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Yuga Labs(ユガラボ)が手掛けるメタバース OthersideがNFTの価値を新たな次元に昇華させる

Bored Ape Yacht Club(BAYC)という「退屈なサル」をモチーフとしたNFTコレクション。現時点で最も価値のあるNFTコレクションと言って良いであろう。

そのBAYCの運営母体がYuga Labs(ユガラボ)。クリプトパンクスやMeebits、10KTFなど、複数のNFTプロジェクトを所有・運営するNFT界に君臨する絶対王者だ。

コインデスクに、ユガラボの最新情報が掲載されていたので紹介したい。

まずは、BAYCのおさらい。

カラフルな猿のイラストのNFTは2021年4月に登場して以来、カルチャー現象のようなものとなり、1万個のNFT画像はステータスシンボルとなった。

絵柄や、一部ファンの熱狂ぶりに呆れる人もいるだろう。だがBAYCは、ロードマップの発表、固定価格、長期的な実用性の導入、知的財産権(IP)の保有者への譲渡など、NFTマーケットを変容させ、後に続くプロジェクトにとって手本にもなった、複数の斬新なコンセプトを取り入れた。

初期の頃、創業メンバーはクリプト界のお作法に倣い匿名&顔出しなしであったが、どうやら方針が変わったようだ。

ユガラボの首脳陣、ゼシャン・アリ(Zeshan Ali)氏、ケレム・アタライ(Kerem Atalay)氏、 ニコール・ムニス(Nicole Muniz)氏、グレッグ・ソラノ( Greg Solano)氏、Wylie Aronow(ワイリー・アロノウ)氏(Matteo Prandoni/BFA.com)

中でも中心となるのが、アロノウ氏とソラノ氏。ゲームを通じて出会い、メタバースでの交流を重ねる中、信頼関係を築いていった。というところも、これからの時代のあり方を象徴している。

2人はまた熱心なゲーマーでもあり、2人が12年前に最初に意気投合したのも『World of Warcraft』などのMMRPG(多人数同時参加型オンラインロールプレイゲーム)好きという共通項が理由だった。

「本を交換したり、ジョークを言い合ったり」とアロノウ氏は昔を振り返る。2人の初期のやり取りは主に、オンラインゲームやソーシャルプラットフォームを介したもので、そこでデジタルな交流の場に対する感謝と深い理解が育まれた。「(BAYCの前に)直接会ったのはわずか4、5回だったと思う」とソラノ氏。

「私たちの友情はメタバースで生まれたと言って良いだろう」とアロノウ氏は冗談交じりに語った。

BACYの大成功は、コロナによるロックダウンと大いに関係しているという考察も説得力がある。

「ロックダウン期間中に私たちが会社をスタートさせたことは偶然ではないと思う。コンピューターの前で多くの人が孤独を感じていた」とソラノ氏。

「新型コロナがBAYCの誕生に与えた影響や、NFTやプロフィール画像コレクションのブームがなぜ軌道に乗ったのかについて、私たちはしばしば考える。良かれ悪しかれ、人間は共同体的な仲間を持っていた方が良いようだ。何かの一員でありたいという願望がある」とアロノウ氏は続けた。

BAYC及び他のNFTコレクションの運営を通じて蓄えた資金とノウハウを投入し、次に彼らが挑むのがメタバース「Otherside」。彼らの原点であるRPGゲームにNFTを掛け合わせて、独自のメタバース空間を構築する。

ユガラボは2022年4月、相互運用可能なメタバースプラットフォーム「Otherside」の構想を発表。プレイヤーは土地を保有したり、既存のNFTをプレイ可能なキャラクターに変換できる。

ユガラボはバーチャル不動産の所有権を表すOtherseed NFTを5万5000個販売。売り上げは3億2000万ドル近くにのぼった。

「手がけているプロジェクトはすべて、とても大切。そのすべてが交わるところがOtherside」とアロノウ氏。

国境がなく、自動的に世界中がマーケットとなるクリプトの特性を考慮し、言語の壁を感じさせない、こちらのイメージビデオも実に魅力的である。

このOthersideにおいて、アロノウ氏とソラノ氏の理想郷が実現する。

「もし1日中、デジタルの世界に入り浸るようになったら、どうなるのだろうか? 平等主義的な世界だろうか? お互いの関わりを感じられるだろうか?」

「面白くないやり方でメタバースを過ごすというアイデアは、ひどくディストピア的に聞こえる」と語るアロノウ氏はOthersideを「ゲームと、神秘的なエクスペリエンスのためのプラットフォーム」と呼ぶ。

「真に皆で作り上げる、平等主義的で楽しいメタバース」を構築することが、現在のユガラボの「最優先事項」とソラノ氏は語り、「人々に協力し、お互いを知るように促すことが重要だ」と続けた。

「なぜ私たちがそもそも、これをやりたかったのかを示すものだ」とアロノウ氏は締めくくった。

記事では強調されていないが、NFT界の絶対王者がRPGゲーム/メタバースを作ったら何が起きるのか?

フォートナイトやファイナルファンタジーという既存のゲームにおいて、スキン等のデジタルアイテムにプレイヤーの多額の資金が資金が投入され、独自のトレード市場が形成されている。

そこに、多額の資金と才能が投入された世界最高峰のRPGゲームが立ち上がり、その基盤としてNFTが活用される。

これは、現状のPFP(BACYに代表されるアイコンに使用するプロフィール写真)のNFT市場とは次元の違う価値と市場が形成されるであろうことは想像に難くない。

「ゲームとNFTの相性」(ポテンシャル)について、こちらのFujinさんの解説がとても説得力があるので、併せてお聴きください。

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「ゲームで稼ぐという要素は、ほぼすべてのゲームに、薄く、広く入っていくのでは」。馬場氏はこう展望する。

出典:IT Media News

こうした環境変化を見据えつつ、より俯瞰的な視座からWeb3.0・ブロックチェーンエンタテインメントの本質とは何かを考えてみると、単に技術的要素や投機的要素にフォーカスした時とは異なる景色が見えてきます。昨年の年頭所感に記したように、従来のゲームの在り方を中央集権型とするならば、ブロックチェーンゲームは自律的な分散型モデルであるべきです。そのコンセプト、思想こそが重要であると考えています。

(中略)

一昨年までの状況は、ゲームユーザーよりも投機筋ユーザー主導の市場、いわば「ブロックチェーンやNFTでのマネタイズありき」で作られたコンテンツが主導した状況であったと言えます。しかし、先述した仮想通貨業界の混乱などを経て、改めてブロックチェーン技術は「手段」でしかなく、お客様に新しい体験、面白さを届けるという「目的」を達成するために、実現すべきことは何かを議論する動きが出てきている昨今の潮流は、今後の業界の成長のために大変好ましいことであると捉えています。

出典:スクウェア・エニックス・ホールディングス 年頭所感

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