI want it that wayは「そうあってほしい」ということで、wantを使っているため欲求がストレートに伝わってきます。itは、何かわかっている話題や内容を指します。ここでは、男性がお互いの愛を忠実で、燃えるようなものにしたいと訴えていますが、女性の方は、そうは思っていないようです。

英語の「韻(いん)」と「メタファー(隠喩)」 

You are my fire The one desire (君は僕の炎ただ一つ欲しいもの)では、
洋楽の特徴である「韻(いん)」とメタファーが使われています。前者がfireとdesireの[イア]という音で、後者は相手に対する熱い気持ちをfireで表現しているところです。彼女に対しての熱い愛が伝わってきます。

● 「違い」を強調した表現  

But we are two worlds apart(だけど僕らは隔てられた2つの世界)のtwo worlds apartは「(二つの世界が離れているくらい)違う」→「まるで違ってる」という意味。「月とすっぽん」ということで、ここでは、お互いのlove(愛)に対する考え方の違いについて言及しています。男性曰く、自分と同じような情熱を持って愛してくれない、というわけです。

● 否定の強調を表すAin't nothin'  

Ain't nothin' but a heartache(心の痛みでしかない)のain’tは、R&Bやラップの他、最近はロック、ポップスでもよく耳にするようになりました。主語が何であってもis not, am not, are not, has not, have notなどの代わりに使えます。このain’tは、標準的な言い方ではなく、教養がないとされてきましたが、今日ではかなり広く浸透しています。ただし、あくまでもスラングなので、英語学習者は使用を控えたほうが賢明です。

前の記事で何回も出てきたain’tはnothing, nobody, noなどの否定を表す語と一緒に使われることもあり、この場合「決して~でない」と否定を強調する用法で、黒人英語「Ebonics(エボニックス)」から来ていると言われています。

ここはnothing but「ただ~だけ」を強調していると考えて、「ただあるのは心の痛みだけ」つまり「どうしていつも心の痛みだけなんだい(教えて)」と二人の関係について訴えています。ちなみに正式な英語にするとWe haven’t got anything but a heartache.となります。

話はかわりますが、You are my fire, aren’t you?とaren’t you?をつけて確認や念押しで「~ですよね」という言い方(付加疑問文)が英語にはあります。では、I am your fire.の場合はどうなると思いますか?正式にはaren’t I?を使って、I am your fire, aren’t I?「俺って君の燃えるような炎だよね」となりますが、くだけた会話ではこういう時にain’tが使われるんです。 I am your fire, ain’t I?という具合。

● No matter the distanceにも省略が

No matter the distance(たとえ距離が離れていても)は省略されている語があります。とにかく会話では省略が多いです。極力エネルギーを使わず、無駄を省きたいという心理が働くからです。ここも正式にはNo matter (how far)the distance (is).の( )が省略されたものです。

● 「hear+人+動詞の原形」 

I never wanna hear you say I want it that way(君が言うのなんて聞きたくない そうあってほしいと)は、「hear+人+動詞の原形」で「人が~するのを聞く」となります。

ここは彼女が「私たちお互いの愛は間違い(mistake)なんだから、別れたほうがいい」と言うのを聞きたくないと考えられます。つまりこの歌ではI want it that way.の意味合いが男女では違っていると推察できます。

● 「ウォンチュル」とつなげよう 

I want you to know(君に知ってほしい)のwant you toは音がつながって「ウォンチュル」のように発音しましょう。

● 「心の奥底」を表すdeep down

That deep down inside of me...(僕の心の中の奥深くでは……)のdeep down inside of meは「自分の心の内の奥底では」というのが文字通りの意味です。そこから「内心では」「本心は」ということです。

・洋楽の歌詞の意味について一言

歌詞には、スラングや仲間内の隠語をはじめ、曲調や韻(rhyme)の効果を出すため、または心のありようを際立たせるために誇張したり、ドラマチックな表現をあえて使うことも多いです。さらに、表現を難解にしたり、あいまいにぼかしたりして、解釈をリスナーの想像にゆだねるタイプのものもけっこうあるため、英語ネィティヴでも意味が不明だったり、意見が分かれるということが往々にしてあります。

このI want it that way.も歌っているバックストリート・ボーイズ自身も歌詞の意味がよくわからないとインタビューで言ってました。作詞をした人に聞くしか真意は不明です。

そういう意味で洋楽の歌詞は、文学作品に似たところがありますね。

おまけです。 Backstreet Boys Surprise Fans




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