仕事が速いのにミスしない人は何をしているのか?の忘備録
著者は『失敗学会』を運営している。
仕事でミスを防ぐ方法はとてもシンプルで、それ自体が仕事の効率化になります。また、ミスや失敗がなくなった結果、その仕事にかかる時間が大幅に短縮されるでしょう。
仕事で起こる失敗は
1注意不足
2伝達不良
3計画不良
4学習不足
に分けられる。
仕事で起こる失敗というのは、「注意不足」「伝達不良」「計画不良」「学習不足」に分析でき、この4つの原因を取り除けば、個人の失敗に関しては恐れる必要がなくなる、といえるのです。
『注意不足』による失敗に対するコツは、自分の中の問題と考えないで克服する工夫を見つけることです。すでに世の中には便利なツールがたくさんあります。
「伝達不良」による失敗は、相手があってはじめて発生します。防ぐコツを考える際には、情報を発信する側と情報を受け取る側の両方に自分を置いて考えることが大切です。
「学習不足」による失敗を防ぐコツは、「地道な努力」です。その努力が辛くならないよう、楽しめる工夫をしましょう。
「計画不良」による失敗が起こってしまったときには、どの点で読みが甘かったのかを、必ず追求しておいてください。
1の注意不足には『ここぞという大事なタイミングで注意喚起をする』しくみを考えることが肝心です。それも、自分ではなく、他人の力に頼ったほうがうまくいきます。ここで借りるべき他人の力とは、文字通りの他人と機械の力です。『注意不足』によるミスの撲滅には、「注意すべきタイミング」と「ダブルチェックの質」がすべてといえます。考えるべきは、「作業が惰性になり、注意力が衰えたとしても、ミスにつながらないようにするには、どういうしくみをつくればいいか」ということです。あるいは、「作業が惰性にならないようにするにはどうすればいいか」ということです。
2の伝達不良では個人と個人の話をきちんと合わせていくことが、「伝達不良」を防ぐ基本の解決策です『伝達不良』を防ぐもう一つの条件が、「暗黙知」を理解することです。
そのグループの中で、『当然の知識』として共有されているもの。
言葉にしにくいものが多い。組織を強くするためには、この「暗黙知」を「形式知(知識として、皆が共有しているもの)」に落とし込まなければいけない。また、伝える時に大事なのはその言葉で表現しようとした「内容」や「概念」である。『伝え方』や「言葉の選び方」にばかり目を向けてしまうと、表現が稚拙だったり、言葉の解釈が違ったりすることが、そのまま「ミス」「失敗」のもととなります。ですから、内容や概念の確認の際には、相手の発した言葉よりもレベルが低かったり、言葉足らずになってしまったとしても、相手の言葉をそのまま引用するのではなく、自分流に言い換えてみる習慣をつけてみるといい。
3つ目の学習不足のの一つには、世の中が楽しくなりすぎて、”楽などに費やす時間が増えてしまったことがあります。
対策としては学習をする動機付けと、学習を楽しむ工夫が必要です。
4つ目の計画不良を防ぐためには、一にも二にも「的確な計画を立てること」。それしかありません。私たちは、計画を間違えたときによく、「考えが甘かった」と反省します。
しかし、これではいつまで経っても計画を立てる能力が向上することはありません。具体的に何がどう甘かったのか、何の分析もできていないからです。失敗をしたときにきちんと分析をしなければ、そこから学ぶことはありません。
ミスなく成果を上げていくためにはまず、自分が常に、いくつもの「計画→行動→結果」のサイクルを回していることを自覚することです。そして、計画を立てるときには漫然と「〇〇をしよう」と考えるだけではなく、「いつまでに、自分の持てる力のどのくらいをかけて実行するか」を考えることです。そして思った通りにうまくいかなかったときは、「ああ、残念」と落胆するだけではなく、計画をどう間違えたか、自分のリソース配分の何がいけなかったか、相手の何を思い違いしていたかを一つひとつ振り返る必要がある。
② チェックリストの正しい使い方、知っていますか?
