映画鑑賞「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」
今週は「ホールドオーバーズ置いてけぼりのホリディ」を観に行こうと思っていたのだが、この猛暑の中でクリスマスシーズンの話を観に行く気が薄れて、代わりにといってはなんだが「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」を観に行った。「ホールドオーバーズ」は評判がいいので観に行きたいとは思っているのだが、なぜこの暑い時期に冬の物語を上映するのだろうか。
季節感は大切にしてほしいと思う。
さて、「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」である。チケットをとってから気が付いたのだが、予告編をいれると2時間半ほどになる。「長い!」と思ったが、時間がまったく気にならないほどあっという間であった。カテゴリーとしてはラブコメディの部類に入るのだろうか。軽快なテンポで小気味よく話が進む。
舞台は1960年代のアメリカ。米ソ対立が激しい中で、世界は東と西という大きな二つの陣営にわかれていた。宇宙開発での米ソの競争は激しく、一歩遅れていたアメリカにとって人類初の月面着陸は至上命題であった。当時はベトナム戦争中で限られた予算を突拍子もない宇宙開発につぎ込むこともままならず、資金調達に困り果てていたプロジェクトチームであったが、PR担当が採用されプロジェクトが動くことになる。
映画ではスカーレット・ヨハンソンが凄腕のPR担当として活躍するのだが、とてもチャーミングだ。60年代の設定だからなのか、バリキャリ風ではなく、能力がありながら愛嬌のある女性を演じている。
宇宙に関する映画でいえば、これまで「アポロ13」や「アポロ11」を観ているので、映画の背景についてもそれなりに知ってはいるが、そうした背景を知らない人にも楽しめる映画となっているのではないだろうか。ラブコメテイストとしては、「恋人たちの予感」を思い出した。好みの映画である。
「ホールドオーバーズ・・」もこの映画も昔の時代についての映画だ。最近の映画は未来を語るよりも「過去」を題材にするのが流行っているのだろうか。世界がSNSなど便利なツールでつながって、技術革新が進みあらゆるものが遺伝子レベルで解明されつつある現代の世の中を題材にするには謎めいたものもなく夢もないということだろうか。確かに何十年も前は夢や希望や人々のエネルギーがあふれていたように思う。日本だけでなくアメリカでも同じなのだろうか。2020年代に1960年代、70年代をベースにした映画を作ることの意味に想いを馳せた。
月面に着陸したアームストロングの言葉。"That's one small step for a man, one giant leap for mankind." (一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である。)
今では億万長者たちが実際に宇宙旅行にでかける時代になったが、やはりこの人類最初の一歩を踏んだ人の言葉は夢があり感動的である。
豊かな気持ちになって映画館をあとにできる、おすすめの映画。
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