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【「…に見えて仕方ない」の感覚】

バングラディッシュで暴動が起きているのをご存知の方も多いと思います。

日本でニュースになる前に、いち早く私がそのニュースを知ったのは、私たちのサポートを受けたママさんのFacebook経由でした。

今回のきっかけは、軍部の子孫(孫の代まで)が公務員採用に特別優遇(というかほぼその子孫のみ採用)されていることに抗議した学生たちの運動から始まったとされています。

日本人の多くは、「そんなことでこんなに命を落とすまでの暴動に?」と首をかしげる人もいるかもしれませんが、Mother’s Tree Japanのベンガル語のサポートメンバーによると、バングラディッシュには大学を卒業しても国内では公務員になると言う道以外はほとんどなく、公務員になれなかった場合海外に出て行くか、家族と国に残りたければ肉体労働になる、つまり、ここが貧富の差の分かれ道だと言うことなのだそうです。

そう聞くと、積もりに積もった学生たちや国民の怒りの意味が少しずつわかってきます。

この活動を通じて触れることができたムスリムの生き方にとても感じるものがあり、「もっと深く知りたい」と思い、ご縁あってこの4月から大塚にあるイスラミア幼稚園で週に1回アルバイトをしています。

バングラディッシュのニュースに出てくる一人ひとりの顔、また、国際NGOによる貧困の中で暮らす子供たちの顔が、幼稚園にいるバングラディッシュの子供たちユーセフ、アヤン、マーズ、サファ、ザイラたちの顔に重なって仕方がありません。

一人ひとりに個性があり、愛嬌があり、本当に可愛い、愛しい子たち。

この子たちのような方が、貧困の中で学校も行けず幼い頃から家族を支える担い手となり、大人でも危ない労働現場で働いていたり、たとえ大きくなって頑張って大学に行ったとしても、就職先もなく、このようなデモに参加して命を落とすこともあるそう考えると、涙が出てしまいます。

ミャンマーの軍事政権、バングラディッシュの今回の暴動、アフリカ国内の様々な紛争など、世界のニュース一つ一つが胸に刺さります。それは様々な国からきたママたちや子どもたちと出会ったことで、他人事ではなく自分事になっているからです。

この「さんに見えて仕方ない」「を思い出して仕方ない」と言う「感覚」「肌感」を、どれだけ持っているか、というのが、多文化共生社会を創っていく上で実はとても大事なのだなと、今回のバングラディッシュのニュースを見て改めて思いました。

ご存知の通りMother‘s Tree Japanの活動は、日本に暮らす素朴なアジアのママたちが、私が海外でとても苦労して、私たちを育ててくれた母に見えて仕方がない、と言うところからスタートしています。

こうして様々な国の子供たちと日常を共にすることで感じる親近感、一緒に今を生きている仲間だと言う感覚は、Mother’s Tree Japanの活動を通して触れ合ったたくさんのママたち、赤ちゃんたち、そして今回こうして幼稚園で多国籍の子供達と触れ合う中で、日々強くなっていきます。

そして世界が本当に近いお隣さんになっていきます。

翻って考えると、こうした感覚を子供の頃から、妊娠して感受性が豊かになっている時期から養うことこそが、多文化強制社会や真の国際理解、平和につながるのだなと思わずにいられません。

今の生まれた子供たちが大きくなる頃には、外国ルーツの子供たちがたくさん増えています。
そして、クラスの中に日常的に、当たり前に、いろいろな国から来た子供たちがいる時代が来ます。

母親学級や子ども家庭支援センターに行くとたくさんの外国から来たママたちがいて、子育ての悩みを国を超えて話し合う、そんな時代が来ます。

大人たちが、先入観を追いつけなければ、子供達にとっては当たり前の幼馴染みであり、友達であり、共に時代を作っていく仲間です。

そして、共に苦労して子育てをしたママ友は、国は違っても大切なコミュニティの友人になります。

そう考えると、日本の社会も明るいなと言う希望が湧いてきます。

1粒でも、多文化共生社会の種を蒔いていきたいと思います。

そして、世界の情勢が少しでも良くなるように、心から祈ります。

NPO法人Mother’s Tree Japan事務局長
つぼみ


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