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中小企業の70%は赤字である

リタイア生活を株式投資で楽しむモト3の妄想エッセイ

経済ニュース番組の解説を聞いていると、「中小企業の70%は赤字だから、、、」というフレーズが出て来ることがある。

例えば、「大企業は大幅な賃上げが出来ても、中小企業は70%が赤字だから賃上げが進まない」、「法人税の減税をしても中小企業の70%は赤字だから、恩恵を受けるのは大企業だけだ」と言うような説明を何度も聞いたような記憶がある。

そんな解説を聞く度に、「赤字で苦しいのなら廃業とかM&Aしたら良いのに、、」と私は素朴に思うのだが、赤字の中小企業の数は減らない。「赤字の会社がなぜ存続し続けているんだろう?」という疑問が消えないでいた。

私が会社に入社した頃(昔の話)には、「会社は利益を上げて税金を納めることで社会に貢献できるのだ」と教わった記憶がある。利益を上げない会社の存在価値は何だろう?

私が働いていた会社も以前に赤字になった。赤字になれば会社の存続問題になる。結局、債務超過で実質的な倒産となり、それから長く長く厳しい再建の道を歩むことになった。

希望退職募集という人員整理、コスト削減のための業務改革の嵐、やっと新入社員が入ってくるようになったのは10年後だった。

だから私には赤字を続けながら存続できていることが不思議でならなかった。大企業の下請けの中小企業が赤字になれば、リスク管理から取引の継続さえも難しくなるだろう。

「中小企業の赤字」についてネットで検索すると、「税金を回避するために意図的に赤字決算する」というのが実態のようだ。

街を歩いていると、客が少ないのに長年営業を続けている店がある。どうして継続して営業できるんだろうと疑問が湧く。だけど、他の事業(例えば不動産事業)で収益が出ていれば、店の営業は合算で黒字にしないための方策かもしれないと勝手に想像するようになった。

知り合いの税理士にも聞いてみたが、ネット情報は概ね正しいらしい。2年連続の赤字決算は、銀行融資が受けにくくなるが、役員報酬や経費などで決算を調整するのはよくあることらしい。

実は、私も税金の支払いを少なくするために同じような行動をする。株式を売却して利益が出た場合、約20%の税金が源泉徴収される。私は税金を減らすため含み損のある株式を同じ年度内に売却し、トータルで利益が出ないように調整する。

経済ニュースの解説では、中小企業は弱いもの、大企業に搾取されているもの、中小企業の技術やサービスは日本の社会に欠かせないので無くしてはならない、などのステレオタイプの立場で語られることが多い。

だが実際には様々な中小企業が存在する。ステレオタイプ通りの会社もあるかもしれないが、70%が赤字と言う現実は、性善説では説明しきれない。

テレビの番組は弱い者の側に立って報道することが多い。強い者の問題点は指摘するが、弱い者の問題点には目を瞑る。

中小企業の70%は赤字であるという事実を、中小企業は弱者であると置き換えてしまうのは、誤った認識を与えてしまう。

私の株式投資の年間取引損益はここ数年毎年赤字だけれど、含み損益の黒字年々増えているので、私の株式投資事業は順調だと思っている。
<了>



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