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Webプランナーの思考と手書きツールへの愛。


ここらで止めておけばまだ立ち止まれると思いながら愛好しているのが文房具だ。
具体的には紙と筆記具。

プランナーという職種上、最終的な資料はPCでアウトプットするが、思考段階では手書きが多い。
スピードだけでいえばもちろん紙に書くよりキーボードで打ち込んだほうが速いのだが、どうしても思考が直線的というか、ウォーターフォール型になる。与件を書いて仮説を書いて課題を書いて、と、順を追った考え方・テキストになりやすい。
反面、単語レベルでキーワードを書き出しながら短い文章にし、それをつないだり連想したりという、いわばアジャイル型の思考には手書きが合っていると、個人的には思う。マインドマップツールとかも試してみたけれど、やっぱり手書きが性に合っていた。

自分なりの提案書作成のセオリーとして
「いきなり白紙のPPTを作らない」
というのがあり、コンセプトがまとまって全体のストーリーが見えるまではとにかく手書きで全部書き出していくことにしていて、ここで重要なのが
・なにに書くか
・なにで書くか
となってくる。つまり、紙と筆記具。

企画提案のアイディアフラッシュやある程度思考がまとまってからのプロットは、あとで読み返してストーリーをまとめたりするため、思考の時系列が把握しやすいノートに速く書ける万年筆を使うことが多い。書き込みが密になる場合はボールペン、シャーペンも使う。
これらは、割としっかり時間が取れるときのツール。

逆に、時間がないときやとりあえず書き留めたいときはレポート用紙に走り書きして、あとでノートに書き写したりする。提案書に載せる図解のラフ描きや、簡単な画面構成を作るときも、何枚も消費して必要なものだけを残せるレポート用紙が都合がいい。

どちらにしても紙がにじむとかペン先が引っかかるとかでストレスを感じたくないため、このスタイルに落ち着いた7年くらい前に割と良いノートとそこそこの万年筆を買ったら戻れなくなり、少しずつ買い足しながら現在に至る。重量があって力を入れずに書ける楽さを知ってしまったら、軽いペンではどうも手元がフワフワして落ち着かないのだ。

といっても私自身、愛用できるものが最低限あればいい性質なのでそれほど数は増えておらず、「あったら楽しいかもしれないけど間に合ってるし不満はないなあ」くらいのスタンスで、銀座伊東屋などを横目で冷やかす毎日だ。

数ある沼のなかでも文房具はかなり深く、万年筆にいたってはインクという底なしの泥沼があると聞く。確かにインクは興味がないわけでもないのだが、上記の理由で私には壮大すぎる趣味のため、足先だけ漬けて楽しむことに決めている。


以下は私が愛用している紙と筆記具をだらだら紹介して愛を語るだけの蛇足。

メインで使っているボールペン。軽いメモ書き用に849も持っているけど、こっちの方が抜群にテンションが上がる。手元で光るさざ波のようでとにかく見た目が美しく、インクがなめらかで書きやすい。あと見た目がいい。何度でも言う。見た目が最高。

25年来の愛用品。建設会社勤務の父が使っていたものを高校生のときにもらって、それ以来大事に使っている。
重さのある筆記具の魅力に気付かせてくれた最初の1本かもしれない。最近ロフト限定のピンクエディションを買い足した。かわいい。

会社でちゃんと手書きするときはこれを使うことが圧倒的に多い。ノック式でペン先が出るのですぐに書き出せる。使っているのはF(細字)でけっこう太い線が出るので、ノートにがしがし書いていくのにちょうどいい。形状の都合でクリップが持ち手に触れるため、慣れるまでちょっと時間がかかるかも。

ビジネス用と割り切って、パイロット純正のブラウンのカートリッジを使っている。

がっつり書くときのメインノート。A4版はもう何冊使ったかわからない。純正のカバーをかけているので相当重いのだが開いてA3という紙面の広さは思考の広さを呼び起こしてくれる気がする。うっすらクリーム色なのでブラウンのインクと相性がいい。

万年筆に特化した超軽量級のルーズシート。向こうが透けるほど薄くて軽いのに、驚くほど裏写りしない。クリップボードに入れて、自宅でのんびり手書きを楽しむのに使っている。インクの色が綺麗に出るのでインクを試すときにも良い。

上のトモエリバーと併せて自宅で手書きする用。カリグラフィペン先はインクの濃淡が出やすく、書いていて独特の文字になるのが楽しい。思い浮かぶまま文章をつづる、書くことそのものを癒しのひとときにしてくれるような1本。

パイロットの色彩雫は何色か使ったが中でもこの深海が圧倒的に好きだ。書き始めは月光の射す夜の海のように青く、乾くにしたがって寒々しい灰色を帯び始める。まるで表層から深海に沈んでいくような不思議な色の変化が趣深い。
万年筆のインクというのは、実際に自分で書いて変化を体験しないとその真髄がわからない。手書きって楽しいなあ、と実感する一瞬でもある。


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