見る人を変える。見方を変える。見た目を変える。ーダブルチェックの3原則
「失敗学」においては、チェックリストのデメリットもよく指摘されます。チェックリストがあることによって、作業をする人の思考が停止し、少しでも常識的な思考を働かせれば回避できるような失敗が見過ごされることになることがあるからです。決まった手順に従って作業を進める必要があるときには、チェックリストを活用することで、ミスを防ぐとともに作業の効率化をはかりましょう。私はチェックリストの作成においては、アメリカのほうに分があるように感じます。
アメリカのチェックリストは、非常に小さなステップが一つずつ項目化されているのです。その分、項目は多く、リストはとても長くなりますが、チェックマークを入れるときには何も考える必要はありません。シンプルで使いやすいつくりでした。
一方、日本のチェックリストは、一つの項目にいくつかのステップが含まれていることが多いように感じます。項目の中に、「ここまではできたけれど、ここから先はまだだ」ということが起こりえますし、考えなければいけないことが入っていたりします。だから、使いづらいのです。愚直に1作業1チェックでつくるのがいいと思います。このとき、作業のやり方が2通り以上あっても、どちらかに決めてひと通りだけを手順にするのがコツです(参照)。チェックリストを追いながら作業をする人が混乱するような書き方は、絶対に避けてください。注意点は仕事上でも一人が見誤りやすいポイントは次の人も見誤りやすいもの。まして、同じ職場で同じ職務を持つ人がチェックするのですから、Aさんが見誤るところはBさんも見誤る可能性が高いといえます。対策としては二人目のチェック者は、チェックリストを逆さまに持ってやることをオススメします。見る方向が変わるだけでも、一人目が見逃した、あるいは錯覚した間違いを二人目が捕まえる可能性は、格段に高くなります。ダブルチェックは、1回目のチェックと同じ動作を繰り返すのではなく、その方法や見方を変えて行なうことに意味があるのです。ただ見方を変えるだけでなく、見るものの状態そのものを変えてダブルチェックを行なえば、その精度はさらに上がります。さらに折れ線グラフにして視覚に訴えると、数字だけでは見えてこなかったデータの齟齬にいち早く気づくことができます。
③「付箋✕TO DOリスト」で、ケアレスミスを撃退!
たいしたことでないこと」「簡単にできること」については活動領域から押し出すようにできています。そんなときに有効なのが「付箋(ポストイット)」と「TO DOリスト」の合わせ技です。
使い方はシンプルで、今すぐ取り掛からないことは、ささいなこともすべて、付箋に書き出します。1枚の付箋につき、やるべきことは一つだけ。書いた付箋は、重要なもの、期日が近いものが上になるように、重ねて貼り直します。重要なこと」「すぐにやるべきこと」ほど手前にくる、かさばらない「TO DOリスト」が完成します。
そうして、終わったものは剥がして捨て、翌日に持ち越すものは翌日のTO DOの位置に貼り直します。『たいしたことのないこと』こそリストにして、脳から追い出してしまうことが、そのときにやるべきことに集中するための秘訣です。
4 本当はすごい「新・マニュアル化」のす
すめ
様々な作業が効率化され、私たちが取り扱う情報量が増えた今、「マニュアル」を使いこなすことは必須です。と「悪いマニュアル」があることです。
悪いマニュアルとは、ずばり、「わかりにくいマニュアル」です。
マニュアルを使う立場からすると、正確さにこだわったマニュアルほど、悪い(=使いにくい)ものが多いように感じます。マニュアルの目的は、そのしくみ全体を理解することではありません。より少ない労力で、誰もが正しい手順を辿れることです。たとえ正しくなくても、その通りにやったらできてしまうマニュアルが、ユーザの立場に立った「よいマニュアル」なのです。また失敗を防ぐためには、それを編集・改訂していかなければいけません。つまり、どんなマニュアルでも、最低限、すぐに改訂できるようにしておくことは必須です。またマニュアルは基本的に情報を共有するためのものですが、ここであえて、自分の仕事をマニュアルにしてみることをオススメします。可視化できるばかりでなく、「正しいけれどもわかりにくい」手順に気づくことができるでしょう。結果として、コストや手間を最小限に抑え、無駄もミスもない仕事が実現できます。
仕事における「正しいけれどもわかりにくい」というのは、だいたいにおいて失敗の起きやすい手順です。
そこを、「正しい方法をすべて書いてはいないが、わかりやすい」状態に整えるだけで、工程管理をはじめ、全体像を見通しておくべき仕事でのミスは減少します。
⑤ あらゆるミスには、「起こるサイン」がある『ハインリッヒの法則』とは「何か1つ大きな事故が起こったら、その陰には同じ原因による小さな事故が29あり、さらにそれらの陰には、事故にならなかったまでも『ひやり』としたことが300あったはずだ」=「1: 29 : 300」。失敗するとみな「周知徹底します」「そのように教育します」「管理を強化します」しかし、これらの三つは、失敗学では「三大無策」。何もしていないに等しいのです。どうすれば「ひゃり」とせずに済むか、「小さなミス」を防げるか、徹底的に考えなければならないのです。「失敗やミスをなくすコツ」は、実際に失敗が起こったときだけでなく、何か失敗が起こりそうになったときでも、使うべきだということです。「凡ミス」や「小さなミス」への感度を上げる。
6必要最低限を見極める
明日の荷物を、「最低限ないと困るもの」だけに減らしてみよう。
7 絶対忘れない人と、忘れやすい人の「一
番の差」は?
