“get”で口語表現力をアップする方法とは?
日常会話では頻繁に登場する基本動詞のget。洋楽の歌詞や映画のセリフでもよく見かけます。また口語でも大活躍で、英語圏で生活していると、その多さ、多様さに驚かされます。
まさに話し言葉における王様。
いろいろな場面、状況でさまざまな意味で使われています。それだけ汎用性が高いと言えます。
でもその分、英語を外国語として学習する人にとって使い方が複雑で難しいわけです。そこで今日は、会話でよく耳にするけど今一つ気にしていなかったgetの用法を2つほどご紹介しましょう。
まず問題です。次の二つ「私は生徒たちに教科書を音読させた」ですが、ニュアンスはどう違うでしょう?
I got my students to read the textbook aloud.
I had my students read the textbook aloud.
これは以下の記事でも取り上げました。
「get+人+to不定詞」の形を使うと、目的語である人に「抵抗」のニュアンスが感じられる、と言われます。そこから「説得して~させる(してもらう)」という意味合いが出ます。
一方、「have+人+原形」には、そうした「抵抗」がありません。よって、やってあたりまえ、当然そうすると考えられている状況・場面が前提になっています。なので学校の先生が生徒に使う場合なんかに使えます。
このあたりの感覚を押さえておくと実際のコミュニケーションの場面で使う時に気をつけるようになります。
もうひとつgetに関した構文について。
「be+受動態」と「get+受動態」についてです。
He was hit by a car. vs He got hit by a car.
どういうニュアンスの違いがあると思いますか。
前者は、客観的に彼が車にはねられたという事実を述べています。一方、後者は、主語であるHeに責任があるという含意があります。「主語の責任性」と言われるもので、彼にもはねられた原因があったと、話しては思っているわけです。これが「get+受動態」が持つニュアンスです。
では、さらに問題です。次の違いは?
He was fired. vs He got fired. vs He got himself fired.
形が違えば意味が違うと考えられます。
上記の文いずれも「彼は首になった」です。
最初のHe was fired.これは、「通常のリストラで解雇された」くらいのニュアンス。あくまでも事実を淡々と無色透明な感じでしょうか。客観性があるといいましょうか。
ではHe got fired.は?getがあるので、本人の関わりが感じとれます。積極性というか行動の意味合いがからんできます。したがって「ほらね。身から出た錆びだよ」という感じ。主語のなんらかの関わり合いが含意されています。
それでは最後のHe got himself fired.は?
目的語にhimselfがあるので、「よせばいいのに、我が身を巻き添えにしちゃって」といった何か大失敗やとんでもないことをやらかして、というニュアンスが含意されます。
このようにgetの受身形は、全てではないものの一般にあまり好ましくない状況で使われることが多いようです。そう言えば、ぱっと頭に浮かんだものだけでも、
get depressed (気がめいる)
get taken in (だまされる)
get kicked out (追い出される)
などなど、よくない事ですね。
今度「get+受け身」に出逢ったらこういう視点で見てみるとおもいしろいかも。
というわけで、getは奥深いですが、これをきちんと使えるようになると、表現の幅が広がります。新しい単語を覚える事も大事ですが、getのような手持ちの基本語を使い切れるようになることも大事です。
もう一度、自身の持っている基本語を見直してみてはいかがでしょうか。
Getting used to "get" will help you get the essence of colloquial English.
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