一か月で10,000プレイ以上されたカードゲームの開発経緯
前回、開発失敗した話を書いたが、その後、どう考え、行動して完成に至ったかを書いてみる。
コンセプトは変えずにトライ
開発失敗した後、今度こそ失敗しないように企画した。
コンセプトは前回と同じように以下の通り。
いくつかランダムに選択肢を与えて、その中の最適解を考える。
それが正解かどうかはその時点では判断できず、ゲームを進めていくと判明する。
これに当てはまる既存のゲームはいくつかある(麻雀など)
今回は「ランダム+選択」の要素で相性の良いジャンル、カードゲームを選択した。
失敗したパズルRPGはフィールド移動にプラスして、戦闘毎に選択行動があったため、テンポがすこぶる悪かった。「ランダム+選択」のサイクルを高速に回せるような仕組みにしたい。
ぴにゃこら太との対決
カードゲームといえば対戦形式だが、サーバを立てて対戦となるとハードルが高くなるので、1人用ゲームとすることとした。
参考としてシャドウバースのソロプレイを研究。当時はイベントで、強CPU「ぴにゃこら太」と対決するイベントが開催されていた。この「ぴにゃこら太」の強さだが、AIが強いのはもちろん、通常デッキに入れられないカードが入った「反則的デッキ」を使ってくるのだ。
反則的なカードを使ってくるにもかかわらず、その強さに不平を言うユーザは少なかった。
なぜか?
シャドウバースは、デッキ構成とプレイング(カードの使い方)次第で、ある程度の不利対面でも勝利できるからだ。さらに、敵のデッキは決まっているので、対策を立てやすい。カードをうまく使えば、弱いデッキが強いデッキに勝てる。デッキ構築やプレイングといった、自分の考えた戦略(=実力)で勝つと気持ちがいい。
弱者が強者を倒す、大逆転感覚……これは自分のゲームに持ち込みたい!
「相手の強いデッキにプレイングで勝つ」これをテーマにして考えてみることにした。
課題検討
テーマをもとにカードゲームを作成しているうちに、2つの課題が見えてきた。
課題1:強いAIを作る技術がない。
これから自分がAIの勉強をして、その後、AIが機能するようにゲームの内部構造を変えるのは、半年、あるいはそれ以上の時間がかかるため、現実的ではなかった。
課題2:相手の手札がうまく揃わない場合に敵が弱く感じる。
いわゆる、手札事故である。自分の引きが良いのに、相手が事故って自分が勝つと非常につまらない。 時間をかけて準備したデッキをうまく活かせないと、手ごたえがなく、落胆してしまう。
この2つの課題を、どう解決すれば良いか、いくつかの方法を考え、試した。色々な案を試して、失敗もあったが、ある1つの結論にたどり着く。
積み込みによるムーブ
解決方法として「相手のカードの引きを固定にして、相手側は毎回理想ムーブにする」という方法をとった。要はイカサマである。
自分はデッキからランダムにカードを引くのに、相手は引くべきカードを100%の確率で引く。完全なる黄金の右腕である。 自分自身に問いかける。
この方式は意図した展開を作りやすいのだ。敵は固定だが、自分の手札はランダムなので、毎回違った展開になる。
シューティングゲームやアクションの敵の配置はランダムではないが、ゲームは成立してるのではないか。 手札が強いと対象AIが弱くても敵は強く感じる。逆にAIの弱さを掴んで、その弱点をつくゲーム性が成立している。
テストプレイしてみると、確かな手ごたえを感じた。
さらなる高みを目指したが、しかし……
ただ、ゲーム性はシャドウバースと同じ感じになっていた。オリジナリティを高めようと、ここから、いろいろな要素を追加して試してみた。
結果としては、ほぼ全滅。いたずらに複雑化するだけで、面白さにつながらないケースがほとんどであった。
ハースストーンとシャドウバースがほぼ同じゲームシステムというのが今ならわかる。余計なものは足さなくていい。面白いからマネされるのだ。
ただ、面白さは担保されたので、ここからは演出とか素材をつくっていくだけ。残りの作業は、楽勝の工程だと当時は思っていた。
ただ、これはとても時間のかかる作業なのであった。
「素材選定→反映→評価→再検討→再評価」みたいな流れを各素材について行っていく。それは、UI、カード図柄、カード能力と多岐に渡る。ボリュームはとても大きい。個人製作のカードゲームでは、ここで挫けてしまうケースが多いと思う。
とにかく、軌道には乗った。
以前、開発に失敗しているだけあって、とても嬉しかった。
公開した結果
ゲームをゲームアツマール(2023/6/28に閉鎖)に公開してみたが、
一か月で11,000プレイしていただいた。
2023年3月に公開したのだが、3月に公開された新着ゲームでは2位に位置していた。
好意的なコメントが多く、満足度も高い。ただ、公開直後はカードのバランスもまだ甘く、しばらくは調整を続けることとなった。
しかしながら、ゲームを完成させ、高評価を頂いた。
この瞬間、たまらない。
やっぱりゲーム制作は最高だぜ!
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