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【読書】4月の読書記録

今年の4月の読了は8冊でした。
新年度に入って少しばたばたしたけど、そこそこ読むことができて充実した一か月でした。
とはいえ、執筆の方はあまり進まず、プロットを作るだけで終わってしまった。
5月は読書も、執筆もしっかりやっていきたいですね。

『火のないところに煙は』芦沢央 4月1日読了

初めて読んだ芦沢央さんの作品。
タイトルがいいですよね。煙は、で終わっているところとか。
どういう内容か知らずに手に取ったのですが、ホラーでした。
主人公である「私」が怪談の執筆依頼を受けるところから物語は始まります。
一見、ふつうの事件のように見えて、その背後には実は怪異が潜んでいる。
自分の日常のできごとがもしかしたら……と思ってしまう怖さがありますね。
いやーあまり遅くに読むものではないのですが、手が止まらず読んじゃって、布団でいろいろ考えてしまいました。

『汚れた手をそこで拭かない』芦沢央 4月9日読了

続けて芦沢央さん。
仕事でもプライベートでも、失敗とか、困ったことが起きた時にどう行動するかって人によって違います。
つい、「黙っていればわからないかな」とか、「なんとか誤魔化せないかな」って考えてしまうのも人間の性ですよね。
『汚れた手をそこで拭かない』は、そんな人間の心理を見事に描いた作品でした。
短編集になるんですが、私が個人的に好きだったのは、『埋め合わせ』という作品です。
学校の先生が主人公で、ある日、自分のミスでプールの水を大量に放水してしまっていたところから物語が始まります。
普通だったら上司に頭を下げて謝って、手続書くらいは書かされるんですかね。
処分は、厳重注意とか、プールの損失を補填みたいな。
でも、この主人公は、考え抜いた末に、誤魔化す方にシフトしていきます。
読んでいて、その心理がすごくわかるからこそ、
「そりゃだめだよ!」
と思わずにいられないおもしろさ。
これははまりますね。

『かがみの孤城(上)(下)』辻村深月 4月14日、19日読了

本屋大賞を受賞した辻村深月さんの人気作です。
なにげに辻村深月さんの小説を読むのって初めてだったんですよね。
いや、ずっと読みたいなあとは思っていたんです。
でも、辻村深月さんの小説って、なかなかにボリュームがあるじゃないですか。
気軽に手を出すにはページ数がと思ってしまい、まだ読んでいないもう少し薄い小説についつい意識がいってしまってました。
しかし、読んでみるとこれが厚みを感じさせないくらいページをめくる手が止まらない止まらない。
私は、仕事の休憩時間によく読んでいるのですが、仕事を再開したくなかったですもんね。
主人公が中学生なので学生さんにはもちろんぴったりですし、私みたいな三十代後半でも楽しめる作品でした。

『カラスの親指』道尾秀介 4月18日読了

上記、『かがみの孤城』の上巻、下巻の間にはさんで読んだ小説です。
下巻を職場に忘れたまま週休に入ったので。
道尾秀介さんの小説は、初めて読んだのが、『向日葵の咲かない夏』でした。
人気もある代表作なのですが、個人的にはちょっと苦手で、しばらく道尾秀介さんから遠ざかっていたんです。
でも、YouTubeのほんタメで、ヨビノリたくみさんが紹介しているのを見て、もう一度と思って手に取ったのが、『シャドウ』。
これがおもしろすぎて、それではと、『カラスの親指』も読むことに。
この小説もすごく好きな感じで、人にすすめたい小説リストに見事ノミネートです。
主人公の詐欺師が、ひょんなことから5人による奇妙な共同生活を始めます。
彼らには様々な事情があるものの、過去に自分たちを苦しめた共通の相手に、詐欺を働いて復讐をしちゃおうって話です。

『罪の余白』芦沢央 4月24日読了

さて、また戻ってきました。
芦沢央さんのデビュー作になります。
主人公は、妻を数年前に病気で亡くした男性です。
娘と二人で懸命に生きていたのに、ある日、娘が高校の校舎の4階から転落して亡くなります。
悲しみに打ちひしがれて一か月近く何も手につかずに過ごします。
自殺と思われた娘の死でしたが、男性は、なぜ娘は死ななければならなかったのかと考えるようになり、その背後にある真実を追い求めるようになります。
デビュー作にしてはめずらしく、参考文献がたくさん記載されてるんですよね。
なんとなくイメージですが、デビュー作って、綿密な下調べとかって、そこまでせずに思いのままに書いた作品が多い気がしてたんですよね。
だから、私の知らない知識もたくさんあって、楽しく読めました。

『許されようとは思いません』芦沢央 4月27日読了

4月は芦沢央さん月間でしたね。
続けて4冊目になる芦沢央さんの小説です。
こちらも、『汚れた手をそこで拭かない』と同じように短編集になります。
こちらの小説の方が先に出ていた作品なので、比べてみると、『汚れた手をそこで拭かない』の方が洗練されているように感じます。
好きだったのは、表題作の『許されようとは思いません』でした。
過去に殺人を犯した祖母。
一般的に考えられている動機の背後には、そうではない真実が……というものです。
芦沢央さんって、そういった作品を描くのが本当に上手ですよね。
毎回、「なるほど!」と思わされてしまいます。

『透明人間は204号室の夢を見る』奥田亜希子 4月30日読了

こちらは、初めて聞く作家さんだったのですが、ほんタメで、あかりんこと齋藤明里さんが紹介していたので興味が出て手に取りました。
主人公の実緒は、高校生のときに小説家デビューを果たしたけれど、いつの間にか小説が書けなくなってしまった23歳の女性です。
他人とのコミュニケーションが苦手で、学生時代も孤立していて、唯一の居場所が本でした。
そんな実緒は、とある大型書店で、棚に置かれている自身のデビュー作を見つけます。
その本の行く末をじっと見守っていたある日、書店でその本を一度手に取る男性が。
結局、買わずに書店を出ていくのですが、なにを思ったのか実緒はその男性を追いかけて、家までついていってしまいます。
そこから創作意欲が沸き起こり、久しぶりに小説を書いた実緒は、これまたなぜかその男性に読んでもらいたいという思いが溢れ、その男性の家の郵便受けに入れてしまいます。
その後も、書いては郵便受けに入れに行くという生活を送ることに。
もう、この時点で、「それ大丈夫なの?」って感じなのですが、大丈夫なわけないですよね。
作者の奥田亜希子さんは、純文学の賞である、すばる文学賞を受賞してデビューしているので、文体はそちら寄りです。
私はエンタメ系を読むことが多いので、久しぶりに感じる純文学の描写で、不思議な感覚を味わいながら読んでいました。
中には苦手な人もいるかもですが、私はけっこうおもしろく読めましたね。

ほんタメ月間とも言える4月でした。

4月は上記8冊でした。
振り返ってみると、ほんタメきっかけで読んだ本が多いですね。
いつも、ヨビノリたくみさんとあかりんにはお世話になっております。
次から次へとおもしろそうな本を紹介してくれるので、読書が追いつきません。
読む本に迷っている人がいたら、YouTubeで見てみると楽しいですよ。

さて、5月はそこから少し離れて、読んでおきたかった小説や、本棚の積読たちにも手を伸ばしたいです。
どんどんたまってきてやばいです。
ではではまた。







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