『がっかりする失敗』を繰り返さないために、「大事なものを忘れないようなしくみをつくる」のです。そのときはぜひ、「その問題が起こりえないしくみ」を追求してみてください。「なぜその失敗をしたのか」を失敗学的に振り返ってみるのです。
8スピードを上げればミスが減る
時間・労力・コストなど、すべての面で「最小」を意識するようにする。物事の最小単位がわかると核心がつかめる。仕事の本質を整理し、優先順位を見極めるということです。此未なことは後で考えることにして、まずは本当に大事なことだけを見るようにするのです。ただし「面倒なことをやればコスト削減になる」というのは、今や錯覚に過ぎないのです。多少のコスト削減のために手間をかければ、かえって高くつくことにもなりかねません。コストを最小限にすると、ミスも少になる。その過程で見えてくる「本当に大事なこと」に、全力を注ごう。
11予定管理・メモ・思いやり・・・・・・やっぱりすごいメールの実力
メールはメモツールとして活用するのも便利です。出先に限らず、会話の中で、ちょっと頼み事をされることがあるでしょう。そのときに、自分で自分宛にメールを打つのです。
すると、次にメール画面を開いたときには「未読メッセージ」がありますから、必ず思い出すことができます。メールを、自分・他人に対する記録&管理ツールとして活用することが出来る。
12 仕事が速い人は皆、メールの整理・管理
がうまい
メールはまず受信箱に届きます。そのメールは読み終わったら、さっさとフォルダ分けするのが基本です。受信箱にメールを入れっぱなしにしない」ということをルールとして、あとはご自分でやりやすいフォルダ管理の方法を考えてみてください。メールでの失敗をなくす二つめのポイントは、返せるメールはすぐ返す、ということです。その理由は簡単で、即答しないでそのままにしておくと、次に開けたときに、また最初からメールを読んで回答することになります。この二度手間が、思考力と時間の無駄だと思うのです。難しい案件ですぐに返事ができない、あるいは出先でメールを見て、返事しないままになっている。そういう案件は、一度読んでも「未読」に設定し直しておくといいでしょう。
たいていのメールサービスは「未読メール」は目立つように強調してくれます。その状態であれば、「うっかり返信し忘れた」ということを防げます。受け取ったメールは「置きっぱなし」「読みっぱなし」「放りっぱなし」にはしない。
16抱えすぎない、滞らせない「仕事量」の
管理法
忙しくしていても、ミスが起こらない。あるいは、誰かがミスをしてもそこからの復帰が早い。これが、「できる組織」の条件ともいえるでしょう。
私の分析では、ミスの少ない組織は、仕事の配分が的確で、一人ひとりの業量がうまく管理されています。だから、一人のミスも周りが有機的にフォローでき、前に進んでいくことができるのです。ミスなく上手に組み立てれば、仕事を抱え込まずに済むのです。
「もし間に合わないようなら、組み立て方に問題があるはずだ」と考えることが、仕事のミスをなくす近道といえるでしょう。仕事を上手に組み立てるために、仕事を割り振られる立場にある人こそ、日頃から「自分の工数」を数えるようにしましょう。
それは、仕事を依頼された時点で、その仕事にどれだけの時間がかかりそうかを何となく考えておく、ということです。自分の工数を数え、予測することができるようなれば、何か仕事を依頼されたときに、
「それは時間内には無理ですね、〇〇までなら何とか」と自分が引き受ける仕事に責任を持てるようになります。本項目のキモが、工数の数え方にあるのは言うまでもありません。最初のうちはその予測ははずれるかもしれませんが、繰り返していくうちに、ほとんど誤差なく計算できるようになります。
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