何故、そのフリーゲームは開発失敗したのか
前回はゲームが完成したという「光」の話。
光あるところに影はある。今回は開発失敗という闇の話。
最適解を探すゲーム
カードゲームを作る前に、別のゲームを作っていた。開発コンセプトは以下の通り。
いくつかランダムに選択肢を与えて、その中の最適解を考える。
それが正解かどうかはその時点では判断できず、ゲームを進めていくと判明する。
これをパズルRPGという形で実現しようとした。パズル性とランダム性を持つ代表的なゲーム、それはテトリスである。テトリスのようなゲームをゴールとして目指すのであれば、面白くなるだろう。
今思えば意味不明な考えだが、開発当初はそう考えていた。
WWAとランダム性
WWAというゲームのジャンルをご存じだろうか? 簡単に言えばRPG風戦闘形式のパズルゲームである。主人公が成長していくのでパズルRPGといってもいいだろう。リスクのあるルートを選択して、大きく成長するなどの楽しみがある。
自分自身、このジャンルのゲームを過去にリリースしており、そこそこ好評だったため、それの発展形のゲームとして開発しようとしていた。
WWAにカードゲームの要素を追加して、ランダム性を持たせればイイじゃんね! パズル性とランダム性を持つゲームは面白いはず。
そう自己暗示していた。
どう実装したか
画面を大きく4x3の領域に分割して、1領域毎に小さなパズルをはめ込んでいく。領域同士の接し方によっては、簡単になったり難しくなったりするであろう妄想を抱いていた。
左側の領域には宝箱があるが、これは右側からは難しい。しかし下側からは容易に取得できる。簡易ランダムダンジョン的な要素である。大き目の要素をランダムに配置すれば、そこそこ機能するのではないか。
根拠なく思い込んでいた。
プレイしてみて
プロトタイプ版を作ってみたが、機能しなかった。
「考えてクリアする」という要素がなかった。淡々と目の前の敵を倒してクリアしていく。リスクとリターンのバランスもランダムになっていたのだ。悩ましい選択肢など、そこにはなかった。イコール、面白さはなかったのである。
何回かプレイして、組み合わせによっては面白くなるはずだと、ランダム性を言い訳にしたが、面白くなることはなかった。ダメさを否定できなかった。
シューティングゲームやアクションゲームの敵の配置が何故ランダムではないのか、そこに気づかされた。
そして迷走
プロトタイプ版を作りあげるのに、結構な時間を要していた。
「何かの要素が不足しているだけだ」
そう勘違いして、キャラのスキルを増やしたり、パズルのギミックを考えたりしたが、根本的に面白くなかったため、付け焼き刃になってしまった。
最近よく見るゲームデザイン論で
「コアの部分が面白くないと、いくら修正しても面白くない」
というのを見かけるが、まさにそれ。
「認めたくないものだな」と独り言を言ってしまった。心の中で。
そこで、このゲームは開発中止となった。
反省会
何が問題だったかといえば、面白さを担保しないまま進めてしまったのであった。
よく個人ゲーム制作者が「自分の作っているゲームが面白いか、わからなくなってきた」という現象に陥るが、精神的にもよろしくないので、定期的に「面白さ」が担保されているかどうかを確認するようにすべきだと思う。「面白さ」を初期の段階で担保しておいて、それが維持されているかを都度確認する形が理想だと感じる。
そのためには「面白さ」を言語化しておかなければいけない。それを行っていなかったのが最大の失敗であった。面白いもの同士を考えなしに混ぜ込むのではなく「面白さ」を分解して「再構築」する。
この動画が当時あればよかったのかもしれない。
次はどうするか
自分が作りたいゲームの面白い部分を言語化する。まずは、そこから始める。そして、その根本となる部分については、自分のゲームのコンセプトとし、それを見失わずに開発する。
面白さを見失わず、突き進む。難しいけど、重要なことだ。
前に進もう。
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