オフィスに戻りたくない人々 明らかになった意外な理由とは?
米国では、オミクロンもすっかりピークアウトし、パンデミック関連の制約が、次々と緩和されています。(州によって異なるが)公共交通機関、病院等一部を除き、今やほとんどの場所でマスク着用義務はなし。「ワクチン証明書を見せなさい」と言われることもほとんどなくなりました。
当然、多くの企業では「オフィスに戻って来なさい」となる訳ですが、片や一度味わってしまった在宅勤務の快適さを手放したくない従業員。様々な駆け引き、バトルが連日、繰り広げられています。
先日、「最近、よく聞くYOLOとは? パンデミックを経て問い直す人生の意義」でご紹介したApple社のショートムービー。「Appleのツール一式があれば、オフィスに行かなくても大丈夫」と訴えかけます。
米IT企業、「コロナ後」の働き方は? カギは「柔軟性」(朝日新聞デジタル)にて、IT各社の対応が紹介されています。
出社して欲しい経営陣と出社したくない従業員。どう、折り合いをつけるかのせめぎ合い。こちらでは、Apple社は出社を推奨していますね。
先日、HNKでも報道された「Great Resignation(グレート・レジグネーション)」=「大量離職」が米国では社会問題化しています。
給与・待遇に不満、これを機会に人生の意義を考え直した、薄給で働くより給付金で暮らした方がお得等々、離職の理由は様々。今回、新たに「オフィス出社を強要する会社では働きたくない」が加わったという構図。
在宅勤務支持派の意見としては、
・家事、育児をしながら効率的に仕事ができる
・通勤時間がなくなり、より効率的に時間が使える
(日本だと、単純に通勤地獄から解放されるというのが大きいですね)
・化粧をしたり、スーツを着たりしなくて良い
・(オフィスに居る時と異なり)様々な雑用から解放される
・話し掛けられたりしないので、仕事に集中できる
・さぼっていてもバレない(笑)
オフィスに戻ってきて欲しい経営陣にとっての大きなチャレンジは、「オフィスに戻る理由を、どう合理的に説明できるか」。CNBCの記事で、詳しく解説がなされています。
オフィスに来ることで、どんなメリットがあるのか?そもそもオフィスの役割とは?どうすれば、従業員が効率的に働くことができるのか?という根源的な問いへの答えが問われています。
今回、一連のオフィスに戻る、戻らない論議の中で、もうひとつ、重要な視点が浮上。こちらのニューヨークタイムズの記事が、そこに焦点を当てています。
それは、ダーバーシティの問題。オフィスと言う空間は、幹部の多くを占める白人年長者男性にとって居心地の良い空間。従って、女性や非白人の従業員からすると、その場所に行かなくて良いことが大きなインセンティブになっているという構図。
良く話題になる「オフィスの空調温度設定問題」にも触れています。幹部男性が好む低い温度に設定される為、女性達はオフィス内で防寒対策を余儀なくされるという話。
日本でも、この「オフィスの居心地問題」に共感する人は多いのではないでしょうか?通勤地獄からの脱出以上に、「嫌な上司と顔を合わせなくて済む」「上司からお小言をもらわなくて済む」「いらいらしている上司の機嫌を取らなくて済む」「非生産的な飲み会に付き合わなくて済む」等々。
先日、Zoomでお話した某生命保険会社の営業担当女性は、「得意先のオフィスに行くと出社しているのは年配男性ばかり」と言っていました。
「年配男性」の多くは、逆に家では肩身が狭く、オフィスの方が居心地が良いのだと思います。家では、普段居ない人が日中居ることで邪魔者扱い。会社に行けば、部下たちが色々と気を使ってくれる。
今回、一連の 「果たしてオフィスに戻るのか問題」が問いかけているオフィスの居心地が悪い根本原因について、本格的に取り組む時が来たのではないでしょうか?
<併せて読んで欲しい>
ジョブ型雇用で若者に新たなチャンスが広がっている。中高年は大ピンチという記事も、併せてお読み頂けると嬉しいです。
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