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最重要価値を決めるコンポーネント以外は競争力のある外部資源と組み合わせる

TechCrunch によると、PilotというB2Bの企業が、評価額を12億ドル(約1315億円)とする1億ドル(約109億円)の資金調達を行ったとのこと。中小企業の事務管理のすべてをサポートするPilotがベゾス氏の投資ファンドから資金を獲得 | TechCrunch Japan 

あらためてポーターのバリューチェーンの絵を思い浮かべると、多くの企業は顧客が求める製品・サービスの最重要価値を決めるコンポーネント(クリステンセンの言うthe performance-defining component)以外のリソースは持たない方向に進んできたということを実感する。数十年前からのファブレス化は、半導体業界じゃなくてもNikeやAppleでお馴染み。間接部門の領域でも、SSC(Shared Service Center)やBPO(Business Process Outsourcing)が行われきたし、最近では様々な事務作業を軽減、効率化するためのSaaSがレッドオーシャン化してきた。そんな中このPilotは「フルスタックの財務チームを持たない中小企業へ「CFOサービス」などを提供するために、ソフトウェアと会計士を組み合わせて」提供。単なる効率化のツールではなくBPOに近いものになっている。スタートアップが最初からPilot有りきで業務を組み立てるのはそれほど難しいことではないだろうから「中小企業の事務管理のAWS」を目指すのも現実的なのかもしれない。

一方、スタートアップと異なり、自社のリソースと独自プロセスで既に動かしている運用は相互依存性が高く、外部の汎用サービスに合うようにコンポーネント化していくのは想像以上に難しいかもしれないし、現場の目線では必要性を感じないのがあたりまえだと思う。まして、SSCやBPOのような大きな塊ならともかく、グループ会社でもない企業がビジネスプロセス上に登場するなんて想像すらできない方もいるだろう。

しかし、もしその恩恵を最大限に活かした競合企業、つまりサービス・製品の最重要価値を決めるところに集中的にリソース配分し、直間問わずそれ以外の機能をコンポーネントとしたリファレンスデザインを持ち、各領域に特化し競争力を持つ企業にアウトソースする全く異なるビジネスモデルの企業が、来月同じ市場に製品・サービスを提供し始めると知ったら、ぞっとするのではないだろうか?デジタル トランスフォーメーションという名の下に一部の既存のプロセスをデジタル化(これはDXとは言わないが)しても、リソースからゼロベースで構築したビジネスモデルに勝てる可能性は低い。

基本的には企業は、資源利用の効率性が最重要軸の一つだと思う。最重要価値を決めるコンポーネントに焦点を当て、それ以外はその領域で競争力があるサービスや、他社の機能を組み合わせた「うまく行くやり方」をつくっていくことが必要だ。ツールやプラットフォームの改善もあり、これからはもっと大胆にかつ細かくできる。

我々は、クライアント企業のサービスデザインやインタラクティブ ソリューション開発の外部コンポーネントとして力を発揮しつつ、相互のリソース、プロセスの組み合わせやレベニュー、コストに関しても、まるで内部のような柔軟性と効率性を実現できるパートナーシップがあると考え、既にチャレンジを始めている。我々自身のサービスの「うまく行くやり方」の探索や深化も「都市化」と呼び、Neuromagic Professional Partnersという社外パートナーの方々と日々進めている。

都市のように開かれた組織にこそ競争力が宿ると信じて。

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