遥かなる南大東島
2年前に訪れた沖縄県南大東島。
沖縄本島から東へ約350km離れた周囲20kmほどの小さな島で、天気予報で台風シーズンによく聴くので名前は知っているという方も多いと思います。僕も名前だけは知っていたけれど何があるのか未知の島でした。
その当時を含め数年の間は南西諸島を旅することが多く、次はどこの島に行こうか地図を見ながら想いを馳せていたところ他と離れたところに浮かぶ大東諸島が目に留まったのです。
大東諸島は南大東島、北大東島、沖大東島(米軍射撃場になっていて行くことは出来ない)の3島からなりが今回は時間的な制約もあり南大東島のみ訪れています。
南大東島を調べていくうちにこれといったすごい観光名所がある訳ではないけれど何故か惹かれるものがありました。それは他の沖縄の島々とは違う島の成り立ちや歴史なのかもしれません。
約6000万年も前に赤道より南のパプアニューギニア辺りで火山島としてこの島は誕生し、その後長い年月をかけプレートに乗りゆっくりと北上し3000kmを移動して来て今の場所にあることが分かりました。今でも年に4~7cmスピードで北上しているそうです。
この長い島誕生の歴史に対して人が住むようになったのは西暦1900年とわずか120年前のこと。八丈島からの移民入植してからがこの島の人の歴史の始まりです。
そのため他の沖縄の島々のような伝統的な家並みなどはほとんどありませんが、シュガートレインと呼ばれたサトウキビ運搬列車の軌道跡などこの土地を切り拓いていった開拓精神の足跡を島のそこかしこで見ることが出来ました。
以下写真を中心に載せていきます。
8km沖合に見えるのは双子島である北大東島。その間にある海の深さは1500mだそう。
南北大東島の固有種であるダイトウビロウの群生
岩の裂け目に生えるオオタニワタリ。太古の昔が息づいているように感じました。
高台からの眺め。南大東島は海岸沿いが円を描くようにに隆起し中央部が低くなっておりまるでお盆のような形状をしています。そのため島の中央部にいると全く海が見えず島にいることを忘れてしまいそうなくらいで北海道でも来たかのような広がりを感じました。
島の主要産業はサトウキビ生産、製糖など。南の島に来たのを感じます。
島の農地を走る道。広々として気持ちいい。
サトウキビを積むための施設
シュガートレインの軌道跡。島内に数ヵ所残されていています。
池越しに眺める製糖工場の煙突
島の周囲は断崖になっており船を置いておく場所が少なく、こうして船は陸に揚げるようです。近年、崖を切り崩して新たな港が作られているので以前より快適に安全に漁にでられるようになりつつあるのではないでしょうか。
南大東島には南の島のイメージである白い砂浜など全くありません。海岸線にあるのは荒々しい断崖といつくかの港湾施設のみ。
宿泊先ホテル吉里さんからの眺め
島の中心街?小さな商店、食堂など何件かある。
島には小学校と中学校があります。自転車で通う児童・生徒さんが多いようですね。僕もレンタサイクルで島を回りました。
比較的集落から近い場所にある大東神社
石敢當を見るとここもやっぱり沖縄なんだと思う。
訪れるまではずいぶん遠い場所と思っていたけれど飛行機なら那覇で乗り継いでから1時間と時間距離というのはそんなに遠くはありませんでした。
ただ海岸沿いに立てば見えるのは見渡す限りの海で北大東島を除けば人の住む島がどこにもない。絶海の孤島に来てしまった感覚になり気持ちの上ではほんとに遠くまでやってきたんだなと感じました。
1週間ほどの旅でしたが1回訪れただけでは島のほんの僅かを知ったに過ぎず、まだまだ僕にとって未知の島でまさに遥かなる島です。
またいつか訪れたいな。
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