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新メタバースOthersideがNFT販売で過去最高の資金調達もガス代高騰で大混乱

数日前に、Bored Ape Yacht Club(BAYC)を運営するYuga LabがOthersideという新メタバースを立ち上げる。そこで使用するトークンとしてAPEコインを発売。高い期待を受け、早速、トークン価格が高騰しているという記事を公開しました。

今回の一連の騒動は、4月30日(土)21時(米国東海岸時間)にOtherside内での土地購入の権利を保証するNFT(Otherdeeds)の発売に際し引き起こされました。

ガス代の高騰、APEコイン価格の乱高下、詐欺・スキャムの横行。

以下、詳細を解説致します。

1.新メタバースOthersideとは?

BAYCの運営元であるYuga Labが新たに立ち上げを発表した新メタバース。BAYC(退屈な顔をしたお猿さん)やMAYC(お猿さんが妖怪に変異したキャラクター)が登場する。更に、クリプトパンクス等、Yuga Labが所有する他のコレクションのキャラクターも登場することが示唆されています。

現時点では、下記のイメージビデオが公開されているのみで、内容や立上げ時期等の詳細は未定。

2.APE コインとは

上記Othersideに加え、今後、BAYC/Yuga Labが提供する様々な新サービスで使用可能な独自トークン。土地購入権販売に先駆けて、この3月から販売が開始されました。

本トークンの発行元はYuga Labではなく、新たに設立されたAPE Coin Dao。Web3の世界で株式会社の役割を担うと期待されているDao(自律分散型組織)にて同トークンは運営されています。

3.土地購入権Otherdeedsとは?

新メタバースOtherside内で土地購入を保証するNFT。上述の通り、Othersideはまだ開発中につき、土地の購入権利書を先行販売するというスキーム。

4.Otherdeeds販売概要

  • 販売開始:4月30日(土)21時(米国東海岸時間)

  • 販売個数:55,000個

  • 販売価格:305 APEの固定価格(約$5,800)

  • 購入口数:1ウォレットにつき2個を上限

  • 購入条件:事前にウォレットのKYC(個人認証)が必要

購入にはAPEコインが必要ということで、下記の通りトークン価格が急騰。

5.Otherdeeds販売結果

  • 発売後、数時間で完売

  • 約$318百万(APEは$19で計算)とNFT史上過去最高の売上を記録

  • イーサリアム上の負荷が急増し、ガス代が高騰した

下記、Bloombergの記事にある通り、トランザクション実施時のガス代が、$6,000近くまで高騰。購入者は、ほぼ、土地購入権と同額のガス代を支払うこととなりました。

Each plot cost a buyer around $5,800 based on ApeCoin’s price of $19 as of Saturday, plus transaction costs, or “gas fees,” in Ether, which skyrocketed after the sale went live at 9 p.m. New York time as the land grab attracted heavy demand. Transaction costs just to mint Otherdeed NFTs after the launch reached $123 million, with each Otherdeed requiring about $6,000, or 2 Ether, in transaction fees to mint, according to data from Etherscan -- or more than the price of the deed itself.

出典:Bloomberg

TwitterやTwitter Space上では、ガス代に関する怨嗟が飛び交いました。ガス代を最適化する設計(スマートコントラクト上で)になっていないことに対する問題提起も。

6.2次流通での初動(Otherdeeds)

Open Seaでの取引状況(5/2 6:30 米東海岸時間)を見ると、概ね4~6ETH(約$11,200~$16,800)で売買されています。初回入手価格が約$5,800なので、2倍程度にはなっていますが、ガス代を加味するとたいした儲けになっていない状況。

7.APE コイン価格推移

宴終了後、暴落し高騰前の価格も割り込んでいます。

「APEコインを高値掴みした人にも補填しろ!」というクレームも。


8.ガス代補填

Yuga Labから、トランザクションに失敗した人向けにガス代を補填するという案内が出ています。詳細は不明。

9.詐欺・スキャムの横行

今回、欲望に目がくらんだ人々を狙う詐欺・スキャムが横行しました。

事前にウォレットを接続して、KYC認証が必要というスキームに乗じて、「公式」を装い偽アカウントでアプローチし、偽口座に振り込ませたり、ウォレットの資金を抜き取ったり。

例えば、こんな感じ(下記は画像貼り付け。クリックできない様にしているのでご安心ください)。

記載のURLに飛ぶと、下記の偽サイト(こちらも画像貼り付けです)に飛び、ウォレットを接続した瞬間ジ・エンド。

ちなみに正規アカウントはこちら。アドレスやURLも極めてそっくりに作られています。

Twitterアカウント
真:@OthersideMeta
偽:@otherside_meto

ウェブサイトURL
真:otherside.xyz
偽:otherside-xyz

今回の様な新しいプロジェクトは、Twitterアカウントの公式認証マークが間に合っていません。なので、「これ、本当に公式なのだろうか?」と不安になりますよね?

そういう時は、信頼できるソースまで遡って確認する必要があります。本件の場合、運営元のYuga Labの公式ページで@OthersideMetaを確認しました(公式ページ自体が乗っ取りにあっているケースも稀にあり)。

「土地獲得競争に敗れた方へ。第2弾募集中」という詐欺も出現。相当数の「いいね」やRTがついているので本当に危険です。


10.考察(私見)

今回のOtherdeedsに関する私の見解は「相当な熟練者でない限り、参入するのは危険」。

そもそも、「まだ出来上がってすらいないメタバース内の土地を購入する権利」という極めて曖昧な商品。法律的にも、何も担保されていない(恐らく)中、Yuga LabやAnimocaという運営会社に対する信頼だけで成り立っているビジネス。

APEコインを事前に購入し、KYC認証でウォレットを接続してから、ようやくNFT(Otherdeeds)を購入できるという複雑なプロセス。

そこに様々な詐欺・スキャムが仕掛けられて来る訳ですから、相当な熟練者でない限り、無傷で勝ち抜けることは不可能。

今回の一件で私が一番恐れいているのは、せっかく盛り上がって来たNFTビジネスが「ほら、やっぱり怪しいでしょ」と冷めてしまうこと。

NFTビジネスの健全な発展を切に願います。

<参照記事>

https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-05-01/bored-ape-metaverse-frenzy-raises-millions-disrupts-ethereum

<併せて読む>

<追記(5/4)>

Otherdeedsの購入・リビール後、土地がどの様な設計になっているのかをわかりやすく解説した記事がnoteで公開されていたので共有します。


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