詩人のなりかた
図書館に本を返しにいくと『詩人』が
少しばかり溢れていた
あなた詩人ですか?
"詩人はいつだって天気を個人的に受け止め
感情のない物にいつも感情を注入する"
そう言ったのはテディだが
あなたは詩人になりたいのですか?
そう聞いたのはわたし
詩人はいつだって感情を使いたがり
そのために感情をたくさん知りたがる
"私の耳は貝の殻
海の響をなつかしむ"
この詩だけで図書館に隣接している
コーヒーショップで3時間はお茶ができるという
貝殻、海の響き、私の耳、
夏の思ひ出、仕草と身振り、
大きい海と私の中の小さな海..
夏のエコーを真冬になつかしむ
あんなにまずかったトルココーヒー
クッキー&チョコレートを一口食べれば
詩人のできあがり
隣人の"響くん"を思い出していた
彼もまた詩人なのだろうか
または両親が詩人なのだろうか
すればあのひどい寝癖にも決着がつく
毎週3回可燃ゴミを出しにいく"響くん"にも
そうでなければ、
「パパの靴なんか踏みつぶしておやり」
「そいつはまた滅法しゃれたセリフだぜ」
「その銃で右のこめかみを撃ち抜いておやり」
「そうね、いい朝のいい時間だわ
パレードの開始でみな目覚めるわね」
詩人たちはこうしたものを身につけるため
図書館に通い、たくさんの本を抱える
次々とページをめくる
そして7杯目のコーヒーで吐き気がする
「そーいうところが
詩人のうんざりなゆえんよね」
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